全国共済お役立ちコラム

入院した時に使える医療保険とは?

2022-1-7

医療保険とは、ケガや病気で通院したり入院したりするときに、医療費負担を軽減してくれる制度のことです。医療保険には、「公的医療保険」と「民間の医療
保険」の2種類に分けられます。この2つの保険の違
いはご存知でしょうか?
ここでは、2つの医療保険の違いや保障内容などを解
説していきたいと思います。
ケガや病気で入院する可能性は誰にでもあります。そして、その日はいつやってくるかわかりません。いざという時のためにも後悔のないように準備ができると
良いでしょう。

公的医療保険とは?

公的医療保険とは、国による「社会保険制度」のことです。日本は、「国民皆保険制度」を採用しているため生まれた時から原則全国民が強制的に加入しています。
公的医療保険は、私たちが病気やケガをした際の医療費の給付があり、自己負担は1割~3割となります。医療費の給付だけでなく、出産をした際の出産給付や死亡した際の死亡給付、病気やケガで働けなくなった際の傷病手当金など様々な給付があります。

公的医療保険はケガや病気になった時に、かかった医療費の原則1~3割を支払うだけで済みますが、払った医療費を補うような現金給付はありません。

民間の医療保険とは?

公的医療保険でカバーしきれない医療費への備えとして活用されているのが、民間の保険会社が販売している「民間の医療保険」です。
民間の医療保険は、ケガや病気になった場合、契約時の条件に該当すれば現金で給付を受取ることが可能です。医療費に備える保険である点において公的医療保険と共通していますが、任意に加入するものでその際には、健康状態を告知する必要があり、全国民が加入できる公的医療保険とは異なる点です。
保障の内容や給付金額、保険料は、保険会社や商品によって異なるため、自分にあった商品を選ぶことが大切です。

|民間の医療保険でどれくらい医療費負担が減る?
ケガや病気で入院した際の治療費以外の費用として代表的なものは、食事代と差額ベッド代です。具体的にどれくらいかかると思いますか?

入院時の食事代は「入院時食事療養費」といって1食あたり460円(住民税非課税世帯の低所得の家庭は減免される)を負担することになります。1日あたり1,380円(460円×3食)で、10日の入院では13,800円となります。
差額ベッド代ですが、一般的に個室のイメージですが、2人~4人部屋も差額ベッド代が発生しますので注意が必要です。差額ベッド代は、病院や部屋の人数により金額が異なり、1人部屋の場合は、数千円~数万円と開きがあります。平均すると1人部屋の場合1日あたり約8,000円、4人部屋の場合は1日あたり約2,500円となります。
ただし、医師から治療上必要とされ、個室を利用した場合は差額ベッド代を負担しなくてもよい場合があります。

入院時に治療費以外に必要な自己負担金は、1人部屋を選んだ場合、食事代と差額ベッド代で最低でも1万円弱かかることがわかります。
民間の医療保険の入院給付金が、日額5,000円の場合は約半分自己負担を減らすことができ、日額1万円の場合はほぼまかなえます。
その他にも、入院着のレンタル費や、病院が遠方の場合は交通費などもかかることもあります。これらの費用を考慮して預貯金で対応するか保険で備えるかの選択になります

|民間の医療保険は必要?不要?
ここまでの解説を読んでいただき、自分には民間の医療保険は必要なの?ケガや病気をしなければ保険はムダになるのでは?という方もいらっしゃると思います。

もし、民間の医療保険に加入せず入院したらどうなるでしょうか。
生命保険文化センターの調査によると、ケガや病気に対して感じる不安として、「家族に肉体的・精神的負担をかける」ことに続いて、「長期の入院で医療費がかさむ」ことを挙げた人が51.8%と多くなっています。
同じく生命保険文化センターの調査によると、過去5年間に入院を経験した人が自己負担した金額は、平均すると20.8万円でした。
これは、公的医療保険制度はもちろん、高額療養費制度も適用した後の自己負担額についての調査です。
自身や家族が、入院やお見舞いのために仕事ができず、収入が減ってしまうと実質的な負担はもっと大きくなっている可能性もあります。

医療保険の保障内容は、契約内容によって異なりますが、生命保険文化センターの調査では、入院給付金の日額は1万円程度で契約している人が多いようです
厚生労働省の統計では、入院日数の平均は29.3日です。
仮に30日と考えると、給付日額1万円の医療保険からは30万円の入院給付金が支払われます
自己負担額の平均20.8万円はカバーできることになりますね。

すでに十分な貯蓄があり、しかもその貯蓄は医療費のために使っても問題ないという場合は、あらためて医療保険に加入する必要はなく、医療費はそのための貯蓄からまかなえるので、心配はいらないでしょう。
公的保険の恩恵を受けたうえで、それでもかかる自己負担額を、貯蓄から出せない、または出したくない人には、民間の医療保険が役立ちます。
「医療保険は元が取れないので医療費用の貯蓄をしたい」という人も、今すぐには貯蓄は貯まりません。貯蓄の場合、月に5,000円ずつであれば、20万円を貯めるのに40ヵ月かかります。もし、こつこつ貯めている途中にケガや病気で入院してしまったら医療費が払えないことになりますよね。
しかし、医療保険は契約が成立していればいつでも給付金を受け取れるのです。

まとめ

医療保険には、公的医療保険と民間の医療保険があります。
もしもケガをしたり病気になってしまったりしても、まずは公的医療保険や高額療養費制度を活用することで、家計への負担を軽減できます。
公的医療保険だけではカバーしきれない部分の備えは、預貯金もしくは民間の医療保険を活用します。預貯金の額や保険料負担の家計支出のバランスを考慮して民間の医療保険加入を検討しましょう。
民間の医療保険は公的医療保険の保障をカバーするために加入することから、ご自身の公的医療保険の保障内容を理解した上で選ぶことが大切です。