全国共済お役立ちコラム

シニア世代にがん保険は必要?不要?

2022-6-7

日本人の2人に1人はがんになると言われていますが、罹患率が高くなるのは高齢になってからです。このことから老後に保険の見直しをする際にがん保険を契約し続けるか、または今まで入っていなくて新規加入するのか考える人もいるでしょう。実際のところ、がん保険は本当に必要なのでしょうか?掛け捨てタイプのがん保険には解約返戻金がないことが多いため、コストパフォーマンスを慎重に検討する必要があります。ここでは、がんにかかる確率、がん治療に必要な費用、がん保険の保障内容などから、がん保険が実際に役に立つのかどうかを解説します。

がんにかかる確率

若いうちはがんになる確率は低く、男女ともに50歳代くらいから罹患率は上昇します。そして、高齢になるほど罹患率は上昇していきます。これまでならなかったからといって今後もがんにならないということはなく、むしろこれからが本番だといえます。

また、現在60歳の人が20年後までにがんと診断される確率は男性で41.1%、女性で23.8%と特に男性では老後にがんになる確率が高くなっています。

がん治療にかかる費用

がんになって入院した場合の平均在院日数も老後の方が現役世代よりも長くなっています。

入院が長引くほど医療費は高くつきますから経済的な備えも必要となってきます。生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によると、直近の入院時の自己負担費用は平均で21,366円(60歳代)です。なお、自己負担費用は治療費だけでなく、食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費なども含んでいます。

また、がん治療の中には公的健康保険の対象ではない「先進医療」などを受けたいという人も少なくはないでしょう。
年金により生活をしている人はがん治療費を預貯金で支払うことになりますが、そうなると将来の生活が不安になります。
預貯金を減らさないようにしようとすれば、がん治療費は生活費を切り詰めて捻出しなければなりません。
日本の公的医療保険は手厚いですが、がん治療のように長引く場合には自己負担額も相当な額になることが考えられます。

知っておきたい公的医療保険制度

医療費が高額になってしまう場合、「高額療養費制度」を利用することで、一定額を超えた分が戻ってきます。
「高額療養費制度」は、高齢者だけでなく公的保険に加入しているすべての国民が利用の対象となっています。

通常外来のみで医療機関を利用している場合はあまり馴染みがないはずです。
ところが入院などをされるとき、医療機関から高額療養費制度を申請してくださいと言われる場合が多いと思います。
これは、月の始めから終わりまでの1ヶ月間で医療機関や薬局で支払った金額が上限額を超えた場合に、超えた分の金額を支給してもらえるという制度となっています。そのため、高齢者に限らずびっくりするような医療費を支払わなくても良いということになります。

適用を受けるには、加入している健康保険組合等に申請して限度額適用認定証を取り寄せ、病院の窓口で保険証とともに提示する必要があります。
この限度額適用認定証は高額療養費制度を利用するうえで必要となり、もし提示しない場合は、3割などの自己負担分をいったん支払い、あとで高額療養費を請求して差額分を払い戻してもらうことになります。払い戻しには時間がかかるため、やはりあらかじめ限度額適用認定証を取り寄せておくのがよいでしょう。
なお、自己負担額は、医療機関別、入院・外来別、医科・歯科別にわけて計算します。また、世帯で合算することもできます。詳しくは加入されている健康保険組合等にご確認ください。

がん保険の保障内容

がん保険に加入するとどんな保障を受けることが出来るのでしょうか。

【がん診断給付金】

がんと診断されたときに受け取ることができます。

給付金は、保険期間を通じて1回のみ受け取れる商品と、複数回受け取れる商品があります。複数回受け取る場合、1年や2年に1回という制限や、2回目以降は入院が条件になったり、2回目以降は一時金の金額が変わったりなど、保険会社によって条件はさまざまです。
使い道は自由ですので、治療費用はもちろん、がん治療中の生活費などにあてることも可能です。そのため、がん保険を選ぶときには重視したい給付金の一つです。

【がん入院給付金】

がん治療のため入院したときに、入院日数に応じて受け取ることができます。

医療保険のような1入院あたりの給付限度日数や通算給付日数の制限がないのが一般的ですので、長期入院や入退院を繰り返した場合でも安心です。

【がん通院給付金】

がん治療のため通院したときに受け取ることができます。

保険会社が定める条件(1年や1回の入院など)で支払日数に限度があったり、保険会社が定める期間内で支払日数が無制限だったり、がんで所定の入院をした後での通院しか認められないなどの条件が付いている場合があります。
通院での治療が多くなっていますので、重視したい給付金の一つです。

【がん手術給付金】

がんで所定の手術をしたときに受け取ることができ、給付金額は手術の種類によって入院給付金日額の10倍・20倍・40倍などと定められています。一般的に、手術回数に制限はありません。
がん手術給付金は、がん入院給付金と同様、別途医療保険に加入している場合は、がん保険と医療保険の両方から給付金を受け取ることができます(医療保険に手術・入院の保障がある場合)。

【先進医療給付金】
所定の先進医療を受けたときに受け取ることができる給付金です。

先進医療とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症および実施する医療機関が限定されています。また厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直されます。
先進医療の技術料は健康保険適用外ですので全額自己負担になります。また、高額療養費制度も適用されません。技術料が高額なケースもあるため、この給付金があれば経済的な負担を和らげることができます。

【その他給付金】
ほかにも、抗がん剤や放射線、ホルモン剤治療を受けた場合の給付金や、自由診療の給付金など、商品によってさまざまな給付金があります。
がん保険には、シンプルで保険料がお手頃な商品もありますが、主契約がある程度充実している商品や、特約としてさまざまな給付金を付加して自分でカスタマイズできる商品もあります。
商品を比較するときには、保険料だけでなく、保障についてもよく確認しましょう。

【死亡保険金や生存給付金】

がん保険のなかには、がんで亡くなった場合に死亡保険金を、健康で一定期間給付金などを受け取らずに経過した場合に生存給付金(祝い金)を、受け取ることができる商品もあります。
死亡保険金はお葬式代と考えることができ、生存給付金は掛け捨ての保険に抵抗がある方は検討されても良いかもしれません。

【付帯サービス】
健康への不安やがんの治療方法などを専門家に相談でき、主治医以外の医師にセカンドオピニオンを求めることもできます。
また、がんになるとさまざまな不安に襲われる可能性がありますが、そのような場合に精神的な部分のフォローとして、心理カウンセラーに相談できるサービスもあります。

まとめ

高齢になるとがんになる確率は高くなり、また、入院した場合の平均在院日数も長くなります。高額療養費があるとはいえ、入院した場合は数十万円という費用は考えておいた方がよいでしょう。老後のための貯蓄に余裕がない人や高額な自己負担がかかることもある先進医療・自由診療も選択肢に入れたいという人はがん保険でがんに備えることを検討してみましょう。