共済と保険の違い:共済金に税はかかるの?

民間の保険とよく一緒に検討される「共済保険」。
その加入のしやすさや、掛け金が生涯一律などの見通しの良さから、前向きに検討される方も多いのではないでしょうか。
そんな皆さんは、「共済と民間の保険の違い」についてご存じですか?
民間保険では、保険金を受け取ると金額によって税がかかってしまうものがあります。では、共済の場合は共済保険金を受け取った際、税がかかるのでしょうか。その場合、どのような税の種類になるのか、見ていきましょう。
共済と保険はどう違うの?
共済も保険も、「リスクが発生した際に経済的なサポートを行うもの」になりますので、そこは同じ意味合いになります。
異なる点は、大きく4つ程あげられます。
① 根拠法令、監督官庁が異なる
② 用語の違い
③ 営利・非営利の違い
④ 加入対象者の違い
①根拠法令、監督官庁が異なる
◆保険の場合…
・根拠法令:保険業法
・監督官庁:金融庁
◆共済の場合…
・根拠法令:消費生活協同組合法、農業協同組合法
・監督官庁:厚生労働省、農林水産省
②用語の違い
◆保険用語/共済用語
1:保険料/掛け金
2:保険金/共済金
3:契約者/加入者・掛金負担者(または契約者)
4:被保険者/被保障者・被共済者
5:配当金/割戻金
用語が少し違うというだけで、その内容が大きく異なる事はありません。
③営利・非営利の違い
◆保険の場合…
・営利目的で行っている
◆共済の場合…
・非営利で行っている
・資産運用などはせず、「組合員を助ける」という事が最大の目的
④加入対象者の違い
◆保険の場合…
・不特定多数の人が対象
◆共済の場合…
・組合員とその家族が対象
以上、保険と共済の大きな違いについて述べてきました。
知識が必要というわけではありませんが、検討する際に理解しやすくなりますので、是非参考にしてください。
共済・共済金にはどんなものがある?
共済には、加入者のニーズに応じ様々な種類が用意されています。
例えば、
・医療共済
・介護共済
・がん共済
・終身共済
・生命共済
・定期生命共済
・年金共済
・養老生命共済
などがあり、受け取れる共済金には、
・介護共済金
・死亡共済金
・満期共済金
などがあります。
非課税共済金はある?課税対象共済金とは?
共済金にも、民間保険と同じように課税対象となる共済金、そして非課税となる共済金が存在します。
◎非課税となる共済金とは?
民間保険金と考え方は同じで、「身体の傷害や疾病、後遺障害の状態等が原因で受け取る共済金」は非課税となります。
例えば、
・入院共済金
・通院共済金
・後遺障害共済金
などがあげられます。
◎課税対象となる共済金とは?
逆に、被共済者(保障を受けるもの)の死亡により受け取る共済金、また死亡保障のある共済を利用している被保障者が、生存している状態で満期を迎えた場合に受け取る共済金には税がかかります。
以下のような共済金が対象になります。
・死亡共済金(終身共済、養老生命共済、定期生命共済等)
・満期共済金(養老生命共済等)
死亡共済金・満期共済金の税種類
死亡共済金を受け取った際に、どの種類の税がかかるのかというのは、民間保険と同じように、加入している共済の、「加入者」「被保障者」「受取人」の関係によって変わってきます。
【加入者等の組み合わせと税の種類の関係】
●用語解説●
◇加入者(掛け金負担者)
:毎月の掛け金を支払っている人になります。
(掛金=支払うお金/共済金=受け取るお金)
◇被保障者(被共済者)
:保障がかけられている人であり、病気やケガ、入院などで保障が貰えます。被保障者が死亡した場合は、受取人に共済金がおります。
◇受取人
:被保障者が死亡した場合に共済金を受け取る人です。
つまり、
◇死亡共済金の場合…
・「加入者と被保障者が同じ人」の場合 :相続税
・「加入者と受取人が同じ人」の場合 :所得税・住民税
・「加入者・被保障者・受取人が全て異なる人」の場合 :贈与税
◇満期共済金の場合…
・「加入者と受取人が同じ人」の場合 :所得税・住民税、または源泉分離課税
・「加入者と受取人が異なる人」の場合 :贈与税
となります。
それぞれ課税金額の計算方法
相続税・所得税・相続税ともに、課税金額の計算方法は、民間保険の時と同様になります。
◎相続税
共済金にかかる相続税にも、民間保険と同じように「非課税限度額」があります。
非課税限度額の求め方は以下の通りです。
【非課税限度額の計算方法】
①非課税限度額=500万円×法定相続人数
②課税額=共済金-①
※受取人が法定相続人でなければ、非課税限度額は適用されません
※以下例は、被保障者である夫が亡くなった場合
例:共済金額計1,200万円(妻:400万円、子供A:400万円、子供B:400万円)の場合
①非課税限度=500万円×3人=1,500万円
②課税額=1,200万円-1,500万円(共済金額<非課税限度額)
以上の場合、非課税限度額に共済金額が達していないので、共済金に税はかかりません。
例:共済金額計2,500万円(妻:500万円、子供A:1,000万円、子供B:1,000万円)の場合
①非課税限度額=1,500万円
※共済金の割合が、妻20%、子供それぞれ40%ずつになるので、非課税限度額も同じ割合で振り分けられます。
➡それぞれの非課税限度額=妻:300万円、子供A:600万円、子供B:600万円
②課税額=妻:500万円-300万円=200万円
子供それぞれ:1,000万円-600万円=400万円/人
以上の場合、妻の200万円、子供それぞれ400万円が課税の対象になります。
◎所得税・住民税
こちらも、民間保険と考え方は同じです。
【所得税・住民税計算方法と課税対象金額】
課税対象額={死亡共済金総額-当該共済期間の払込掛金-50万円(特別控除額)}×1/2
例:死亡共済金が2,500万円/支払った掛金が500万円
課税対象額=(2,500万円-500万円-50万円)×1/2=975万円
よって、この場合は受け取った2,500万円のうち975万円が課税対象となるのです。
◎贈与税
最後に、贈与税を見てみましょう。こちらも民間保険と考え方は同じとなります。
【課税対象金額計算方法】
課税対象金額=死亡共済金総額-110万円(基礎控除額)
例:死亡共済金総額が2,500万円の場合
課税対象金額=2,500万円-110万円=2,390万円
つまり、2,500万円の保険金のうち、なんと2,390万円も課税対象になってしまうわけですね。
まとめ
このように、民間保険と共済には大きく4つの違いがあることをお話しましたが、契約者・加入者である被保険者・被保障者が亡くなった際に受取人がもらう保険金や共済金、それにかかる税種や額の考え方は、違いがないことがわかります。
共済への加入を考えている方も、かかる税の事を念頭に置いた上で検討しましょう。