全国共済お役立ちコラム

先進医療ってどんなもの?先進医療特約はつけるべき?

2022-4-6

先進医療については、平成16年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたものです。 また、先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。 

「先進医療に係る費用」は全額自己負担なの?

先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者は一般の保険診療の場合と比べて、「先進医療に係る費用」を多く負担することになります。
1.「先進医療に係る費用」は、患者が全額自己負担することになります。
「先進医療に係る費用」は、医療の種類や病院によって異なります。
2.「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。
つまり、一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。


総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だった場合

1.先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
2.通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料 *)は、保険として給付される部分になります。
保険給付分*=80万円(10割)
7割にあたる56万円が各健康保険制度から給付。
3割にあたる24万円が患者の一部負担金。

「先進医療の技術料」は全額自己負担なの?

先進医療の技術料は公的医療保険の対象外で、全額自己負担になります。その他の診察料、検査料、投薬料、入院料などは公的医療保険が適用されます。
なお、厚生労働省に届け出た医療機関以外で先進医療と同様の治療・手術などを受けても先進医療とは認められません。
また、医療技術ごとに対象となる症状等があらかじめ決まっていますので、該当しなければ先進医療とは認められません。

先進医療と認められない場合は、全てが公的医療保険の対象外となり、診察料を含め全額自己負担となります。

■先進医療の自己負担額の算定方法

先進医療と認められた治療法は、今後、公的な医療保険の対象にするかどうかのテストをしている段階にあります。そのため、先進医療を受ける場合、「技術料」が全額自己負担となります。
技術料の額は、医療の種類によって異なるのはもちろんのこと、病院によっても異なります。

先進医療は誰でも受けられるの?

誰でも受けることができるわけではなく、患者さんが希望し、かつ医師がその必要性と合理性を認めた場合のみに限られています。 先進医療の費用は高度な技術を用いるため高額となり、さらに健康保険が適用されないため、患者さんが高額の費用の全額を自己負担する必要があります。

◆先進医療を受けるときは
先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、被保険者証(老人医療対象者は健康手帳も)を窓口に提出します。 先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。

先進医療は何種類あるの?

■ 先進医療の種類

先進医療は厚生労働大臣が定めるもので、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などです。
令和4年2月1日現在第2項先進医療技術24種類と第3項先進医療技術57種類が定められており厚生労働省のウェブサイト内「先進医療の概要について」に掲載されています。
先進医療は、評価の結果、公的医療保険の対象となったり、対象から外れたりするなど先進医療の内容は時とともに変化します。 2022年2月1日現在、先進医療は81種類となっています。

がん治療で使われる先進医療とは?

陽子線治療や重粒子線治療は、がん治療として知られています。

従来までの放射線治療よりも副作用が少ないというメリットがありますが、課題のひとつとして、施設に広大なスペースを確保する必要が挙げられます。
特に、重粒子線治療の施設には、サッカー場ほどの広さが必要ともいわれており、重粒子線治療が受けられる医療機関は、全国で6カ所しかありません。
このような事情から、陽子線治療・重粒子線治療は先進医療のなかでも高額治療の例でよく挙げられています。
なお現在、陽子線治療・重粒子線治療は、一部の適応症について公的医療保険が適用されます。

先進医療特約の必要性と先進医療を受ける可能性

では、先進医療特約は必要なのでしょうか。

厚生労働省 第93回先進医療会議「令和2年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、2019年7月1日~2020年6月30日の先進医療の患者数は5,459人です。日本人の人口のわずか0.004%程度ですので、先進医療を受ける可能性は高くはないでしょう。

ただ、厚生労働省 第93回先進医療会議「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用 令和2年度実績報告(令和元年7月1日~令和2年6月30日)」によると、先進医療のなかでも治療費が高額になる陽子線治療と重粒子線治療の実施件数は合わせて1,899件で、先進医療全体の実施件数の約35%を占めています。

まとめ

いかがでしたか。
先進医療で高額な医療費がかかった際の自己負担が不安だという方は、先進医療特約を付加すると良いでしょう。
月額100円程度の少額な保険料で大きな保障を得られるのが、先進医療特約の魅力です。
先進医療特約の注意点についてもきちんと理解した上で、先進医療特約が自分にとって必要かどうかよく検討しましょう。