全国共済お役立ちコラム

死亡保険金にかかる税は「相続税」だけではない?

2021-4-3

病気やケガ、そして死亡に備えて保険に加入している方の割合は30代を過ぎたあたりから90%程にも上ります。
しかし皆さん、万が一の事が起こった時に受け取れる「保険金」にも税が関わってくる事はご存じでしたでしょうか?
人が亡くなった際に受け取る遺産等には相続税がかかることはよく知られていると思いますが、果たして「死亡保険金」にかかる税も全て「相続税」になるのでしょうか?今回は死亡保険金に関連した税の種類について見ていきます。

保険で受け取るお金全てに税がかかる?

保険に加入していて、病気やケガ、死亡等で受け取るお金には税が関わってくると冒頭で述べましたが、実は「全てに対して」ではありません。
では、非課税のものとは一体何でしょうか。

◎病気やケガに対する「給付金」には税がかからない
所得税法施行令第30条第1号《非課税とされる保険金、損害賠償金等》の規定により、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」つまり「自身の病気やケガにより受け取る給付金」に関しては、非課税の対象となります。
以下、非課税対象の給付金です。

【非課税対象給付金】
◇入院・手術・通院給付金
◇先進医療給付金
◇就業不能給付金
◇特定疾病保険金
◇がん診断一時金

◎死亡した場合に受けとる「保険金」には税がかかる
死亡した場合は、先ほど述べた「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に当てはまりませんので、税がかかってくることになります

死亡保険金にかかる税は3種類

死亡保険金にかかる税の種類は、契約者、被保険者、保険金受取人の組み合わせにより異なります。
まず、税の種類は以下の3つになります

【死亡保険金にかかる税の種類】
◇所得税
◇相続税
◇贈与税

そして、組み合わせごとの税の種類は以下のようになります。

【組み合わせごとの税の種類】

◆用語解説◆
◇契約者(保険料負担者)
:保険の名義人で、毎月の保険料を支払っている人になります。
(保険料=支払うお金/保険金=受け取るお金)
◇被保険者
:保険がかけられている人であり、病気やケガ、入院などで保障が貰えます。被保険者が死亡した場合は、遺族に保険金がおります。
◇保険金受取人
:被保険者が死亡した場合に保険金を受け取れる人です。

では、それぞれ3種類の税について説明していきましょう。

所得税がかかるケース

死亡保険金に所得税がかかるのは、契約者と保険金受取人が同じケースです。ただし、一括で受け取った死亡保険金全てに所得税がかかるわけではなく、所得税がかかるのは「一時所得金額」に対してのみになります。
一時所得金額は、以下の計算から算出できます。

【一時所得金額計算方法と課税対象金額】
①一時所得金額=死亡保険金総額-支払った保険料-50万円(特別控除額)
②課税対象額=①×1/2

例:死亡保険金が2000万円/死亡するまでに支払った保険料が500万円

①一時所得金額=2000万円-500万円-50万円=1450万円
②課税対象額=1450万円×1/2=725万円

よって、この場合は受け取った2000万円のうち725万円が課税対象となるのです。

相続税がかかるケース

死亡保険金に相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同じ人の場合です。保険金の受取人が法定相続人の場合は、税が抑えられるような仕組みになっています。

◆法定相続人とは?◆
法定相続人になれるのは、配偶者と血族となっています。優先順位が決まっており、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。
◇第1順位:死亡した契約者および被保険者の「子」及び「孫(子が死亡している場合)」
◇第2順位:死亡した契約者および被保険者の「両親」や「祖父(両親が死亡している場合)」
◇第3順位:死亡した契約者および被保険者の「兄弟姉妹」や「甥や姪(兄弟姉妹が死亡している場合)」

相続税を考える際にまずは「非課税限度額」を知る必要があります。非課税限度額の求め方は以下の通りです。

【非課税限度額の計算方法】

①非課税限度額=500万円×法定相続人数

例:Aさん(男性)の死亡/死亡保険金が2000万円/Aさんには妻と2人の子あり

この場合、Aさんの法定相続人は「妻」と「2人の子」の計3人となります。つまり、

非課税限度額=500万円×3人=1500万円

よって、この場合の非課税限度額は、保険金2000万円のうちの1500万円となります。

しかし、最終的に相続税がかかるのかどうかを判定するには、「基礎控除額」を知らなければなりません。非課税限度額をマイナスした死亡保険金総額と保有財産の合計が、この基礎控除額よりも低ければ、そもそも相続税がかからないことになります

【基礎控除額の計算方法と相続税判定】
①基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人)
②相続税判定=保有財産+死亡保険金総額-非課税限度額=「<」or「>」①

例:Aさんの保有財産:0円の場合

①保有財産=0円
②死亡保険金総額=2000万円
③非課税限度額=1500万円
④基礎控除額=3000万円+(600万円×3人)=4800万円

つまり、

0円+2000万円-1500万円=500万円
500万円<4800万円

となり、この場合、基礎控除額の4800万円を超えませんので、相続税がかからないことになります

贈与税がかかるケース

契約者、被保険者、保険金受取人がそれぞれ異なる場合は贈与税がかかります。贈与税にも基礎控除がありますが、その額はわずか110万円となっています。
つまり、課税対象金額の計算方法は以下のとおりです。

【課税対象金額計算方法】

課税対象金額=死亡保険金総額-110万円(基礎控除額)

例:死亡保険金総額が2000万円の場合

課税対象金額=2000万円-110万円=1890万円

つまり、2000万円の保険金のうち、なんと1890万円も課税対象になってしまうわけですね。

まとめ

3種類の税のケースをそれぞれ見ていきましたが、相続税が最も課税対象金額が少ない事がわかります。逆に贈与税は控除額も少なく税率も高く設定されている為、デメリットが大きくあまりおすすめされていません。
死亡保険に加入をされている方は今一度、「契約者」「被保険者」「保険金受取人」がそれぞれ誰に設定されているかを確認し、全て異なる人になっている場合は早めに見直すことをおすすめします。