全国共済お役立ちコラム

脳卒中の原因とは?危険因子はなに?

2022-12-2

脳卒中の主な原因は動脈硬化です。脳には血管によって酸素や栄養を供給されていますが、これらの血管が詰まったり、破れて出血すると脳卒中が発生します。脳卒中には、くも膜下出血(脳動脈にできたコブが破れてくも膜下腔に出血する)と、脳出血(糸のような脳血管が破れて出血する)などがあります。ではその原因について見ていきましょう。 脳卒中は、危険因子を持っている人に起こりやすいです。危険因子はいくつかありますが、主なものは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、肥満、加齢、喫煙・飲酒習慣などです。今回は脳卒中の原因について詳しく見ていきましょう。

最大因子は高血圧

危険因子の中でも最大のものは、高血圧です。収縮期血圧が140mmHgを超えると、脳梗塞になる確率が高いとされています。
欧米の研究によると、収縮期血圧160mmHg以上の場合、脳卒中の発作を起こす最大原因になるとされています。
日本の研究でも、脳梗塞の発症リスクは、収縮期血圧160mmHg以上の場合3.46倍、拡張期血圧95mmHg以上の場合3.18倍です。

❖⾎圧の測り⽅
1⽇1回朝起床後、トイレを済ませて落ち着いた5〜10分程度して⾎圧を測る。
これを機会に⾎圧が⾼めの⽅は、毎朝の習慣にしてみてはどうでしょうか。
深呼吸して測って、140/90mmhgを毎回超えるようであれば医師に相談することも検討しましょう。

|再発防止にも血圧を下げる
脳梗塞になった人が再発を防ぐためにすべきことは、血圧を下げることです。降圧療法で脳卒中の再発危険度が約30%減ったという報告もあります。
ちなみに、日本高血圧学会のガイドライン2000年版では、血圧引き下げ目標値は、次のようになっていました。
治療開始から2〜3カ月後に収縮期150〜170/拡張期95mmHg未満
最終目標は、収縮期140〜150/拡張期90mmHg未満
ただ、この目標値は必ずしも明確な根拠があるわけではなく、血圧が下がり過ぎると脳梗塞が増えるというJカーブ現象も実際にはよくわかっていません。
2019年の同学会のガイドラインでは、一般的な治療目標として、75歳未満は収縮期130/拡張期80mmHg未満、75歳以上で収縮期140/拡張期90mmHg未満を目指すとなっています。

脳卒中の原因になりやすい生活習慣

脳卒中の大きな原因には生活習慣もあります。その中でも、とりわけ大きな要因となっているのが食生活。飽食の時代といわれる昨今、日本人の食文化も大きく変化し、欧米化してきました。動物性脂肪を多く摂取することで、血管の壁に脂肪がたまりやすくなる状況が起き、血管のつまりが原因で脳梗塞を引き起こしているのです。
また、日本人はみそやしょう油を好んで食べるため、元来、塩分を多く取りすぎる傾向があります。そうした食習慣によって高血圧となり、血管がつまりやすくなることで、脳卒中を引き起こすケースも多いようです。食生活以外でも、飲酒、喫煙やストレス、睡眠不足、運動不足などの生活習慣も、脳卒中の原因となります。

|食生活のポイント
 質と量のバランスの良い食事を取る
健康な体を維持し十分な活動をするためには、主食、主菜、副菜を揃えて食べましょう。

 標準体重を維持する
太り過ぎも、やせ過ぎもよくありません。どちらも高血圧や動脈硬化症などの原因になります。適正な体重に近づけるようにしましょう。

 動物性脂肪の取り過ぎに注意する
血液中のコレステロ-ルの増加を予防するうえで大切です。牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類の脂肪の多い部分は控えましょう。油は、バターやラードなどは控え植物性の油を使用しましょう。

 良質のたんぱく質は十分に取る
脂肪の少ない肉類、魚介類、卵、大豆製品、牛乳・乳製品などは不足しないよう毎日十分に取りましょう。

 食塩は控えめにする
食塩の取り過ぎは高血圧など脳卒中の原因になる病気を助長させます。食塩を多く含む加工食品を避け、食塩は1日男性7.5グラム・女性6.5グラム未満を目標に、薄い味付けに慣れましょう。

 野菜、果物、海藻は十分に取る
これらの食品には、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれ、便通を整えるとともにカリウムは体内の余分なナトリウムを体外に排泄する働きを持っています。新鮮な物を毎日十分取るように努めましょう。

 食事時間は規則正しく、3食を平均して食べる
朝、昼、夕食ともバランス良く食べ、落ち着いた気分で楽しく食事ができれば最高です。

 アルコ-ルは適量を飲む
アルコールは動脈硬化の危険因子です。深酒は厳禁、適量を守って程々にします。酒のさかなは塩辛いものを避け、脂肪の少ない肉や魚、そして豆腐や野菜などをバランスよく取り合わせましょう。⼤量の飲酒は脱⽔を引き起こし、脳⾎流を低下させます。

|コレステロールについて
コレステロール異常(脂質異常)は脳の⾎栓を作りやすくし動脈硬化を促進します。
脳梗塞の危険因⼦です。

|塩分・脂肪について
⽇本⼈の平均⾷塩摂取量は1⽇11gです。減塩⽬標は6g未満です。
 麺類の汁は飲まない。
 みそ汁は具だくさんに。
 加⼯⾷品・インスタント⾷品は控える。
 ⿂は⼲物や塩漬けよりも刺⾝や素焼きに。
 しょうゆはかけずに⼩⽫でつける。
 塩のかわりに、酢・うまみ・薬味などを使っておいしく 。
など、 規則的に⾷事をとり、腹⼋分⽬で⾷べ過ぎを防ぐなどの⼯夫が必要です。

肥満や運動不足も脳卒中の原因??

高血圧や糖尿病などと合わせ、日本人の4人に1人とも言われている肥満も脳卒中に関連します。この理由は、肥満や高血圧、高血糖などになると動脈がコレステロールで詰まりやすくなるためです。いつまでも⾃分らしく暮らすためには、⾜腰や頭をよい状態に保つために運動が必要といわれています。年齢で衰えるものだから仕⽅ないと思っていませんか?歳をとってもこれらの衰えは予防できることがわかってきました。また太りすぎにより睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、それが脳梗塞のリスクとなることもわかっています。そして⾼⾎圧・糖尿病や脂質異常を引き起こしやすくなります。適正体重に戻すことで⾎圧が正常化することもありますので、まずは散歩やウォーキングなど始めてみてはどうでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。今回は脳卒中の原因について解説してみました。
脳卒中の発症には、高血圧や糖尿病、あるいは脂質異常症など、原因となる「危険因子」が影響しています。これらの病気をそのままにしてしまうと、脳の血管のさらなる損傷を招き、脳卒中を再発するリスクが高まるでしょう。脳卒中に再び襲われないようにするためには、最初の脳卒中を引き起こした危険因子に正面から向き合って、治療と改善に取り組んでいくことが大事です。また、定期的に検査を受けることも忘れないようにしましょう。