全国共済お役立ちコラム

相続税対策に有効!?生命保険の活用

2021-4-6

身内の人が亡くなってしまった際に考える事の1つとして、相続の問題があります。財産を相続した場合はもちろん、相続税のことを忘れてはなりません。
財産を相続した場合、その全てが相続税の対象になるわけではなく、「基礎控除」よりも多くなってしまった際にその超過分に対してのみ相続税がかかります。
しかし、受け取れる財産に対する相続税は軽減できた方が良いですよね。さて、「相続税対策に生命保険が活用できる」ということを聞いたことがありますでしょうか。今回はそんな“相続税と生命保険”についてお話していきます。

平成25年度、相続税法の改正あり

相続とは、ある人の資金・不動産等の財産が、その人が亡くなった事が原因で配偶者や子供等に引き継がれる事を言います。そして、亡くなった人を被相続人といい、財産等を引き継ぐ人を相続人と呼びます。

冒頭でも述べた通り、財産を相続した場合は相続税がかかりますが、「基礎控除」がありますので全てが課税対象になるわけではありません。

しかし、国税庁の「2016(平成28)年分の相続税の申告状況について」を見てみると、平成26年から平成27年にかけて“課税対象被相続人”の数が大幅に増え、その差は2倍にまでなりました。

なぜそこまで増えたのでしょうか?

実は、

平成25年に相続税法改正により、平成27年1月1日以降に発生する相続税に対する「基礎控除」が引き下げられた事が原因です。

 

改正前と改正後の基礎控除額の計算方法の違いは以下の通りです。

改正前
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人)

例:法定相続人が2人の場合
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×2)=7,000万円

改正後
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人)

例:法定相続人が2人の場合
基礎控除額=3,000万円+(600万円×2)=4,200万円

つまり法定相続人が2人の場合、改正前までは7,000万円までは課税対象外だったのに対し、改正後は4,200万円までしか課税対象外になりません。この差は大きいですね

基礎控除額が減額されてしまった今、相続税の節税ができるのであればそれに越した事はありません。

では、次から「生命保険」と相続税について見ていきましょう。

死亡保険金が相続税の対象となるケースとは?

ここで気を付けなければならないことは、“死亡保険金が必ずしも相続税の対象になるというわけではない”、ということです。

生命保険に加入する際には、「契約者」「被保険者」「保険金受取人」を誰にするか考える必要があります。

◇契約者(保険料負担者)
:保険の名義人で、毎月の保険料を支払っている人になります。
(保険料=支払うお金/保険金=受け取るお金)
◇被保険者
:保険がかけられている人であり、病気やケガ、入院などで保障が貰えます。被保険者が死亡した場合は、受取人に保険金がおります。
◇保険金受取人
:被保険者が死亡した場合に保険金を受け取れる人です。

相続税の対象になるには、「契約者=被保険者」とする必要があります。

その他、「契約者=受取人」にした場合は所得税、「それぞれ全て異なる人」にした場合は贈与税の対象となります。
詳しくは、コラム「死亡保険金にかかる税は「相続税」だけではない?」をご覧ください。

なぜ生命保険で節税?

では、なぜ生命保険が相続税対策に良いとされるのか見ていきましょう。

①非課税枠がある
相続税対象の契約(契約者=被保険者)の場合、被保険者が亡くなった際に“みなし相続財産”として相続人に相続される死亡保険金は、先述した「基礎控除」に加えて「非課税枠」を使う事ができるのです。

非課税枠の計算方法は以下の通りです。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

例として、死亡保険金が6,000万円、受取人が妻と子供2人の計3人だった場合、

・非課税限度額=500万円×3人=1,500万円
・非課税枠超過分=6,000万円-1,500万円=4,500万円
・基礎控除額=3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

➡4,500万円<基礎控除額

となり、死亡保険金が非課税枠を超えてしまったとしても、その超過分がそもそも基礎控除額以下になる為、相続税がかからないことになります。

では、もしこの6,000万円が死亡保険金ではなく、保有財産だった場合はどうでしょうか。
その場合は単純に、

・基礎控除額=3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

➡6,000万円>基礎控除額

・課税対象額=6,000万円-4,800万円=1,200万円

となり、課税対象額は1,200万円になります。

つまり、同じ6,000万円であってもそれが死亡保険金であれば、単純に考えて相続税課税対象額が1,200万円も安くなる事がわかりますね

②納税資金にできる
相続財産がすぐにお金として受け取れるものであれば良いのですが、もし不動産等が中心であった場合、売却には時間を要しますし、使い続ける場合は換金ができませんので、納税の為の資金の確保が難しくなります。

その点、相続税の申告・納税期限内に受け取れる死亡保険金であれば、納税資金準備がスムーズにできるのです

相続税を考慮して入るべき保険は?

相続税対策として保険に加入する場合、「終身保険」が無難でしょう。

なぜなら、相続はいつ発生するかわからないものの、終身保険だと被保険者が何歳で亡くなっても死亡保険金が支払われるからです

定期保険は、毎月の保険料が安く抑えられるものの、その名の通り「一定期間」の保障の為の保険ですので、保険期間が終わってしまえば保障も終わります。
いつ起こるか予想できない相続の対策として加入するには十分とは言えないでしょう。

もし定期保険に加入したいのであれば、90歳後半から100歳位まで保障が続く「長期定期保険」を選びましょう。

また、これらの保険はもちろん様々な特約(がん特約等)を付ける事ができますが、あくまで「相続税対策」を目的として加入する場合は、保険料を抑える為にも特約をできるだけ少なく、死亡保障に特化したシンプルなプランにすると良いです。

まとめ

平成27年から基礎控除額が下がったこともあり、相続税対象者が倍に増えました。
生命保険等で相続税対策をすると、非課税枠が適用される為に課税対象額を抑えることができますし、換金できないような財産を相続された際の納税資金の確保が容易になります。
加入の際は、終身保険か保障期間の長い長期定期保険を選び、特約は最小限にしてシンプルなプランにしましょう。