全国共済お役立ちコラム

知っておきたい!医療保障の制度について

平均寿命・健康寿命が世界一といわれて久しい日本。安心・安全に過ごしていけるのは、医療保障の制度が日々の暮らしを支えてくれているからでもあります。健康面での不安に備える医療保障には、大きく分けて2つの種類があります。公的な医療保障と民間の医療保障です。今回は知っておきたい医療保障の制度について考えてみましょう。

まずは公的な医療保障について

公的な医療保障制度とは、国民が自己負担できる範囲内で平等に医療を受けることができるよう、医療費の財源を集める医療保険制度や、実際に医療サービスを提供する病院や医者などの「医療提供制度」のことです。

国民全員が何らかの健康保険に加入していますが、支払う保険の金額は定期的な収入に基づいて算出されており、決められた金額を国に支払っています。私たちが病院に通い診察などを受けた際の医療費の7割を、国民から集められたそのお金で支払っています。医療費の窓口自己負担額が3割で済むのは、国が7割を支払っているからなのです。

会社勤めをしている人には社会保険があります。また、社会保険には2つの種類があります。中小企業に多い「協会けんぽ」と大企業に多い「組合健保」です。都道府県別で保険料が決められる協会けんぽに対し、組合健保は健保組合ごとに3%~13%の範囲内で保険料率を設定できるのが特徴です。毎月の給与から自動的に支払われているために、保険料を集めやすい制度です。

一方、国民健康保険は各個人が自分で保険料を支払うシステム。各個人の事情によって保険料を集めるのが難しいケースもあります。

民間の医療保険が必要な人は?

次に民間の医療保険について見てみましょう。

民間の医療保険は各保険会社が提供しているサービス。公的な医療保障に加えて、さまざまな保障を求める人が加入します。医療保険が必要な人は、現在あまり貯蓄ができていない人や小さな子どもがいる人、入院などで収入がストップしてしまうことが予想される自営業の人などが考えられます。

一方、医療保険が不要な人は、充分な貯蓄がある人。また、払込保険料よりも給付を受けられないと思っている人や、会社の福利厚生により充分な保障が受けられる人などが考えられます。

医療保険が必要な理由は?

病気によって入院の日数はさまざま。2014年の厚生労働省の患者調査結果によると、病気別の平均入院日数は、
・胃がん 19.3日
・肝臓がん 18.8日
・肺がん 20.9日
・乳がん 12.5日
・心疾患 20.3日
・糖尿病 35.5日
・脳血管疾患 89.5日
・高血圧疾患 60.5日
となっています。

医療保険に加入していない場合、入院費用や手術などの治療費のすべてを自分で負担しなければなりません。たとえ毎月コツコツと積立をしてお金を貯めていたとしても、入院してしまうとその貯蓄から支払わなければなりません。そう考えると、医療保険に加入することで、それまでに貯めた貯蓄を守ることができるということです。

また、病気が治る目処がつかない場合、入院が長期化することも考えられます。最終的に治療費がどれくらいかかるかわからない。病気が長引くと「職場に復帰できなくなるのではないか?」と不安にもなります。医療保険から給付金が支払われると、たとえ医療費の全額を補うことができなかったとしても、精神面での大きな安心につながります。

あと、前述で公的な医療保障について説明しましたが、日本の社会保障制度がこのまま安定して継続しない可能性も考えられます。

少子高齢化が進むにつれ、社会保障の財源が問題視されるのは容易に想像がつきます。そうなると、現在のように窓口自己負担が3割で済むのかは疑問です。また、高額療養費制度など公的医療保険制度がこのまま継続されるのかもわかりません。将来的に医療費の引き上げがあった場合、自己負担が大きくなる可能性も否定できません。

医療保険が不要な理由は?

現在は公的な医療保険により、医療費の自己負担額が高額になりにくくなっています。そのため、何らかの病気をしたとしても現在の貯蓄で医療費を支払えるなら、民間の医療保険は必要ないといえるでしょう。

また、医療保険に加入すると、長期に渡り保険料を支払っていくことになります。たとえ月々の保険料が安くても、長期間支払っていくとどうしても高額になります。医療保険に支払った金額に対し、相当の保障が受けられるのか疑問を持つ人もいるでしょう。そういった人は、保険料として支払う金額を貯蓄に回したほうが得な場合もあるはずです。

そして、医療保険に加入したからといって、治療費の全額を補えるわけではないということも忘れてはなりません。

医療保険には支払限度日数があります。もちろん保障内容にもよりますが、入院日数が長くなった場合、それを超えた部分に関しては給付金が支払われません。また、医療保険は実費負担ではなく契約に該当したものが支払われる仕組みですので、医療費の全額が保障されるわけではありません。

医療保険の加入を検討する際は、メリット・デメリットそれぞれの側面から考え、自分に適しているかどうかを判断することが重要といえるでしょう。