70歳 保険は本当に必要なのか?

貯蓄以外で病気やケガに備えることを考えたとき、「保険」を思い浮かべる方は少なくないのではないでしょうか。70代の方の中には、「新たに保険に入りたいけれど、いつまで入れるのだろうか。」「今加入している保険の保障は何歳までつづくのだろうか。」という疑問を持つ方もいると思います。
今回は70代の方の保険の必要性について紹介していきましょう。
現在加入している保険の内容を把握しましょう!
これからの保険をどうするか考えるには、まず「現在加入している保険の保障内容」をしっかりと理解しておくことが大切です。
死亡保険には、保障される期間が決まっている定期保険と、保障が一生涯続く終身保険があります。医療保険やがん保険などにも、保険期間の決まっている定期型と、保障が一生涯続く終身型があります。
また、保険料の支払い方法も、一定の年齢や期間で保険料の支払いが終わる有期払い(短期払い)や、保険期間中ずっと支払いが続く全期払い(終身保険の場合は終身払い)など、さまざまです。
たとえば、定期型の保険に加入している場合、保険期間の満了とともに契約が終了する全期型の商品もあれば、一定期間ごとに更新されていく更新型の商品もあります。また、更新できる年齢や保障が続く期間には、保険商品ごとに上限年齢が定められていることが一般的です。現在加入している保険の保障は何歳まで続くのか、保険期間が終わった後はどうするのか、といったことを確認、検討しておかなくてはなりません。
また、保険料の支払いが70歳以降も続く場合、保険料が家計を圧迫する可能性も考えられます。保障内容が過剰になっていないか、今加入している保険は本当に必要なものなのか、貯蓄などで病気やケガに備えることは難しいのか、といったことも改めて考える必要があります。
一般的に、年齢が上がれば上がるほど、病気や死亡のリスクは高くなることから、保険に新規加入する場合や更新の際には、保険料もそれに応じて高くなっていきます。
70歳以上の公的医療保険制度を見てみましょう!
70歳から74歳までの方が医療機関の窓口で支払う自己負担額は、原則として医療費全体の2割になります。
75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や健康保険制度を脱退し、「後期高齢者医療制度」に加入することになり、窓口での自己負担額は原則として1割になります。
いずれの場合でも、「現役並み所得者」に関しては、医療費の自己負担は3割となります。
ただし、一定の条件を満たす方は、70歳から74歳までの「現役並み所得者」であっても、申請することにより自己負担額は2割となります。また平成26年4月1日までに70歳に達している方は1割となります。
75歳以上の「現役並み所得者」の方も、一定の条件に該当する場合は、申請することにより窓口での自己負担額は1割となります。
70歳以上の高額療養費制度も利用しましょう!
医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が1カ月で一定の上限額を超えた場合には、高額療養費制度の対象となり、上限額を超えた額が支給されます。
一般の世帯(住民税非課税世帯ではない、年収約370万円未満の世帯)であれば、入院や手術、通院にかかった1ヵ月の医療費は57,600円(世帯合算*)を超えた分については戻ってきますし、通院などの外来療養にかかる医療費も1人当たり年は間70で14万4,000円を超えた額は払い戻されます。
さらに、高額療養費の払い戻しを受けた月が過去12ヵ月以内に3回以上あったときは、4回目からは多数回該当として自己負担限度額がさらに引き下げられます。
なお、70歳から74歳までの方の多数回該当のカウントについては、「外来(通院)の限度額の適用によって高額療養費を受けた月」は含みません。
どこまで医療費がカバーされるかを確認したうえで、民間の保険の必要性や保障内容について考えるようにすることが大切です。
どのようなときに保険は必要になるのか考えてみましょう!
これまで見てきたように、高齢者は、高齢者医療保険制度の手厚い公的保障があるため、保険適用範囲内であれば大きな医療費がかかることは少ないでしょう。
しかし、公的医療保険で対応できない費用として、差額ベッド代、入院中の食費、保険適用外の治療費などがあります。
また、先進医療と言われる高度な治療法も公的医療保険の対象とはなりません。
また治療に直接かかる費用以外にも、入院中には、パジャマやオムツなど必要なものが意外と多くあります。付き添いやお見舞いなど、家族の方の交通費や宿泊費が必要になることもあります。
医療保険は、よりよい治療を受けるため、治療中にかかる身の回りのことを補填する費用に活用することができます。
また、自分が亡くなったときに備えて保険で資金を用意しておくという場合も考えられます。人生の最期に家族に迷惑をかけないように、死亡保険でお葬式費用やお墓代を準備しておけば、のこされた家族にとっても故人の遺志を実現しやすくなります。
さらに夫婦で年金から収入を得ている世帯の場合、配偶者の一人が亡くなると、世帯で受け取る年金の額は少なくなります。のこされた配偶者や家族が金銭的に困らず生活できるように死亡保険でお金をのこすことも検討する必要があります。
公的保障で補えない部分を保険で補いましょう!
今回は70歳以上の方の公的保障を紹介しながら、どのような保険が必要になるのを考えてみました。
現在入っている保険を把握し、必要であれば見直しながら将来に備えることができればいいですね!