手術費用の公的制度とは?

あなたがもし突然入院をすることになったら、治療費や入院費はどうしますか?
「手術費用が払えない、どうしよう!?」「お金がないから入院したくても入院できない・・・」入院費用や手術費用について、お困りの方は少なくないでしょう。
手術費用が払えないときに頼れる公的制度でまず把握しておきたいのが「高額療養費」と「限度額認定証」の組み合わせです。今回は「入院費用が払えない」と困ったとき、どうすればよいのかを解説します。負担のない入院生活を送るため、ぜひ参考にしてみてください!
高額療養費制度について
高額療養費制度とは、一定以上の医療費がかかった場合に上限を超えた医療費が戻ってくる制度のことです。
医療費の一か月の自己負担額が一定額を超えると利用できます。
対象となる医療費は公的医療保険の適用範囲のみで、普通分娩費や美容整形費、差額ベッド代、先進医療に係る費用などは該当しません。
この制度では、ひと月(月の1日~末日)に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定の金額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻されます。
払い戻しまでには少なくとも3カ月程度の期間を要しますが、事前に「限度額適用認定証」(住民税非課税世帯の方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)の手続きを行うことで、ひと月の支払額そのものを自己負担限度額までとすることができます。
認定証については、加入している、健康保険組合、協会けんぽ、市区町村
(国民健康保険・後期高齢者医療制度の窓口)などにお問い合わせください。
◆費用の算出にあたっては、原則、以下のようなルールが適用されます。
月の初めから終わりまでの暦月ごとに計算
医療機関ごとに計算
同じ医療機関でも入院と外来は別計算
同じ医療機関でも医科と歯科は別計算
入院時の食費負担や差額ベッド代などは対象外
ご本人が負担する費用の上限額(自己負担限度額)は年齢や所得に応じて定められています。また、条件によっては、同じ月の別の医療機関の受診や入院、同一世帯の家族の受診などについても合算できる場合があります。
限度額認定証について
上記の高額療養費制度は、上限を超えた分が2~3ヶ月後に払い戻される仕組みです。
一方、限度額認定証を利用することで窓口での支払いが自己負担の上限までで済むことになります。
■利用には以下のステップが必要です
保険者(所属する健康保険組合)から限度額認定証の交付を受ける
限度額認定証を窓口に提示する
超過分の支払いをする必要がないため、医療費の窓口負担を年収に応じて抑えることが可能です。
公的医療保険が適用できる入院費用の内訳
入院費用には、
病院に払わなければならない費用
入院する人の生活のための費用
の2つがあります。
また、それぞれ保険が適用されるものとされないものとがある点にも注意が必要です。
公的医療保険が適用される費用
手術代、検査代、薬代といった直接的な治療費です。費用全体のうち患者さんが支払う割合は、70歳未満の成人では3割などと自己負担割合が決められ、残りは公的医療保険から支払われます。
■公的医療保険が適用されない費用
・開発中の試験的な治療(先進治療など)
・試験的な薬(治験)
・医療機器を使った治療費
・院中の差額ベッド代
これらには公的医療保険が適用されません。公的医療保険が適用されない治療や
サービスについては、通常実施前に患者さんや家族に説明があります。
公的医療保険が適用されない(保険適用外)診療を受けた場合は?
全額が自己負担となります。
また、保険適用の治療と併せて公的医療保険が適用されない治療を受けた場合は、原則として保険適用分も合わせた全額が自己負担となります。
ただし、「先進医療」や「医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療」など、厚生労働省が認めた治療については、保険適用外の診療と、保険診療の併用が認められ、保険適用の治療部分については公的医療保険の給付の対象になります。
手術費用が払えない時の対処法はある?
■病院に分割払いを相談する
病院は入院時に保証金を納めてもらったり、保証人を立ててもらったりすることで入院費用をしっかり支払ってもらう仕組みが成り立っています。
どうしても入院費用が支払えそうにない場合や保証人を擁することができなそうな場合は、病院に入院費用の相談をもちかけましょう。
病院の対応は決まっているわけではありませんが、場合によっては以下のような対応をしてくれる可能性もあります。
・費用の分割払い
・支払いの先延ばし
ここで大切なことは「最初に相談する」ということです。
入院して手術も受けて退院する時になって相談しても、患者側の希望通りに対応するのは難しくなります。
まとめ
いかがでしたか。治療などにかかる費用には、公的医療保険が適用されるもの
と適用されないものがあります。
適用されたとしても自己負担は発生します。また、公的な医療保険が適用とならない差額ベッド代や先進医療などについては、全額自己負担となります。
自己負担が抑えられるとはいえ、入院期間や療養期間が長引くほど負担が大きくなるため、民間の医療保険を検討する際は、「医療費の心配をせずに治療に専念できるための保障」を得られる保険商品を基本に考えるとよいでしょう。
公的医療保険には、会社員が加入する健康保険のほか、自営業の方や会社を退職した方が入る国民健康保険など、いくつかの種類があります。
その種類によって、手続きの窓口や、受けられるサービス内容が異なることも
ありますので、一度確認しておきましょう。