シニア世代に多い疾患は?公的保険だけでまかなえるのか?

高齢化社会が進み、現在の日本では65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が介護を受けている現状があり、「歳を取ると身体にどんな変化が起こるの?」「高齢者に多い疾患や介護が必要になる疾患って何がある?」等こうした疑問をお持ちの方も多いと思います。
今回この記事では、加齢に伴う身体的変化や、高齢者に多い疾患などついて詳しく紹介していきます。
また、病気やケガをした場合に、今加入している公的保険でまかなえるものなのか、公的保険とは別に医療保険に加入すべきなのかなどの不明点に関しても解説していきたいと思います。
高齢者の身体的特徴
高齢期になると、年齢や個人差もありますが、若いころに比べて心身機能や免疫機能が低下するために、病気にかかりやすくなります。
変調に気づいたら早めにかかりつけ医に受診しましょう。また、症状を自覚しにくいので、年に一度は健康診断を受けて、健康を維持していくことが大切です。
【予備力・免疫力・回復力の低下】
なんらかのストレスが加わったときに対応する予備力が低下することで、機能低下が起こったり、病気になりやすい状態になります。
また、病気などにかかったときに平常時に戻る回復力の低下が起こったり、風邪などウィルスに対抗する免疫力が低下したりします。
【複数の病気を抱えやすい】
同時に複数の病気をもつ人も少なくありません。
病気にかかったときに、障害が残ったり、慢性化したりする可能性が高くなります。
【恒常性維持機能が低下する】
外部環境の変化や、体調によって平常な状態を維持する能力が低下することで、下記のようなことが起こる可能性があります。
・体温調整能力が低下する
・発熱や下痢などにより脱水症状が起こりやすくなる
・血糖値のコントロールが難しくなる
・血圧が安定しにくくなる
【症状がはっきりしない】
病気や症状の兆候など、一般的な状態に当てはまらないことが多くなります。
たとえば、心筋梗塞の痛みは一般的に胸部に出ることが多いですが、腹部に出たり、肺炎であっても微熱程度であったりすることがあります。
症状がはっきりとしないことから、病気の発見が遅れることも考えられます。
高齢化に伴い体の機能低下が起こっている状態であるため、症状が急変したり、重篤化しやすい特徴があります。
|高齢者に多い病気
高齢者に多くみられる病気を紹介します。
【脳血管疾患】
脳梗塞、くも膜下出血、水頭症、てんかんなど
【心疾患】
心筋症、不整脈、狭心症、心筋梗塞、低血圧など
【癌】
食道がん、胃がん、前立腺がん、肺がんなど
【認知症】
アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭型認知症など
その他に・・・
糖尿病
高血圧
肺炎
帯状疱疹
慢性腎不全
骨粗しょう症
変形性膝関節症
などがあります。
保険の必要性
|公的な保険医療制度について
70〜74歳の人は医療費の自己負担が3割から2割に軽減され、75歳以上になると「後期高齢者医療制度」が適用され、医療費の自己負担額が1割になります。
引き続き、高額療養費制度も利用可能であることを踏まえると、高齢者の公的な医療費保障は手厚いといえるでしょう。
ただし、70歳以上で現役並みの所得がある場合は3割負担となります。現役並みの所得とは、どの公的医療保険に加入しているかによって変わる仕組みです。
|高額療養費について
70歳以上の高齢者が利用できる高額療養費制度の自己負担上限額は、所得や受診先などによって変わる仕組みです。
70歳以上の高額療養費制度は、自己負担上限額が低下しているだけでなく、通院においても上限額が設けられている点が特徴的です。
例えば、一般所得者が病気やケガで入院をした場合、ひと月に57,600円を超過した部分が高額療養費制度から払い戻される仕組みです。
加えて、通院による治療を受けた場合も、年間で14万4,000円を超過した部分が払い戻されます。
また、 過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費制度を利用している場合は、多数回該当となり4回目以降の自己負担額の上限が44,400円となります。
|保障に不足がある場合は新規で民間の保険に加入する
公的医療制度と現在加入している保険の保障を鑑みた結果、不足がある場合は新たな保険に加入をする必要が出てきます。
高齢者に必要な保険種類は以下のとおりです。
【死亡保険】
死亡保険は、高齢者に限らず何のために死亡保険を必要としているのか、その場合いくらあれば安心かを計算して検討することが大切です。
高齢者のほとんどの場合は、子供は独立しているため、万が一の場合の生活費や教育費に備える目的での手厚い死亡保障はあまり役に立ちません。
一方で、高齢者は以下のような目的で死亡保険に加入するケースがほとんどです。
・葬儀費用や死後の整理費用の準備
・遺された配偶者や家族の生活費の準備
・相続税対策
【医療保険・がん保険】
高齢者は、公的な医療保障が充実しているとはいえ、医療行為を受けると以下のような自己負担が少なからず発生します。
病気やケガで入院・手術を受けた場合に備えるための「医療保険」や、がんに関する入院・手術・専門的な治療費に備えることができる「がん保険」に加入していると、医療費の自己負担額が高額になる可能性が高い自由診療や先進医療に備えることができます。
【傷害保険】
傷害保険とは、日常のケガや事故に特化した保険です。
高齢者になると体の筋肉が衰えていき、ケガや事故の確率が若い世代の人よりも格段に高まるので、傷害保険を前向きに検討するべきと言えるでしょう。
また、医療保険は年齢や健康状態によって保険料が変わりますが、傷害保険は病歴や健康状態の告知がないので、高齢者でも加入しやすいことが特徴です。
まとめ
高齢者は死亡や病気のリスクなどが上昇するため、保険に加入しておかないと不安に感じられるかもしれません。
しかし、70歳以上の人は手厚い公的医療保障があるうえに、保障を準備する必要性も低下している可能性があります。本当に自分にとって保険が必要かどうかを含め、慎重に検討するようにしましょう。