全国共済お役立ちコラム

教えて!交通事故の過失割合はどのように決まるの?

2021-11-4

交通事故を起こしてしまった際、示談交渉で揉めやすいポイントとなるのが、何と言っても「過失割合」です。過失割合によってどちらが被害者でどちらが加害者になるのか、また、請求できる損害賠償の金額なども決まってくるため、誰しもが納得した結果で終わりたいと思うでしょう。そうなると、過失割合がどのように決められているのか、気になる方も多いですよね。今回はそんな交通事故における過失割合について、詳しく解説していきたいと思います。

そもそも過失割合とは?

過失割合とは、発生した交通事故に対する責任(不注意、過失)の割合のことをいいます。交通事故は、事故の当事者一方のみに過失があるケースよりも、お互いに何かしらの過失があるケースがほとんどのため、当事者双方の過失を数値で分かりやすく表すとこが求められます。
一般的に過失割合は、事故の当事者が契約している保険会社の担当者が協議し、過失割合が大きい方が加害者、過失割合が小さい方が被害者と呼ばれます。また、被害者となった場合でも、被害者側にも過失があると認められれば、その分の責任をとる必要があります。

 

過失割合はどのように決まるの?

過失割合は、根拠もなくただ単に話し合って決められているのではありません。過去の裁判例によって作成された基準表を使用し、事故の種類や発生当時の行動等によって細かく分類された事故類型を定めて算出しているのです。事故類型の主な例は以下のようになります。

■歩行者と車による事故の場合

  • 歩行者と前方または後方から来た車との衝突
  • 道路横断中の歩行者と車の衝突

■車と車による事故の場合

  • 正面衝突
  • 信号待ちで停車中の車に追突

■自転車と自動車による事故の場合

  • 車が右折または左折しようとした時に自転車を巻き込んだ
  • 交差点で出合い頭に衝突

■単独事故の場合

  • カーブを曲がりきれずにガードレールや標識に衝突

さらに、細かい原因を考慮し、調整するために「修正要素」があります。
この修正要素によって、過失割合が修正され、最終的に決定されます。
修正要素の主な項目は以下のようになります。

■歩行者と車による事故の場合

  • 夜間:日没時から日出時までの時間に事故を起こした場合、過失割合が加算
  • 幹線道路:車幅が14m以上の車の交通量が多い国道や県道で起きた事故の場合、過失割合が加算
  • 幼児・児童・老人:6歳未満の幼児、6歳以上13歳未満の児童、おおむね65歳以上の老人と衝突した場合、過失割合は減算
  • 集団横断:相手が集団で道路を横断・通行していた場合、過失割合は減算

■車と車による事故の場合

  • 重過失:居眠り運転や飲酒運転、無免許運転をしていた場合、過失割合が加算
  • 大型車:車輌総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上で、乗車定員30人以上の自動車を運転していた場合、過失割合が加算
  • 道路交通法50条違反:進入が禁止される状況で交差点へ進入した場合、過失割合が加算
  • 大回り右折:道路の中央に寄らず右折した場合、過失割合が加算

 

 

過失割合がついたらどうなるの?

では、実際に過失割合がつくと、どのようなことが起こるのでしょうか。

過失割合がついた場合、「過失相殺」という形で責任をとる必要が出てきます。

過失相殺とは、付いた過失割合分、受け取れる損害賠償金が減らされることです。

交通事故で怪我等の損害を負った場合、通常、事故の相手側に損害賠償を請求することができます。もし、自分に過失が全くなければ、損害賠償の全額を相手側に請求することができますが、少しでも過失があった場合、過失相殺によって自分が負うべき過失割合分が損害賠償額から差し引かれるため、全額請求することはできません。

では、過失相殺によって請求できる損害賠償の金額がどのように変化するのか、具体的に見ていきましょう。

(例)

過失割合:A70%、B30%の場合

Bの損害額の合計:200万円
実際にBが請求できる金額:200×70%=140万円

このように、過失割合の程度が大きいほど過失相殺される金額も大きくなり、得られる損害賠償の金額が少なくなります。

 

 

過失割合の具体的事例

最後に、実際の交通事故における過失割合の事例をいくつか紹介します。

事例①

自動車Aが高速道路に進入しようとした際、本線を走っていた自動車Bと衝突した。

過失割合 A:B=7:3

基本的に車線変更をした方の過失が大きくなります。

事例②

自転車Aが赤信号を無視して交差点を直進しようとしたら、自動車Bと衝突した。

過失割合 A:B=8:2

自転車はあくまでも車両扱いされます。一般的に自動車と自転車による事故の場合、自動車の方が責任が重いとされることが多いです。

事例③

信号のない横断歩道がある道路を走行していた自動車Aと、横断していた歩行者Bが衝突した。

過失割合 A:B=10:0

横断歩道上の事故の場合、歩行者に過失がないことがほとんどです。

 

 

まとめ

いかがでしょうか。

このように過失割合は単に話し合いで決められているのではなく、明確な基準によって算出されているのです。算出された過失割合に納得がいかない方は、一度保険会社や弁護士に相談してみると良いでしょう。