全国共済お役立ちコラム

親の死亡時、相続税はいくら?死亡保険はどうなる?

2021-4-2

自分の親が亡くなってしまった際に、その家族や身内の人は対応しなければならない作業が沢山出てきます。
なかでも「相続」という言葉は一番に頭に浮かぶ方は多いと思いますが、特に相続する際にかかる「相続税」に関しては、大きな金額になるという不安がある上に、その内容は複雑で難しく、“まず何から考えれば良いのかわからない”とお考えの方も少なくないことでしょう。
今回は、親の死亡時にかかる相続税の基本について解説していきましょう

相続税とは?3つのパターンあり

相続税とは、被相続人(亡くなった人)の財産を受け継いだ際などに、その取得した財産総額が大きいとかかる税金のことです
相続税が課せられる人は、以下の3パターンがあります。

【相続税の課せられる3パターン】
◇相続人
◇受遺者
◇相続時精算課税にかかわる贈与を受けた人

【相続人】:相続人には誰が当てはまるの?

被相続人により遺言がない限りは、「法定相続人」が相続すると民法で定められており、相続人となった場合は相続税の対象になります。

◎法定相続人とは?
法定相続人になれるのは、配偶者と血族となっています。配偶者は必ず相続人になれますが、それ以外は優先順位が決まっており、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。

 

◎相続権がない人とは?
一見、被相続人と「親族」であれば誰でも少しくらいは財産を受け取る事ができそうな気がしますが、以下のような「相続権のない人」は、何も得る事ができないのです。

【親族でありながらも相続権のない人の例】
◇事実婚の妻
◇離婚した元妻
◇被相続人と養子縁組していない妻の連れ子
◇配偶者の血族及び血族の配偶者(姻族)
◇相続順位による後順位の人

しかし、被相続人に法定相続人がいない場合、上記のように相続権がない人でも「特別縁故者」として特別に相続を受ける権利が発生する場合もあります。

【受遺者】:受遺者となるのは誰?

受遺者とは、遺贈や死因贈与を受けた人のことを指します。遺贈・死因贈与については以下のとおりです。

◇遺贈:遺言によって財産を譲り渡すこと
◇死因贈与:死亡が原因で効力を生じる贈与

どちらも同じように感じますが、大きな違いは、「遺贈」は“遺言者のみの単独の意思”となるのに対し、「死因贈与」は“贈与・受贈両者の合意によって行われる契約”という点です。

法定相続人の順位や対象により相続権がない人でも、受遺者になった場合は通常の相続人と同様に相続税の対象となります。

【相続時精算課税にかかわる贈与を受けた人】:贈与者が死亡した場合は?

両親や祖父母などの直系尊属から生前贈与を受けた場合、「相続時精算課税制度」により、受贈者は2,500万円までは贈与税を納めずに贈与を受けることができます。
しかし贈与者が亡くなった時に、贈与財産額と相続財産額を合計した金額から相続税額を計算し、相続税を納税しなければなりません。

基礎控除について

実は、相続人になった場合に遺産への相続税が必ずかかるのかというと、そうではありません。なぜなら相続税には「基礎控除」が存在するからです。

※基礎控除=税がかからない一定範囲のこと

相続税の基礎控除額は以下のように計算されます。

【相続税の基礎控除計算方法】

基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人)

つまり、基礎控除額の最小は3600万円の為、それ以下であれば法定相続人が何人かに関わらず、相続税がかかることはないということになります。

仮に法定相続人が、妻1人+子供2人であった場合は、

基礎控除額=3000万円+(600万円×3)=4800万円

となり、遺産額が4800万円以下の場合は、相続税がかかりません

◎他にも相続税が軽減される特例や控除がある!
更に、上記で説明した基礎控除を超えた場合でも相続税がかからないケースがあります。

【配偶者控除】
配偶者が遺産を相続した場合、「法定相続分以内(法定相続人が配偶者&子の場合=遺産半分以下)」か「1億6000万円以内」は相続税がかからない仕組みになっています。

例:遺産が2億円の場合
◇配偶者が法定相続分で相続=相続税がかからない
◇配偶者が2億円全て相続=1億6000万円を超えた4000万円が課税対象

【小規模宅地の特例】
被相続人が住んでいた土地や、事業・賃貸用として使用していた土地について、定められた限度までの面積では課税評価額が50%~最大80%まで減額される特例のことです。
※一定の要件を満たす必要があります。

相続税の対象・対象外となる財産の例

 

【相続税が課される財産】

◎死亡保険などは?
死亡保険金など、被相続人が亡くなった時点では所持していなかった財産に関しても被相続人の死亡が原因で相続人が受け取る事となっている財産の事を、「みなし相続財産」と呼び、これらにも相続税がかかることとなります
詳しくは次のコラム「死亡保険金にかかる税は「相続税」だけではない?」に記載しています。

まとめ

親が死亡してしまった際にする手続きは多く、いざとなると混乱してしまいがちです。一見難しそうな相続税についてですが、事前に対象になる財産、ならない財産や、相続税がかかる金額、かからない金額などを把握しておく事で、実際にその状況になった時に慌てなくて済みますので、「まだ大丈夫」と思わず知識として入れておきましょう。