全国共済お役立ちコラム

70歳からの保険は必要?高齢者が加入すべき医療保険や生命保険を解説

2019年1月6

多くの保険は、加入できる年齢が決まっており、また加入時に健康状態の告知が必要です。
そのため、病気やケガ、死亡のリスクが高まる高齢者は、若い人と比較すると保険加入の選択肢が少なくなる傾向があります。日本では公的医療制度が非常に充実しているため、高齢者だからという理由で過剰に保険加入する必要はありません。高齢者が保険を選ぶ際も他の世代の人と同様に、公的な保障で不足する部分に対して保険加入を検討し、加入目的を明確にしたうえで自分に合った保険を選ぶことが大切です。
この記事では、安心して老後を暮らせるよう、高齢者が保険を選ぶ際のポイントについて分かりやすく説明します。

高齢者の保険選びのポイント

保険を選ぶ場合は以下の順番で確認を行うと、自分に必要な保障が明確になります。

❖高齢者が保険を選ぶ際のポイント
 現在加入している保険の内容確認をする
 公的な医療保障制度を適切に利用する
 保障に不足がある場合は新規で保険に加入する
|現在加入している保険の内容確認をする
まず、現在加入している保険の内容を確認しましょう。
内容を確認することで、追加で保険に加入する必要性や、保障を見直す必要性が判断できます。加入している保険の内容を確認する際は、主に以下の項目を見直すと効果的です

❖現在加入している保険の確認内容
 保障内容
 保険料
 保障期間(保険期間)

保障内容

自分が加入している保険の保障内容を確認し、現在の状況において過不足がないかを見ていきましょう。生命保険(死亡保険)については、以下の項目を確認していきます。
 死亡保険金の額
 保険金額は今後増減しないか
 保険金の受取人は誰になっているか
 保険金の受取方(一括or分割)
 満期保険金や解約返戻金の有無

次に、医療保険やがん保険などの保険では、以下の点を確認しましょう。
 保険金や給付金の額はいくらか
 どんな時に保険金や給付金が支払われるか
 免責期間が設けられていないか
 お祝い金や解約返戻金の有無

もし、保障内容が加入時に設定したままの場合、現在と照らし合わせた際に保障が過剰になっており、余分な保険料を払っている可能性があります。反対に、保障が十分でなく不足が発生する場合は、保障の増額や別の保険へ新規加入が必要です。
また加入している保険料の払込期間や、保険料の額を確認しましょう。
定期型の保険では、保障期間が終了するとともに保険料の払込みも終わります。
更新型の保険であれば、解約しない限り保障期間が終了しても自動更新されて引き続き保障されますが、同額更新の場合は保険料負担が上昇する仕組みです。
契約が満期を迎える場合、引き続き保障を継続するためには新規加入が必要ですが、
高齢になると病気やケガのリスクが上昇するので、保険料が高額になるケースが多くあるので、注意が必要です

70歳以上の生命保険世帯年間払込保険料

ここで、実際に70歳以上の人が、保険料をどれだけ支払っているのか確認しましょう。

 70歳以上の生命保険世帯年間払込保険料
年齢       世帯年間払込保険料    世帯月額払込保険料
70~74歳     33.7万円       2.8万円
75~79歳     31.4万円       2.6万円
80~84歳     28.6万円       2.4万円
85~89歳     35.8万円       3.0万円
90歳以上     25.6万円       2.1万円

70歳以上の世帯では、毎月2〜3万円程度の保険料を支払っていることが分かります。
ちなみに全世代の平均は、年間約37.1万円(月額約3.1万円)ですので、他の世代と比較すると支払っている保険料は少ないです。
要因としては、子供の独立によって高額な死亡保障が不要になった、個人年金保険の払込が終わったなどが挙げられます。

公的な医療保障制度を適切に利用する

70〜74歳の人は医療費の自己負担が3割から2割に軽減され、75歳以上になると「後期高齢者医療制度」が適用され、医療費の自己負担額が1割になります。
引き続き、高額療養費制度も利用可能であることを踏まえると、高齢者の公的な医療費保障は手厚いといえるでしょう。
ただし、70歳以上で現役並みの所得がある場合は3割負担となります。現役並みの所得とは、どの公的医療保険に加入しているかによって変わる仕組みです。

❖「現役並みの所得」の内訳
 健康保険加入者:標準報酬月額28万円以上
 国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者:課税所得が年間で145万円以上

高齢者の高額療養費について

70歳以上の高齢者が利用できる高額療養費制度の自己負担上限額は、所得や受診先などによって変わる仕組みです。
70歳以上の高額療養費制度は、自己負担上限額が低下しているだけでなく、通院においても上限額が設けられている点が特徴的です。
例えば、一般所得者が病気やケガで入院をした場合、ひと月に57,600円を超過した部分が高額療養費制度から払い戻される仕組みです。
加えて、通院による治療を受けた場合も、年間で14万4,000円を超過した部分が払い戻されます。また、 過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費制度を利用している場合は、多数回該当となり4回目以降の自己負担額の上限が44,400円となります。

まとめ

いかがでしたか。高齢者が保険に加入する際のポイントや注意点について解説しました。
高齢者は死亡や病気のリスクなどが上昇するため、保険に加入しておかないと不安に感じられるかもしれません。しかし、70歳以上の人は手厚い公的医療保障があるうえに、保障を準備する必要性も低下している可能性があります。本当に自分にとって保険が必要かどうかを含め、慎重に検討するようにしましょう。