備えあれば憂いなし!労災保険について知っていますか?

会社に勤めて仕事をしていると、様々な事が起こります。例えば、万が一ケガや病気をしたとき、それが仕
事をしている業務時間内や通勤途中であった場合には、かかる治療費などをご自身で負担する事は割に合わな
いと考えるでしょう。
しかし、そんな時に皆さまを守る役割を果たすのが社
会保険の1つの「労災保険」です。
今回のコラムでは、そんな重要な役割を果たす存在である労災保険についての給付対象から保障範囲まで詳
しく解説していきます。労災保険がどのような場合に役に立つ物なのか、この機会に知っておきましょう!
労災保険とは?
正式名称では「労働者災害補償保険」といいます。
この保険の主な給付対象とされているのが通勤中・仕事中のけがや病気、障害、死亡に対してです。本人やその遺族のために必要な給付を行う保険となります。
労災保険の加入対象は幅広い
労災保険の加入対象に関しては、正社員、パート、アルバイト、日雇など労働や雇用形態に関わらず、すべての労働者が対象となっています。また、派遣労働者も労災保険の加入対象です。派遣労働者の場合は、派遣元の事業所が加入することが決まりとなっています。
一方、「請負」として働く方や、代表権や業務執行権を持つ役員などは、労災保険の対象外となるので注意しましょう。
労災保険の加入条件
事業所としては、従業員を1人でも雇用している場合は、労災保険に加入しなければならない決まりになっています。ただし、以下3点の条件に該当する事業所や従業員に関しては、他の法律で補償されるため、労災保険の対象とはなりません。
・官公署の事業のうち非現業のもの(地方公務員で現業部門における非常勤職員は適用対象)
・国の直営事業所
・船員保険被保険者(疾病任意継続被保険者以外)
労災保険の加入申請方法
企業が、労災保険への加入を申請する際は、以下の3点を所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
・労働保険に加入するために提出しなければならない「保険関係成立届」
・労働保険に加入した場合に支払うべき労働保険料について申告する「労働保険概算保険料申告書」
・「履歴事項全部証明書(写)」1通
提出期限は、保険関係が成立した翌日から10日以内です。「労働保険概算保険料申告書」は50日以内に提出することができますが、一般的には他の書類と一緒に提出し、50日以内に納付することをお勧めします。忘れずに申請を行いましょう。
労災保険の保障範囲は?
労災の保障範囲は幅広く、病気で欠勤した場合の休業補償や体に障害が残った場合の障害補償、死亡した場合の遺族補償などが含まれます。また、被保険者の社会復帰や遺族への援助にも労災保険が適用されます。
具体的には「療養補償給付」、「休業補償給付」、「障害補償給付」、「遺族補償給付」などが挙げられます。以下ではそれぞれの解説をさせて頂きます。
1.療養補償給付
療養補償給付では、病院での入院費や診察代、薬代などが主な給付内容となります。また、柔道整復師の施術に関しては、応急手当の場合を除き医師の同意を得た場合に行うことができるとされています。
2.休業補償給付
休業補償給付は、業務災害に遭い仕事を休まざるを得なくなり、給料が減額された場合に支給されます。
給付額は、給付基礎日額(過去3ヶ月分の給料の総額をその総日数で除した金額)の60%とされています。
また休業補償給付は、業務災害により療養したことで賃金を受けることができない日から4日目から支給されます。ただし、最初の3日間については使用者が補償しなければならない為、注意が必要です。
3.障害保障給付
障害補償給付では、仕事上での災害でけがや病気などにかかり、万が一治った場合において、身体に障害が残存している場合には障害補償給付が支給されます。ここでいう「治った場合」というのは、症状が落ち着き、かつそれ以上の治療を行っても治療の余地がなくなった場合を指します。
障害の度合いというのは、労働基準法施行規則40条1項別表第2で、1級から14級まで定められており、1級が最も重い障害となっています。また、1級から7級までに該当する場合は障害補償年金が支給され、8級から14級の該当の場合には障害補償一時金が支給されることになります。
障害補償年金は、給付基礎日額に給付日数を乗じた金額が支給されます。
支払いの始期・終期は傷病が治った日の属する月の翌月から始まり、その事由がなくなった日の属する月まで支給されます。
4.遺族補償給付
遺族補償給付では、仕事上での災害によって万が一死亡した場合に、遺族への給付が行われます。遺族補償給付には、遺族補償年金、遺族補償一時金があります。
まとめ
病気やケガをしないことが最も大切ですが、労災は予期せぬときに起こります。
どのような保険かを知っておけば、万が一のときに役立ちます。概要を知っておくとともに、家族や職場の同僚など身の回りの方とも共有しておくとよいでしょう。