住宅購入で考えるべき保険とは?

念願のマイホームを購入した場合、支払を一括で済ませる人は少なく、ほとんどが住宅ローンを組むことになるでしょう。そうすると、毎月の出費として「住宅ローンの返済」を考える必要が出てきます。
さて、国土交通省による住宅市場動向調査によると、住宅購入は30代が一番多いとされていますが、30代というとこれからの人生長く、何が起こるかわかりません。その為、住宅購入の際は“もし世帯主に万が一の事が起こってしまったら”など、将来的に起こり得る様々なリスクを考え、備えることが必要不可欠なのです。
団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中にローンを借りた人が「死亡」または「高度障害状態」になった場合に、保険会社が金融機関に住宅ローンの残金を支払ってくれる保険となります。
ローンの借主に万が一の事が起こり収入が一切途絶えてしまった家庭でも、家族に負債を残さないようにする為の重要な保険となります。
◎団体信用生命保険には4種類ある
団体信用生命保険には、「通常の団体信用生命保険」「三大疾病保障付団体信用生命保険」「八大疾病保障付団体信用生命保険」「ワイド団信」の4種類があります。
●通常の団体信用生命保険
契約者が死亡・高度障害状態となることによりローンの返済不可になった場合に、保険会社が返済を肩代わりする。
●三大疾病保障付団体信用生命保険
通常の団体信用生命保険に特定疾病が追加されたもの。
契約者が「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」に罹患し所定の状態となった際に保険会社が債務の弁済を行う。
●八大疾病保障付団体信用生命保険
三大疾病保障付団体信用生命保険の対象疾病に、更に「高血圧性疾患」「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」「慢性膵炎」が追加されたもの。
団体信用生命保険の注意点
住宅ローンを組む際に必須となる団体信用生命保険ではありあますが、いくつか注意しなければならないこともあります。
まず、団体信用生命保険で主に保障されることは、「死亡」「高度障害」であることです。特約をつけたとしても、その対象疾病が限られている為それ以外の病気は対象とならない事、そして保障までに時間がかかる場合があるということです。
そして、「フラット35」のような金融機関の場合、団体信用生命保険への加入は任意となる為、加入しなかった場合は契約者が死亡したとしてもローンの返済が継続する為、注意が必要です。
住宅購入した際に考えられるそれぞれのリスクと選ぶ保険の考え方
では、住宅購入をした後に起こり得る、世帯主のリスクと備える保険について、団体信用生命保険も含めて見ていきましょう。
世帯主が家計を大きく支えている場合責任が大きい為、以下のリスクにしっかりと備える必要があります。
●死亡リスク
【考えるべきこと】
・自分の葬祭費
・家族の生活費
・家族の住居費
・子供の教育費
【備える保険】
・定期保険
・終身保険
・収入保障保険
□定期保険
定期保険は、被保険者が期間内に死亡した場合に保険金が支払われる保険になります。保障期間を「10年」「20年」または「60歳まで」などと決めて契約をするのが特徴です。
掛け捨てになる為解約返戻金はありませんが、保険料は割安になります。
団体信用生命保険に加入していれば、世帯主が亡くなっても家族にその負債が残らない為、家族の住居費用を除いた「生活費」の備えとして定期保険が役立ちます。
もし、遺された家族が購入した家を売却してそのお金を生活費として考えていく場合は、定期保険が不要になる(または少額)可能性があります。
□終身保険
終身保険とは、一生涯死亡保障が続く保険です。
契約の途中で解約すると解約返戻金を受け取れる場合がありますが、定期保険より割高になります。
終身保険は一般的に葬祭費の備えとして役立ちます。
日本消費者協会「第11回葬儀についてのアンケート調査」によると、葬儀費用は合計で平均約195万円かかるという結果がでています。
葬儀費はいつか必ず必要となるものですが、いつ起こるかの予測ができない為一生涯保障の終身保険で備えておくと安心です。
□収入保障保険
収入保障保険は定期保険のように、「60歳まで」など保障期間を決めてその期間内で保障を受けられる保険になりますが、定期保険と異なる点は保険金の受け取り方です。定期保険は一括になりますが、収入保障保険は給与のように毎月分割して受け取ることができます。
収入保障保険は定期保険同様掛け捨てですが、定期保険よりも割安な場合が多いです。
団体信用生命保険に加入していれば、世帯主が亡くなっても遺された家族が住宅ローンの残金を支払う義務は無くなりますが、生活費や子供の教育費は引き続き必要となる為、それらに充てるためにも、分割して保険金を受け取れる収入保障保険が役立ちます。
また、住宅ローンを契約していて団体信用生命保険に加入していない場合でも、収入保障保険の保障額に上乗せすればローン返済に充てることができるのもメリットです。
●病気、ケガのリスク
【考えるべきこと】
・自分の入院・通院などの医療費
・生活費等
【備える保険】
・医療保険
・がん保険
・就業不能保険
□医療保険
病気やケガで入院や手術、通院をした際に保障を受けられる保険です。一生保障が受けられる「終身医療保険」、保険期間内に保障が受けられる「定期医療保険」があります。
まずは公的医療保険をメインで考え、それを補う役割として医療保険を考えましょう。
世帯主が病気やケガで入院や手術となっても、住宅ローンに影響が起きない程度に備えておくと良いでしょう。
□がん保険
団体信用生命保険に特約を付帯すると、がんと診断された場合にローンの支払が免除されることが多いですが、再発がんや対象外のがん種類であれば補償対象外となるケースがあります。
団体信用生命保険によるがんの保障を受けられない場合は、がん収入保障等を検討しましょう。
□就業不能保険
病気やケガが原因で、“所定の期間”“就業不能状態”となった場合に保障を受けられる保険です。
世帯主が長期間就業不能状態になると、家計に大きな負担が出てきます。保険金は毎月受け取ることができる為、生活費や住宅ローン返済に充てることができます。
まとめ
このように、住宅を購入したら改めて保険を考えていかなければなりません。住宅購入前に既に生命保険に加入していた場合は、団体信用生命保険の契約を行えば「住居費」の保障が不要となりますので、その分金額を減らすなど団体信用生命保険を含めた保険の考え方が必要となります。