全国共済お役立ちコラム

年末調整・確定申告【生命保険料控除の申請】

2021-4-5

会社員、そしてアルバイト・パートとして勤務をしていると、1年に1回、「年末調整」が行われますね。
もう何年も書いているから慣れているという方も多いかとは思います。では、「確定申告」についてはどうでしょうか。年末調整をしていても、状況によっては確定申告をしなければならない場合もありますので、こちらも理解しておくことが大切です。
また、保険に加入している場合、年末調整で控除を受けられますが、申請し忘れてしまったらどうしたらよいのでしょうか。

年末調整と確定申告の違い

年末調整も確定申告も実は目的は同じで、“所得税を納める”ということです。
しかし大きく違うところは、“誰によって申告・納税されるか”になります。

◎年末調整(=会社が確定申告を代行する)
会社員やアルバイト・アパート等の給与所得者である場合、それら従業員と税務署の“間”に、会社が入る形になります。
会社側は、年末に従業員に対して年末調整書類の提出を促し、その上で従業員の代わりに税務署へ申告・納税をします。

◎確定申告
確定申告は、個人事業者やフリーランスなど、会社に所属している給与所得者ではない人が自分自身で1年の所得を計算し、税務署へ申告・納税に行かなければなりません

では次から、年末調整と確定申告について簡単に解説していきましょう。

そもそも年末調整とは?【年末調整①】

年末調整実は、「会社側が従業員に代わって所得税を税務署に申告・納税すること」で間違いではないのですが、厳密に言うと少し違います。

実は、従業員が毎月給与を受け取る際、すでに所得税が引かれています(これを源泉徴収と言います)。しかし、源泉徴収額はあくまで概算であり、扶養者の有無や生命保険料・住宅ローン控除などは考慮されていないものとなります。

年末調整とは、

・従業員の控除等を全て考慮した最終的な「所得税」
・源泉徴収された「税額」

上記2つの差額を計算した上で、還付または追加徴収などを行う調整手続きのことを指します。

対象とならない人・手続きを年の途中で行わなければならない人とは?【年末調整②】

会社に所属している場合でも、必ずしも年末調整の対象者になるわけではなく、以下の条件の人等は対象外となります。

・その年の給与収入金額が年間2,000万円を超える場合
・災害減免法で、源泉所得税等の納税猶予や還付を受けている場合
・扶養控除等(異動)申告書を会社側に提出していない場合
・日雇労働者の場合
・12月31日の時点で会社に在籍していない場合

また、年末調整と言うと“年末のみ”に行うイメージですが、必ずしも年末にならないケースもあります。その対象者は以下のような人です。

・海外転勤により、非居住者となった人
・死亡によって退職した人
・心身の障害のために退職した人(再就職の見込みのない人)
・12月に支給されるべき給与等の支払を受け取った後に退職した人
・パート等の退職者(その年中の給与総額が103万円以下、尚且つその年中に他社からの給与支払いを受ける予定がない)

確定申告とは【確定申告①】

確定申告とは、個人で1月1日から12月31日までに受けた所得から、所得税を計算し納税する手続きのことです。

手続きは原則的に、翌年の2月16日~3月15日の間に行います。

確定申告の対象者とは?会社に所属していても対象になる場合も【確定申告②】

まず、確定申告の対象者は以下の通りです。

・個人事業を営んでいる人(フリーランス等)
・不動産収入等がある人
・退職時に、退職金受給に関する申告書を会社に提出していない人
・65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円を超える公的年金等を受け取っている人

次に、会社に属しているが確定申告を行わなければならない人は以下の通りになります。

・年収が2000万円を超える人
・副業の所得合計が20万円を超えている人

年末調整・確定申告共に様々な控除がある

年調整や確定申告によって、様々な控除を受ける事ができます。

例えば年末調整の場合は、基礎控除に加え、

・配偶者控除・配偶者特別控除
・扶養控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除

等があります。

確定申告では、

・青色申告による控除
・扶養控除
・医療費控除
・寄附金控除
・雑損控除

等があげられます。

今回は年末調整の「生命保険料控除」に焦点を当てて見てみましょう。

年末調整「生命保険料控除」欄の書き方

生命保険料控除は、「給与所得者の保険料控除申告書」の書類に記入する部分があります。

書き方は簡単に、下記の通りです。

①控除証明書に沿って記入
加入している生命保険から得られる「控除証明書」を元に、以下の部位を埋めます。

新制度・旧制度は証明書の「適用制度」欄をご確認ください。
「介護医療保険料」に関しては、新制度から新に追加された控除なので旧制度はありません。

②新保険料・旧保険料の合計金額をそれぞれ記入
①で記入した(a)部分をそれぞれ「新・旧」分けて合計し、赤枠部分に記入します。

③それぞれ控除額を計算する
②で出した合計金額のうち、「A・C・D」は「計算式Ⅰ(緑枠)」を使い計算し、出た金額をそれぞれ「①・ロ・④」に記入します。
同じく「B・D」は「計算式Ⅱ(黄色枠)」から計算し、それぞれ「②・⑤」に記入します。

もし、それぞれ最高金額を超える額が算出された場合は、最高金額を記入してください。

④それぞれの控除額の算出
1:黄色枠「①と②」「④と⑤」の各合計額をそれぞれ「③・⑥」に記入します。
2:緑枠「②か③」「⑤か⑥」のいずれか大きい方をそれぞれ「イ・ハ」に記入します。

もし、それぞれ最高金額を超える額が算出された場合は、最高金額を記入してください。

⑤最終的な控除額の算出
算出された「イ・ロ・ハ」の合計額を赤枠に記入し、最終的な控除額を出します。

もし年末調整にて生命保険料控除を申請し忘れたら?

万が一、年末調整で申請し忘れてしまっても大丈夫です。その時は確定申告で申告することにより、払いすぎた税金を戻してもらうことができます。

所得税の確定申告の時期は毎年決まっていますが、所得控除等の「還付申告」の場合は翌年以降5年以内であればいつでも受け付けてもらえますので、焦る必要はありません。

手続きは面倒なように感じ、ついつい放置してしまいがちですが、生命保険料控除の額は最大12万円にもなる為、必ず申告しましょう。

まとめ

今回は、年末調整・確定申告、そして生命保険料控除の申請について簡単に解説しました。
年末調整でも年途中で手続きを行う対象の人、会社に属していても確定申告の対象の人などありますので、それぞれの対象となる人を頭に入れておきましょう。
生命保険料控除は最大12万円と大きな額になります。面倒とは思わずに年末調整での申請、忘れていた方は確定申告での申告をお忘れなく。