全国共済お役立ちコラム

ガンの治療費は本当に高い!?

2020-9-2

日本人の死因1位となる、ガン。2位となる「心疾患」と比べると、2倍近くの人がガンで亡くなっているのです。怖い病気ではありますが、それと同時に、治療をしながら仕事を続けたり、日常生活を送りながら長くガンと付き合っている人も大勢います。ガンは、時に「付き合う病気」として、治療が長期にわたることも少なくありません。その分、金銭面に不安を感じる病気でもあります。
では、実際にどのくらいのお金がかかるのでしょうか?今回は、万が一の時の為に慌てないよう、ガンの治療費について理解を深めましょう。

どのような治療法があるか

現在、数多くの治療法がありますが、ここでは代表的なものを大まかに見ていきましょう。

◎ガンの三大療法
現在の日本で主流となっているものは、手術・化学療法・放射線治療です。これらをまとめて「ガンの三大療法」と呼びます。この3つは、「健康保険が適用されるガン治療」です

◎自由診療
こちらには健康保険が適用されませんが、温熱療法、免疫療法、漢方、ビタミンC療法など、他にもかなり多くの種類の治療法があります。

◎先進医療
高度な医療技術を用いた治療法です。保険診療と自由診療の中間のようなものになります。
基本的には全額自己負担になりますが
、通常の治療と共通する診察や検査、投薬費用などの一般保険診療と共通する部分は保険が適用されるのです。

「治療費」とは具体的になににかかるの?

「ガンの治療費」と聞くと、実際に病院でかかる金額のみ考えてしまいがちですが、その他にかかるお金も考慮する必要があります。

直接治療にかかるお金としては、一般的に以下が挙げられます。

  • 血液検査やCTなどの各種検査や生検などの検査にかかる費用
  • 診察費や処方薬代
  • 手術費
  • 抗がん剤治療費など
  • 入院費

その他、以下のように1つ1つの出費は小さくても重なると大きな出費になるものです。

  • 交通費(家族の分なども含む)
  • ウィッグや家事代行など
  • 入院時の備品や寝巻代など
  • 入院時の差額ベッド代(個室など)
  • 食事代

だいたいいくら程かかるの?

ガンの治療は、かかった場所やステージ、その人の年齢など、さまざまな事を考慮して進められるため、多様化しています。「でもとにかくガンの治療費は高いんでしょ?」とお思いかもしれませんが、実は公的医療保険制度を利用すると、実際に支払う治療費をもっと減らせる可能性があるのです。
それでは、どんな制度が利用でき、どのぐらいの治療費がかかるのかを見ていきましょう。

◎健康保険
日本では、ほとんどの方が健康保険加入していますね。70歳になるまでは怪我や病気のため病院で治療を受けると、健康保険によって治療費は3割のみの負担になります。仮に、治療に100万円かかったとしても30万円の支払いで済むということです。
しかしこれは、保険適用対象の治療に対してのみ、ということになります。治療の内容に規制があるけれども、費用の負担が大幅に軽くなる、ということが特徴です。
あくまで目安となりますが、健康保険適用の入院・入院外費用の例を以下にあげましょう。

胃がん:医療費総額¥643,765→自己負担額¥193,129
大腸がん:医療費総額¥636,557→自己負担額¥190,967
肺がん:医療費総額¥703,280→自己負担額¥210,984
乳がん:医療費総額¥605,588→自己負担額¥181,676

◎高額療養費制度
治療費の負担を軽くするための公的医療保険制度の1つです。申請をすると、ひと月の治療費の支払いが自己負担限度額よりを超えた場合、超えた分の費用が払い戻される制度が適用されます。限度額はその人の標準報酬月額により変動しますが、一般的な収入ですとだいたい9万円弱で済みます。ですので、さきほど「健康保険」で挙げた症例に、高額療養費制度が適用された場合、全て9万弱の支払いになるのです。

高額療養費制度は、月初めから月末までの1か月間の治療費から計算されます。月をまたいで治療費がかかった場合、それぞれの月で計算されることになります。その為、入院1回の合計金額は9万を超えていても、月をまたぐことにより高額療養費の対象にならない月が発生する可能性があることも把握しておく必要があります。

例:入院1回_30万円、月をまたいで入退院した場合
今月→かかった費用22万(高額療養費制度適用=実質9万円負担)
翌月→かかった費用8万(高額療養費制度適用外=全額8万円負担)
※合計負担金額=17万円

先進医療の治療費

医療機関によって異なりますが、「陽子線治療」や「重粒子線治療」を受けると、約200万~300万円の費用が必要といわれています。最近では、医療保険やガン保険などに先進医療による治療費をカバーする特約が付けられるようになってきています。

ガン保険の必要性

ここまで公的保険制度のお話をしてきましたが、実質負担金はそこまで高くない事に気付いたかと思います。恐らく、「ガン保険は必要ないんじゃ…?」という疑問が浮かんだのではないでしょうか。ここではガン保険の必要性について考えていきましょう。

治療費について考える際に、1つ重要な事を考える必要があります。それは、ガンによって収入が減るということです。抗がん剤の副作用によって、倦怠感や吐き気などのさまざま症状が出るようになり、健康な時と同様に働くのは難しくなる事がほとんどです。ですので、ガン保険は治療費もそうですが、収入減を補うものとしても役に立つのです。

また、ガン保険はガンにかかってからの加入が難しいことがほとんどで、更に、加入してから90日間の免責期間が設けられており、この期間にガンが発覚してしまった場合、保障を受けることができません。万が一の時の為に、事前に備えておくことが重要と言えるでしょう。

まとめ

ガンはどの部位・ステージであっても、精神的負担がとても大きくなります。それに加え金銭面の不安なども重なると、安心して治療に専念する事が難しくなってしまいます。ガンは身近な病気だという事を念頭に置き、万が一の時の為に、十分な備えをしておく事が重要となるのです。