割安な保険料が最大の魅力!?掛け捨て保険が持つ特徴について

保険の基本ともされる「掛け捨て」。貯蓄型の保険とは違い、掛けたお金が戻ってこないということは、その言葉からイメージができます。しかし、掛け捨て型の保険には、どういった特徴があるのでしょうか?
今回は生命保険選びに役立てたい、掛け捨てタイプの保険の特徴について見ていきましょう。
貯蓄型に比べると保険料が割安
基本的に掛け捨ての保険は、保険商品の原価にあたる純保険料に「貯蓄」となる上乗せがありません。
純保険料とは、将来的な保険金や給付金の支払いに利用される保険料のこと。保険会社の運営上必要になる人件費や宣伝費、販売手数料、保険会社の事務所を維持するための経費として利用される付加保険料とは異なります。
掛け捨てタイプの保険の場合、死亡したときに支払われる保険料や入院・手術時に受け取る給付金など、保険契約の「保障」の役目を担う「危険保険料」だけになり、貯蓄を目的とした「貯蓄保険料」は含まれていません。それこそが、掛け捨てタイプの保険が割安と言われる理由です。
ちなみに「貯蓄型保険」では、契約満了時や途中解約時に掛け金が払い戻されるのが一般的。それは保険料の構成として、「危険保険料」に加え「貯蓄保険料」が上乗せされているからです。こういったタイプの保険商品では、満期を迎えたときに満期保険金が受け取れます。また、契約の途中で解約したとしても、ある程度まとまった金額を受け取れるものもあります。
では実際に、30歳の男性が1,000万円の死亡保障を備えた場合の保険料を例に、掛け捨て型と貯蓄型の保険料を比較してみましょう。
掛け捨て型の場合、1か月の保険料が仮に3,000円。一方、貯蓄型は1か月15,000円だったとします。その場合、前者は年間の払込保険料が36,000円、後者が180,000円。期間払込保険料の累計額を見てみると、掛け捨て型の場合で65歳満了時に1,260,000円、貯蓄型の場合に65歳時点で6,300,000円と、払い込む保険料に大幅な差が生じます。
純保険料部分に貯蓄保険料が上乗せされているかどうかで、払込保険料にこれほどの違いがあることを理解すれば、掛け捨て型が割安といわれる理由も納得できるのではないでしょうか。
相互扶助の理念に基づき特化した保障機能
生命保険に加入する理由は、万が一のことが起こったときの経済的リスクへの備え。経済的なダメージを補填することが目的と言ってもいいでしょう。
しかし、生命保険は加入者の備えだけでなく、同じ保険会社の保険に加入している別の誰かのために使われることも大前提として運用されています。生命保険ではこの考え方を、相互扶助の理念と呼んでいます。
基本的に掛け捨て型の生命保険に加入すると、保険の契約が満了を迎えたときや、契約を途中で解約した際に、掛け金として支払った保険料が払い戻されません。そのため、掛け金が文字通り捨てられているような印象を持ってしまいますが、実際はそうではありません。
万が一のことが起こったときには、経済的損失を補填してくれる金額が保障されますので、加入者本人はもちろん、その家族を守ってくれる備えとなります。また、万が一のことが起こらなかった場合には、相互扶助の理念に基づき、同じ保険会社の保険に加入している別の加入者を守るために、しっかりと役立っているものなのです。
契約途中の解約には要注意
前述のとおり、掛け捨て型の保険は保険料が割安になる反面、契約満了時や契約の途中解約時に、掛け金として支払った保険料が払い戻されません。それは、純保険料部分に貯蓄部分が含まれていないからこそ。もし払い戻しを受けられるプランだったとしても、満足できる額が払い戻されるケースは少ないといえるでしょう。
はじめて生命保険を検討するときは、契約途中で解約することになるかどうかまで、具体的なイメージを持っている人はほとんどいないはず。加入時には保険料の割安さから、掛け捨てタイプに魅力を感じてしまうかもしれませんが、やがて生命保険の見直しを行う日がやってくるかもしれません。
加入前はそれらの判断が難しいことでしょう。しかし、掛け捨てタイプの保険は契約途中に保険を解約してしまうと、掛け金としてそれまでに支払った保険料が戻ってこないケースが一般的だという点は押さえておきましょう。
家計の負担にならない保険のタイプを選ぶ
支払う保険料が割安なのが掛け捨てタイプの保険の最大の特徴。相互扶助の理念を理解することで、掛け捨てタイプの保険がどのように運用されているのかが理解できるはずです。保険料が割安というメリットがある反面、満期保険金や払戻金が受け取れないなど注意点があるのも事実です。しかし、将来的に払戻金が受け取れるからといって、無計画に貯蓄型の保険を選んでしまっては、家計の負担になってしまうこともあるでしょう。掛け捨てタイプの保険の特徴をしっかりと押さえたうえで、家計の負担にならず自分に適した保険を選ぶようにしましょう。