社会保険の加入条件にはどんなものがあるの?

我々の日常生活をいつも支えているのが「社会保険」。法人事業所であれば従業員を必ず加入させなければならない決まりになっています。
しかしこの社会保険、その種類の多さから複雑な構造になっており、保険毎の詳しい条件まで全て理解されている方は中々少ないのではないでしょうか。
さらに、事業所であればその規模や業種、従業員であれば所定労働時間や労働日数によっても加入可否が異なります。今回のコラムでは、そんな社会保険の加入
条件について詳しく触れていきます。特に事業主の方などは、しっかりと理解しておきましょう。
保険の種類によって加入条件は異なる
社会保険では、保険の種類によって加入条件が異なります。(ただし、該当企業が“社会保険適用事業所”であることが前提となります)ここでは、保険別にその違いを解説していきます。
健康保険・厚生年金の場合
健康保険・厚生年金の場合、下記2つの条件を満たす場合には加入が義務化されます。
・常時使用されている
・週所定労働時間および月所定労働日数が、常時使用されている正社員の4分の3以上の場合(ただし、2ヶ月以内の有期雇用で、かつ契約更新の可能性がない場合は除く。)
労災保険の場合
労災保険に関しては、全労働者が加入対象となっています。
雇用保険の場合
雇用保険の場合、下記3つの条件を満たす場合には加入が義務化されます。
・勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
・1週間あたり20時間以上働いていること
・学生ではないこと
パート、アルバイトの方でも加入対象に
人手不足が嘆かれる職場環境においては、アルバイトやパートの方も非常に重要な戦力になります。そんなパート・アルバイトの方でも、社会保険が完備されている企業において、1ヶ月以内の短い契約でない場合には保険の加入対象として扱われます。
以下の条件が該当する場合は、「健康保険」「厚生年金保険」への加入が義務化されます。
・1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ会社で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上であること
※また、上記の条件を満たしていなくても、下記5つの条件が当てはまる場合には加入対象となります。
・週の労働時間が20時間以上
・月収が8.8万円以上
・雇用期間が見込みを含み1年以上
・勤める企業の従業員数が501名以上
・当本人が学生ではない場合
事業所規模によっても異なる加入条件
社会保険への加入条件に関しては、その事業所の規模によっても異なってきます。また、保険毎に「強制加入条件」と「任意加入条件」の2種類が存在しています。
ここでは、それらの違いについて保険別で触れていきます。
健康保険・厚生年金の場合
健康保険・厚生年金における「強制加入条件」と「任意加入条件」は以下の通りです。
●強制加入条件
・法人事業所で常時従業員を使用の場合(国・地方公共団体・事業主だけの事業所を含みます。)
・個人事業所で常時使用する従業員が5人以上の場合(農林水産業・一部サービス業・士業・宗教などを除きます。)
上記2つの条件を満たしている場合、加入が義務化されます。
●任意加入条件
・個人事業所で常時使用する従業員が5人未満の場合(農林水産業・一部サービス業・士業・宗教などを含みます。)には事業主が加入申請できます。
労災保険の場合
労災保険における「強制加入条件」と「任意加入条件」は以下の通りです。
●強制加入条件
原則として、常時使用する労働者が1人でもいる事業所の場合は加入対象となります。この場合、法人または個人事業は問いません。ただし国の直轄事業、官公署の事業は除かれます。
●任意加入条件
・個人経営の農業で常時使用する労働者が5人未満の場合
・個人経営の林業で常時使用する労働者がおらず、年間労働者数がのべ300人未満の場合
・個人経営の漁業で常時使用する労働者が5人未満の場合
上記3つの条件が当てはまる場合には加入申請ができます。
雇用保険の場合
雇用保険における「強制加入条件」と「任意加入条件」は以下の通りです。
●強制加入条件
原則として、常時使用する労働者が1人でもいる事業所は加入対象となります。
ただし、雇用保険の加入条件を満たす労働者がいない事業所は対象外です。
●任意加入条件
・個人経営の農業で常時使用する労働者が5人未満の場合
・個人経営の林業で常時使用する労働者がおらず、年間労働者数がのべ300人未満の場合
・個人経営の漁業で常時使用する労働者が5人未満の場合
(こちらは労災保険と同様の内容となっています。)
まとめ
社会保険は、企業で働く従業員の健康や将来の生活などを守るために必要不可欠な制度であり、条件によっては事業主の義務となります。さらに法改正の内容によっては、条件の変更もあり得ます。そのため、事業主の方は社会保険の加入条件を十分に理解したうえで、最新の情報を把握しておくことが必要になるでしょう。