定年退職をしたら保険の見直しが必要?その選び方とは?

定年退職をすると「第2の人生が始まる」と言われるように、ライフスタイルがガラっと変化します。環境が大きく変化するということは、必要な備えへの考え方や重要度も変わってくるため、保険の見直しが必要となります。大きく変わることと言ったら、まず第一に、仕事がなくなることで収入が減るということが考えられます。仕事を定年退職し、残りの人生をゆったりと楽しみたいものですが、やはりお金の問題はついてまわります。心置きなく第2の人生を歩む為にも、早めに保険等の準備をしておくことが大切です。
定年退職後、何が起きる?
定年退職をすると生活が大きく変わると言いますが、では一体、退職後に起こる事とは何なのでしょうか。
それは主に3つ程挙げられます。
・退職による収入減
・住宅ローン完済?
・退職金が入る
◇退職による収入減
定年退職をすると、仕事がなくなりますので当然のことながら収入が途絶え、今後の収入は年金ということになります。近年では退職後に働き続ける人も増えていますが、定年退職後に再就職したとしても、退職前と同様の収入を得るのは難しいと考えましょう。
◇住宅ローン完済?
住宅ローンは、退職後の年金生活で返済を継続することは不安が残る為、退職前までに完済が良いと考えている方が多いでしょう。実際にそのように60歳または65歳で完済とする契約にしている人もいることでしょう。
一方で、2019年度 「フラット35利用者調査」によると、以前は“借入時”の年齢が平均30代となっていたのに対し、そこから年齢は上がり、2019年では平均40.2歳となっており、更に、2019年度「フラット35利用者調査、2019年度集計表」より、“借入期間”の平均は32.9年となっていることから、単純計算で平均的な完済年齢が約73歳、つまり一部多くの人が定年を迎えてもなお住宅ローンの返済を続けているというのが現状としてあるということも頭に入れておかなければなりません。
いずれにせよ、ご自身が何歳で借入をして、何年で完済する計画なのかをもう一度見直し、それを基に資金計画をする必要です。
◇退職金が入る
そして60代は、定年退職によりまとまったお金である退職金が受け取れる時期となります。
こちらも、将来の生活をよく考え、何に費やすのかをよく考える必要が出てきます。
以上より、つまり“収入減にあわせて保険料の支払を減らす”“住宅ローン完済に伴い保険での備えを軽くする”――など、無駄な支払を減らし生活に余裕を持つ為にも、定年退職した際に起こる事、年齢等の現状把握、今後の生活プランを考慮し、保険を見直す必要が出てきます。
世帯主の定年退職後に想定されるリスクと、保険選び
では、一家の大黒柱として家計を支えている世帯主が定年退職した後に考えられる、リスクと保険についてみていきましょう。
定年退職後の世帯主が考えるべきリスクは以下の3つになります。
・死亡のリスク
・病気、ケガのリスク
・介護のリスク
●死亡のリスク
【考えるべきこと】
・葬儀費
・相続税
【各保険の必要性】
・定期保険
・終身保険
・収入保障保険
□定期保険
死亡時に必要となる葬儀費、また相続税対策を考えるのであれば、保障期間が決まっている定期保険はおすすめではありません。
100歳まで利用できる定期保険も商品によってはありますが、結果的に保険料が終身のものと変わりなくなる為、定期保険をあえて選ぶ必要はなくなります。
現在定期保険に加入している方は、この機会に終身保険に切り替えると良いでしょう。
□終身保険
死亡した際の葬儀費や、お墓にかかる費用等は一般的に終身保険で備えられますが、その他にも相続税対策にもなります。
死亡保険で受け取れる保険金は「みなし相続財産」となり、相続人1人あたり500万円の“非課税枠”が設けられますので、課税対象となる金額を減らすことができます。
□収入保障保険
もし世帯主が亡くなっても、配偶者が生活していける程の年金があるのであれば必要ありません。
しかし、定年退職後も住宅ローンがまだ完済できておらず、なおかつ団体信用生命保険未加入の場合はよく考える必要がでてきます。
●病気、ケガのリスク
【考えるべきこと】
・医療費
【各保険の必要性】
・医療保険
・がん、生活習慣病保険
□医療保険
現在、人生100年時代と言われるように、日本人の寿命は昔と比べ伸びており、定年退職してからも長い人生を歩むこととなります。
つまり、経済的に余裕があるという状況でなければ、その長い人生をカバーする医療保障が必要となりますので、定期医療保険よりも終身医療保険をおすすめします。
50代、60代からは様々な病気のリスクが急激にあがります。公的医療保障ももちろん対象となりますのでそちらを優先して考えるべきですが、年齢的な病気のリスクを考えて手厚い保障が欲しいという方は、医療保険で備えると良いでしょう。
□がん保険、生活習慣病保険
がん大国と言われる日本では、40代以降の死因第1位にがんがランクインし、罹患率は約2人に1人と言われています。
一度罹患すると治療が長期になったり、再発する可能性の高い病気になりますので、自分ががん家系など、不安がある場合は加入しておきましょう。
また、がんを含め、生活習慣病も年齢とともにリスクが増します。がんだけでなく、心疾患や脳血管疾患、さらに糖尿病や肝硬変など、主要な病気リスクに備えたい場合はこちらを検討すると良いでしょう。
●介護のリスク
【考えるべきこと】
・介護に関する出費
【各保険の必要性】
・介護保険
□介護保険
公的介護保険の場合、65歳以上となり要介護認定を受けると、月16万5,800円~35万8,300円の援助を受ける事ができ、さらに介護施設の利用は1割負担で済みます。
しかし、介護度が上がることにより1割負担額が増えたり、手すりやその他必要な福祉用具の購入、費用の高い介護施設に入居を考えている場合は、公的介護保険では間に合わない可能性がある為、民間の介護保険加入を検討すると良いでしょう。
まとめ
このように、定年退職した年齢を考え、死亡保障よりも医療・介護への備えを手厚くすると安心でしょう。
退職をすると収入が減る為、死亡保障を葬儀費のみの備えにするなどして、上手く保険料の節約をしましょう。