手術が必要な病気にかかったら入院期間はどのくらい?万が一の場合に備えておくべきこととは

どんなに健康に気を付けて過ごしていても、思わぬ入院や手術という事態に直面することもあります。
手術が決定したときに自分の病状が不安になるのと同時に気になるのは入院期間です。
仕事や社会復帰はいつできるのか、それに併せて金銭的なことは大丈夫なのだろうか……と悩みは尽きないでしょう。
今回は、「手術になった場合の入院期間はどれくらいなのか」「入院期間中の費用はどのようにカバーしていけばよいのか」ということについて解説していきます。
疾病別と年齢別で手術が必要なときの入院期間の目安はこれ!
手術が伴う場合の入院期間はどれくらいなのかというと、病気の種類や程度によっても異なります。
疾病別に見る入院期間
日本には「3大疾病」と呼ばれる日本人の死因上位となる病気があります。それは「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の3つです。これらを例に挙げてみましょう。
・がんの場合での平均在院期間……約17日
・心疾患での平均在院期間……約19日
・脳血管疾患での平均在院期間……約80日
疾病によって大きな差がありますが、病気によっては手術後の状況で処置入院という可能性もあるのです。
年代別から見る平均入院期間
年代別でかかりやすい病気は異なります。年代別での平均入院期間を見てみましょう。
・20代:平均14.4日間
・30代:平均13.5日間
・40代:平均12.3日間
・50代:平均15.2日間
・60代:平均19.0日間
必ずしもこれが手術時のみの入院期間となるわけではありませんが、年齢とともに入院期間が長くなる傾向がありますね。
手術方法によっても入院期間が異なる
同じ病気でも手術の方法が違うこともあります。身近な疾病を例に挙げるとすれば、大腸がんや婦人科系の手術の場合、開腹手術と腹腔鏡下手術と2種類の手術方法があります。腹腔鏡下手術の方は傷が小さいなどの理由から、入院期間が短くなることが多いようです。
大体の場合は同じ病気で同じ手術方法となった場合、入院期間に大きな差はないようです。ただし病院ごとに多少の入院期間の差は生じることもあります。
入院は手術当日から始まるのではなく、多くの場合は手術の2日前~前日からの入院になります。手術前の検査や処置などがおこなわれます。
手術が必要な病気にかかった場合の支払い費用や収入面はどうカバーするのがベスト?
多くの場合、手術の際の入院期間は1週間から2週間ほどですが、先ほど紹介した心疾患では約3週間、脳血管疾患の場合には程度にもよりますが3か月近く入院する可能性もあるのです。
手術が難しければ難しいほど、入院期間が長くなれば長くなるほど費用もかかってくるのが現状です。入院や手術のため仕事を休む人もいるでしょう。収入面も不安になる中で手術や入院費の支払いもと考えると不安ですよね。
治療に専念できるよう備えるには、どうしたらいいのでしょうか。
公的健康医療保険制度を利用する
【自身の持っている保険証を提示する】
これは皆さん当たり前のように利用していると思いますが、年齢や所得に応じて医療費の自己負担額が3割~1割となります。
【高額療養費制度】
医療費が高額になった場合にひと月(1日~31日)で上限額を超えた場合に超えた分を払い戻しする制度というのも設けられています。上限額は年齢と所得区分で該当金額が算出されます。
【限度額適用認定証】
意外と知られていないのがこの仕組み。事前に医療費が高額になるとわかっている場合に申請し認定証が交付されると、健康保険証と一緒に提示することで窓口での支払いがひと月の支払限度額までとなります。
つまり、高額医療費制度の場合は一時的に自己負担額の全額を一旦支払わなければなりません。限度額適用認定証の提示があればその必要はなく、限度額まで引き下がった自己負担額を支払えばよいので負担が軽くなるということです。
退院後に高額療養費制度の申請も行なわずに済みます。
このように、日本の公的健康医療保険は充実しています。
注意が必要なのは、すべての入院費に該当するというわけではないということです。適用となるのはあくまで病気に対して医療行為を行なった部分のみです。
・入院中の飲食費
・差額ベッド費
・入院生活に必要な日用品の購入やレンタル
・TV視聴費
・コインランドリーやクリーニング費用
・交通費や家族の宿泊費
などは適用外で自己負担となります。
民間医療保険制度を利用する
民間の医療保険には加入していた方が良いのでしょうか?
これには賛否両論があります。公的健康医療保険制度を利用すれば十分という考え方も多いようです。
民間の医療保険に関しても、公的健康医療保険制度に準じて適用となる保障がほとんどになることから、貯蓄をしておけば高額な保険料を支払う必要性を感じないという人もいます。
しかし、保険会社はさまざまな保険商品を取り扱っています。
入院や手術費用をカバーする医療保険の商品も数多くありますが、中には「就業不能保険」を取り扱っている保険会社もあります。
もし勤労収入があるひとが手術や入院で長期日数働けなくなった場合の収入面のサポートをしてくれるというわけです。
病気で手術が必要になるのは高齢の場合だけではありません。こういったものも視野に入れておくといいでしょう。
反対に高齢者の場合には、収入が現役で働いている頃より減る人が多いでしょう。病気のリスクが高まる年齢ということもあり保険に入っていると安心ですが、保険料の支払いのために家計がひっ迫してしまうことも考えられます。保険に加入していたいという場合には、1日当たりの給付サポートではなく長期的な入院をサポートしてくれる保険の方がおすすめです。また、保障の一部を保険でカバーし、足りない部分は貯蓄で補うという方法もあります。いずれにせよ、保障内容と生活費のバランスを見極めて保険加入を検討することが大切ですね。
まとめ:手術が伴う入院期間をイメージして備え方を知っておくことが大事
手術を伴う入院期間は病気によって大きく異なり、予想できないことに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
就労している人は1~2週間の入院期間であってもその後自宅療養期間もあり、収入面の心配もあることでしょう。高齢者の方は長期入院を余儀なくされる疾病にかかるリスクが高まってしまいます。
手術や入院を通して治療に専念したいと思う反面、金銭的な面も負担になってしまう現状。公的な健康医療保険制度を活用するにしても、民間の保険に加入するにしても「備え方を知っておくこと」は非常に大切なことです。
今回の記事を読んで「もし自分が手術を必要とする病気にかかって入院期間が長くなってしまったら……」と考える機会となってくれたら幸いです。