全国共済お役立ちコラム

老後資金に退職金は充てられるのか?そもそも退職金はもらえるの?

2020-2-3

老後の資金について考えたときに、まず思い浮かぶのが退職金のことかもしれません。
ですが、皆さんは自分の退職金がどれくらいになるのか知っていますか?
実は2人に1人は退職金の額を退職半年前まで知らないとも言われています。

今回は退職金について焦点を当てながら老後資金のことについて考えていきましょう。

退職金について把握してますか?実は知らない人がとても多いのです!

老後に2000万円で話題となった金融庁の報告書は色々な情報が入っています。その一つに退職金や企業年金に対する知識のなさ・関心のなさというのが挙げられています

なんと、退職1年前の時点で自分の退職金・企業年金の金額を知らなかった人は約63%にも達しているようです。実に3人に2人ということになりますね。さらに言うと退職が半年前に近づいた時点でも約52%、つまり2人に1人は把握していません。

さらに、約32%の人たちは、実際に受け取る時まで金額を知らなかった、とされています。 自分の「老後2000万円」の元手になる退職金がいくらなのか把握できていないと、実際にどれくらい不足していて、どれくらい貯めれば良いかわかりません

退職金は自分が働くことによりその権利が得られ、積み上がっていくものです。長く働いた人はその分多く、退職金をもらえます。退職金は自分の財産だと考え、まずは想定できる範囲で構いませんので把握することを心がけましょう。

退職金のおおよその金額は?目安だけでも把握しておきましょう!

労使交渉がしっかりしている会社は、退職金額の目安になる数字があるはずです。わからない場合や人事部門や労働組合に尋ねてみるのも良いでしょう。面倒かもしれませんが、退職金規定を読み込んで自分で試算する手もあります。

また、見える化されている制度もあります。企業型確定拠出年金やポイント制退職金などのようなものは、現在の金額が分かるようになっていますのでチェックしてみましょう。

退職金は老後の大きな財産になりますが注意も必要です!

例えば、上記の方法で調べた結果、思っていたよりも多めの金額で老後資金のメドがたった、と安心する人も出てくるでしょう。

退職金は確かに大きな頼りになる可能性が高いですが、いくつかの注意点もあります。その注意点について確認していきましょう!

まず、そもそも退職金がない会社もあるということです。退職金制度は法律上の実施義務がありません。なので、制度そのものが存在しない会社もあるのです。厚生労働省の総合調査によれば、約2割の会社では退職金制度がなく、300人以上の企業でも1割弱は制度がないと言われています。入社前であれば求人情報などで確認も出来るのでチェックしておきましょう。

また、ローンの残債を払うことに持っていかれてしまうパターンも少なくありません。住宅ローンや教育ローンなどを返しきれずに定年を迎えた場合、退職金でこれを完済する人が多いです。つまり定年時点で借金がある人は、その分老後に使える退職金が減ってしまうことになります。退職金に頼らない返済計画が理想になります。

さらに、企業が破綻するリスクがあるということも覚えておきましょう。退職金はまだ受け取っていないお金になるので、金額が確定していません。万が一企業が破綻してしまったとき、企業年金はすでに積立されているものが分配されるので受け取れるのですが、退職金はほとんどもらえないことが少なくありません。また、業績悪化などを理由に退職金水準が引き下げられることもあります。退職金を過信せず80~90%くらいで考えておくのも大事かもしれません。

加えて転職した場合にも注意が必要です。転職する時、確定拠出年金以外のお金は受け取ってしまうことが多いです。そのため、新しい会社ではゼロから積み上げることになります。退職金は通常、新卒から定年まで勤めた社員の数字になっていることが多いので、転職者は満額をもらえないことに注意が必要です。

自分の退職金・企業年金をしっかりと把握して老後への備えしましょう!

会社員の多くは退職金や企業年金により、すでに老後に向けて準備していることになっています。すでに2000万円のメドがたって安心している人もいるかとしれません。しかし、「老後に2000万円」というのは、むしろ最低限の目安と言えます。

より豊かな老後のために月1万円の増額を目指すなら、30年で360万円をさらに蓄える必要があります。長生きや介護・医療費の負担増に備えておきたいのなら、さらにお金が必要になります。2000万円はあくまで平均値です

先のことと油断せずに、自分の退職金・企業年金をしっかりと把握して、老後資金の問題と向き合いましょう!