医療保険で出産費用に備えることができるの?

人生において大事な出産のイベント。出産時にはまとまったお金が必要になります。また、準備することや今後について考えなければならないこともたくさんあることでしょう。
「出産費用を医療保険でまかなうことができるのか?」「どのような公的補助があるのか?」などは多くの人が気にするポイント。また、出産時に思いがけないトラブルが発生した際の備えや保険の条件など、今回は出産時に備えた保険について考えてみたいと思います。
出産費用はいくらくらい必要か?
厚生労働省調べによると、妊婦さんの合計負担額は平均で約47万円程度となっています。しかし、すべてのケースが当てはまるかと言うと、そうではないはずです。実家で帰省して産む人もいるでしょう。そうすると交通費なども必要になります。入院数も1日追加すると2~3万円ほど変わってきますので、出産に必要な費用は合計で50万円から100万円くらいかかると考えたほうがいいでしょう。
また、それとは別に病院の検査費用や出産前の妊婦衣服などのマタニティ費用も必要になるため、費用については事前にしっかりと考えておかなければなりません。
出産の公的補助は?
代表的な公的補助としては、「出産育児一時金」があります。子供が1人産まれることで、健康保険や国民健康保険から42万円が支給される制度です。
また、出産前後の期間中に会社を休んでいることで、給与の支払いを受けなかった場合は、「出産手当金」として、出産前42日間、出産後56日間の合計98日間に渡り、標準報酬月額の3分の2が支給されます。パートやアルバイトなど正社員以外でも健康保険を継続加入していて、産休後も仕事に復帰する人であれば支給の対象となります。
高額医療制度と医療費控除
高額医療制度とは、年収や年齢によって医療費の自己負担金額が決まっており、それを超えると健康保険からお金を払い戻してもらえる制度です。
妊婦健診や自然分娩による一般的な出産では健康保険を利用できないため、通常は対象外となります。しかし、帝王切開や早産流産など、母体や赤ちゃんに何らかのトラブルがあった場合は、通常の分娩費用とは別の医療費部分に高額医療制度が利用できます。
また年間10万円以上の医療費を支払った人には、確定申告をすることで、払い過ぎた税金が返金される「医療費控除」という制度があります。通常分娩では健康保険を利用することができませんが、医療費控除の対象にはなります。分娩費用以外にも入院する際のタクシー代や入院時の食事代・衣服代など、医療費控除の対象となる費用はたくさんありますので、チェックしてみましょう。
医療保険加入で予期せぬトラブル時に
正常分娩による出産の場合は、出産に関わる費用を出産一時金でまかなうことができると思います。しかし、母体や赤ちゃんに何らかのトラブルがあった場合はもちろんのこと、正常分娩以外での出産になった場合を想定し、さまざまなケースに対応した医療保険に加入している人は少なくありません。
受け取れる給付金は契約内容によりますが、例えば1日入院あたり日額1万円で、手術の際の給付金が10万円のプランで契約していた場合はどの程度のお金を受け取ることができるのでしょうか?
帝王切開など正常分娩以外のケースで手術と7日間の入院が伴うと、手術の給付金10万円に加え、入院による給付金7万円を合わせて合計17万円の保険金を受け取ることができます。
また、この場合の受取金は、出産育児一時金を受け取っていても相殺されないため、減額されることはありません。
帝王切開のケースを例に出しましたが、平成26年度の厚生労働省の調査データによると、全出産件数のうち、帝王切開で出産した人の割合は24.8%。約4人に1人が帝王切開で出産していることになります。
帝王切開での出産になる代表的な状態「逆子(さかご)」の場合、出産直前になってはじめて逆子であることがわかり、急遽帝王切開の手術を実施することも多いもの。妊娠中に順調な経過だとしても、急な手術が必要となってしまうこともあるのです。そういったケースに備え、経済的な準備を整えておくことはとても重要なことなのです。
医療保険加入は、いつごろまでに?
では、医療保険にはいつ頃加入すればいいのでしょうか? 子作りを考えているときから加入するのが万全ではあるものの、スムーズに備えを始めるのはなかなか難しいのではないでしょうか。少なくとも、妊娠がわかった段階で、できるだけ早めに保険に加入しておくようにしましょう。
通常の民間保険では27週目までは加入できるケースが多いようです。ただし、帝王切開などのトラブルに関しては対象外になるケースや、次回の妊娠時にしか対応できないなどのケースもあるため注意が必要です。
ただ、一部の共済では契約から1年経過後であれば、帝王切開も医療保険の対象となるケースもあります。複数の保険を調べたうえで、自分に最適な保険を見つけてください。また、加入を検討している場合は、できるだけ早めに保険に加入することをおすすめします。なぜなら、それだけ保険の選択肢の幅が広がるからです。
出産育児の期間中は、さまざまなことを考えたりたくさんの準備が必要になったりするため、精神的にも肉体的にも大変な時期。万が一のトラブルに備えるためにも、余裕があるうちに医療保険への加入を検討しておくようにしましょう。