全国共済お役立ちコラム

地震保険はいったいどこまで補償されるの?

2022-10-4

近年、大きな地震が相次いで起こったことから地震保険への関心が高まっています。火災保険とセットで加入する地震保険ですが、万が一に備えて加入したけど内容はよくわかっていない、保険料は安くないので加入前にどこまで適用されるのか知りたいという人も多いと思います。地震保険はどこまで補償されるのか、詳しく解説していきます。いざという時のためにも、ぜひ参考にしていただければと思います。

地震保険の対象となる建物・家財

地震保険の対象となるのは居住用の建物と居住用の建物に収容されている家財一式です。建物と家財はそれぞれで加入する必要があり、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」というパターンが考えられます。

|居住用の建物
地震保険はどのような建物でも加入できるわけではなく、居住用の建物(店舗併用住宅も含む)に限定されます。1階が飲食店で2階が自宅となっている場合などの併用住宅は対象となりますが、工場や事務所専用の建物など住居として使用されない建物については対象外となります。
なお、門や塀、物置などは建物に含めて契約をすることができますが、門や塀などにしか損害が発生しなかった場合は補償の対象外となります(後で説明します)。

|居住用建物に収容されている家財⼀式
家財の対象となるのは基本的に電化製品、家具、衣類、食器などの生活に欠かせない「動かすことができるもの」です。備え付けのシステムキッチンや浴槽などは家財には含まれず、建物の方の対象となります。家財の対象となるのは引っ越しのときに持ち運んでくるものをイメージするとよいでしょう。なお、引っ越しのときに持ち運んでくるものであっても、自動車や動植物、現金、有価証券、印紙などは対象ではありません。

また、火災保険と異なるところとして、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董等(いわゆる明記物件)も対象外となります。火災保険では契約時に申告して保険証券に明記すれば補償対象となりますが、地震保険では補償対象外となります

どのような損害が補償される?

地震保険では地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって、地震保険の対象である建物や家財が損害を受けた場合に保険金が支払われます。
具体的には、以下のような被害で補償を受けられます。

 地震による揺れで外壁や基礎にクラックが生じた
 地震による揺れで建物が倒壊した
 地震による揺れで食器が割れた
 地震による揺れで家具・家電などが倒れて破損した
 地震による揺れでストーブが倒れ、火災になった
 地震による揺れで液状化現象が起こり、建物が傾いた
 地震や火山の噴火で津波が起こって建物が流出した
 噴火による溶岩流や噴石、火山灰、爆風によって倒壊・埋没した
 噴火による火砕流で建物が燃えた
 地震や噴火による土砂崩れで建物が流出や埋没した
なお、上で挙げたような損害であっても損害の程度が以下の一部損に満たない場合は補償対象外となります。

▶注意ポイント
建物における主要構造部とは、土台、柱、壁、屋根等の建築基準法施行令第1条第3号に掲げる構造耐力上主要な部分のことをいいます。生活に必要な部分であっても、塀、垣、エレベーター、給排水設備のみの損害など主要構造部に該当しない部分のみの損害は補償されません。

補償内容の詳細

地震保険は、通常の火災保険とは異なり、実際の損害額を保険金としてお支払いするものではありません。
損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「⼀部損」の認定を行い、それぞれ地震保険金額の100%・60%・30%・5%をお支払いします。損害の程度が「⼀部損」に至らない場合は、保険金は支払われません。なお、保険の対象が建物の場合、建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)の損害の程度を確認します。

保険金はどれだけ受け取れる?

火災保険は実際の損害額が保険金として支払われますが、地震保険では上で紹介した損害の程度に応じて、地震保険金額の〇%という形で保険金が支払われます。前述の通り、損害の程度が一部損に満たない場合、保険金は支払われません。

保険金を受け取れないのはどんな場合?

地震保険の保険金支払いの対象とならない主な場合を紹介します。以下のような事例では地震保険の保険金の支払の対象にはなりません。

① 地震等が発生した日の翌日から10日経過後に生じた損害
地震等が発生した日の翌日から10日経過後に生じた損害については、地震等との因果関係がはっきりしなくなるため、保険金が支払われません。

②紛失または盗難によって生じた損害
大規模な地震後、避難生活で不在の間を狙って盗難等が起こる場合がありますが、紛失や盗難によって生じた損害は補償の対象外です。

③門、塀、垣のみに生じた損害
門、塀、垣は建物の主要構造部に当たらないため、その部分のみに生じた損害については地震保険の対象外となります。

④一部損に満たない損害
損害の程度の調査の結果、一部損に至らないと判定された場合は地震保険の支払いの対象とはなりません。

⑤高額な家財1点のみが壊れた場合
地震保険における損害の査定では個々の価格は考慮されません。5万円のテレビが壊れたという場合も50万円のテレビが壊れたという場合も等しくテレビが1点壊れたという計算になります。そのため、家財が1点壊れたというだけでは基本的に一部損に満たず、保険金の支払いの対象とはなりません。

⑥自動車やバイクの損害
保険会社へ告知する項目が少なく引受基準も緩いため、持病がある人でも加入しやすい保険

まとめ

地震保険の対象となるのは居住用の建物と居住用建物に収容されている家財⼀式です。対象となる建物や家財に地震・噴火・津波による損害が発生した場合に損害の程度に応じた保険金が支払われます。なお、一部損に満たない場合や避難生活中を狙った盗難、自動車やバイクの損害などは対象とならないのでご注意ください。どのような場合に地震保険の対象となるのか理解して、地震に対してしっかりと備えるようにしましょう。