交通事故に備える保険には何がある?

日常を送っている私たちの身の回りには、実は様々な危険が潜んでいます。
その中でも特に起こる頻度が高いのが、交通事故。なんと、自動車事故は約70秒に1件、自転車の事故は約6分に1件という頻度で起きています。
このような事故を避けることができれば一番良いのですが、交通事故は予測できない所で突然起こりますので、事前に万が一の時の為に備えておく必要があり、そんな時に保険が役に立ちます。
今回は、交通事故に対応する保険について見ていきましょう。
交通事故は他人事ではない
皆さんは今まで、事故に遭ったこと、または起こしたこと、目撃したことはありますか?
もし一度もないと言う方は、あまり交通事故が「身近」なものだと感じにくいでしょう。
では、実際に日本国内では、一体どのくらいの事故が起きているのでしょうか。
警察庁の交通事故統計より、令和2年(2020年)の交通事故発生状況を確認してみましょう。
まずは1年間で起こった全体的な交通事故発生件数などを見ていきます。
【事故発生状況:件数(人口10万人当たり)】
・交通事故件数:309,178件(245.05人)
・死亡事故件数:2,784件(2.21人)
・負傷者数:369,476人(292.85人)
・死者者数:2,839人(2.25人)
なんと1年間で起こった交通事故の件数は30万件を超え、負傷者数は件数よりも多い37万人弱という結果になっています。
死亡事故に関しては、交通事故件数の0.9%を占める2,784件も発生したことを示しており、おおよそ100件のうち1件は死亡事故になるということがわかります。
次に、死亡者数を状態別で見てみましょう。
【状態:死亡者数】
・自動車乗車中:882人
・二輪車乗車中(原付、自動二輪車):526人
・自転車乗用中:419人
・歩行中:1,002人
・その他:10人
全体死亡者数に対する割合で見てみると、自動車乗車中は31.1%、自転車乗用中は14.8%、そして歩行中は35.3%になりました。
歩行中はもちろんヘルメット等の着用もなく体を守っているものがない為、全体死亡者数の中でも割合が高くなるのは容易に予測ができますが、自動車乗車中の死亡者数も歩行中死亡者数に劣らない数字が出ており、自動車は特に危険だということがわかります。
交通事故に備える!それぞれの保険を解説
交通事故に備える為に、いくつかの保険が存在します。それは強制加入のものから任意加入のものまで様々です。
では1つずつ見ていきましょう。
●自賠責保険
まず、自動車保険の基本のキと言える保険がこちらの「自賠責保険」になります。
自動車保険は「任意」と「強制」の2種類がありますが、自賠責保険は後者であり加入が義務付けられていることから、「強制保険」とも呼ばれます。
◇その補償とは?
自賠責保険の目的は「被害者の最低限の救済」となっており、その為自賠責保険の補償範囲は相手の身体のみへの補償となります。
つまり、自分の身体が被害を受けようが、自分や相手の車、建物や交通機関を損傷させてしまおうが保険金はでません。
自賠責保険の補償範囲は以下の3つです。
・傷害(治療費、慰謝料、休業補償等):限度額120万円
・後遺障害(治療費、逸失利益等):限度額4,000万円
・死亡(葬儀費、慰謝料等):限度額3,000万円
しかしながら、これらを超えてしまうような賠償金額になった場合は、超えた分が全て自己負担になります。
また、補償される人は「運転手」「運行供用者」以外となります。補償範囲や補償額が限られていることから、“自賠責保険に入っていれば安心”とはいかないのが現実です。
●自動車保険(任意保険)
先ほど、自動車保険には強制保険である自賠責保険と、任意保険があると述べましたが、今回は任意保険について解説していきます。
自賠責保険で補償される範囲は“相手の身体のみ”と限られており、補償額も十分ではありません。
実際に過去の事故では、被害者死亡により賠償額が3億6,750万円や5億2,853万円など高額になった例もあります。
これらのことから自賠責保険だけでなく、任意自動車保険への備えの重要性も注目されるようになりました。
◇その補償とは?
任意保険の補償範囲は、相手の身体を含め、自分や同乗者への補償、自分の車や相手の車、公共のものを壊してしまった場合にも補償されます。
補償内容は主に以下のとおりです。
・対人賠償保険:自動車で事故を起こし、他人を死傷させてしまった場合に補償される。
・対物賠償保険:自動車で事故を起こし、相手の車や相手の所有物、また公共物等を壊してしまった場合に補償される。
・人身傷害補償保険:自動車事故により、自分や同乗者が死傷した際に補償される
・搭乗者傷害保険:運転手含め、車に乗っている人が交通事故によりケガをしてしまった際に補償される
・車両保険:自動車事故により、車に損害が発生した際に補償される
対人賠償責任保険、対物賠償責任保険の2つに関しては、賠償金額が高額になるケースがある為、保険金額を無制限で設定しておくと安心です。
人身傷害補償保険の加入は自分次第になりますが、生命保険等に入っていない、頻繁に車に乗る、友人等をよく乗せる、というような人は加入しておくと安心でしょう。
搭乗者傷害保険に関しては、人身傷害補償保険とよく似ていますので、人身傷害補償保険を更に手厚くした場合に選択すると良いでしょう。しかし補償の重複による保険料の損には注意が必要です。
車両保険は保険料節約の為に加入を迷うところですが、加入に向いている人として、「新車を買ったばかりの人」「運転に慣れていない人」「自然災害による損害にも備えたい人」があげられます。
●その他
その他にも、「自転車保険」「バイク保険」「交通事故傷害保険」などがあります。
◎自転車保険
自転車保険とは、自転車に乗っている時のケガで入院・通院した場合の補償と、相手にケガを負わせてしまった場合の損害賠償に備えられる保険です。
補償内容としては、
・死亡保険金
・自分の治療費給付金
・損害賠償責任への補償
の他にも、示談交渉サービスや弁護士費用の補償などがあります。
最近では加入の義務化が広がりつつある保険です。
◎バイク保険
バイク保険は、任意自動車保険と同じように「対人賠償保険」等の補償があります。しかし、自動車よりも事故率が高いにも関わらず、実際の加入率は40%と低くなっているのが現状です。
◎交通事故傷害保険
ケガに備える保険ですが、自動車事故だけではなく駅構内でのケガや、電車・エレベーター、エスカレーターなどの交通乗用具の火災による傷害も補償される保険です。
まとめ
このように、交通事故に備える保険は様々です。強制保険はもちろん加入する必要がありますが、強制保険に加入しているからと安心せず、その補償内容を確認した上で、十分且つ自分の生活に合った備えをする為に任意保険も検討すると良いでしょう。