全国共済お役立ちコラム

脳卒中のリハビリはいつ開始するのがいいの??リハビリの内容は?

2022-12-6

今回は「脳卒中のリハビリテーション」についてのお話です。
普段から食事(栄養)や運動、睡眠にと体調管理に気を配っていても、ある日突然発症することのある「脳卒中」。ひとたび発症してしまうと、発症前の日常作業が困難になることも珍しくなく、それまでの生活が一変する可能性すらあります。脳卒中のリハビリテーションは、早ければ処置が終わってすぐにリハビリテーションを開始する事が推奨されています。脳卒中のリハビリテーションについて考えるとき、意識したいポイントなどをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

リハビリテーションの目標と内容

何を目標にどんなリハビリテーションを行うかは、患者さんの状態ごとに異なります。そこで医師らは、急性期から身体障害の回復具合や日常生活動作の様子をチェックして個々の患者さんの症状に合わせたリハビリメニューを処方していきます。脳卒中の急性期・回復期・維持期を通じて掲げられるリハビリテーションの目的は次の3点を柱とします。
1)脳の機能を回復する
2)残された機能を強化する
3)環境を整える
たとえば、脳卒中で右手が麻痺した場合、まずは1)のように最大限の機能回復をめざします。そしてたとえ発症前と同じ状態に戻らなかった場合でも2)のように左手などの使える機能を強化して、患者さんの生活の質の向上を図ります。また右手に力が入らなくても使える品物をそろえたり、にぎりやすい蛇口やドアノブに替えたりします。これが3)の環境を整える、にあたります。症状が重く、車椅子が必要になった場合の住宅改修なども含まれます。つまり、リハビリテーションとは単なる動作練習や筋力トレーニングだけではなく、患者さんの病後の生活全般をより良いものにすることを目的としています

脳卒中のリハビリは「急性期から始める」ことが大切!

脳卒中のリハビリは、早めに開始する事が推奨されています。
その理由は以下の通りです。
 長期の寝たきりを避け、廃用症候群にならないように努める。
手足そのものはケガをしていませんので、脳以外に於いては健康な状態と言えるでしょう。
 回復期リハビリに向け、基礎体力の維持を目指す
しっかりと体力を維持する事が出来れば、早期に社会復帰にも繋がります。
また、脳卒中のリハビリを病院やクリニックで受けられる期間は状態により異なりますが、発症から最大で180日※と定められ、期間が到達すると、原則的には維持期(生活期)のリハビリへと移行することになります。
(※:回復期リハビリテーション病棟への入院の場合は「発症から入院までの期間」にも上限期間が設けられています。)
こうした所を考えると、少しでも多くのことができるという観点からも、急性期からリハビリを始めることは重要な役割を果たします。

脳卒中での「急性期リハビリ」の内容は?

急性期リハビリでは、『起こして、動かす』いわゆる同じ体勢にしておかないリハビリの点から主に以下の内容を実施します。
 ベッドの上で座位になる練習
 自分の手足を動かす練習
 関節可動域を維持する練習

いきなり座位になったり、手足を急に動かすことは危険を伴います。既往に病気(持病)を抱えている事が多く、合併症が起こりやすい状況の期間とも言えます。
その為、患者様の回復度合いを見てベッドの角度を少しずつ上げたまま生活したり、まひの起きやすい箇所の関節を少しずつ動かす練習を行います。完全に回復できるとは限らないが、リハビリを止めると回復できないケガのリハビリと異なるのは、「同じ症例=同じまひや後遺症が起きる訳ではない」という点です。
例えば同じ年代・体格で同様の日常生活を送っていた人が骨折した場合において「日常生活が営める程度に歩ける」といった目標設定をし、同じような期間で同じようなリハビリを進めるとほとんど差異のない回復が期待できます。
しかし、脳卒中となると脳の損傷部位は同じでもダメージの出方は人それぞれです。
そしてその回復度合いにも差異が生じます。

|回復期(数週間から数ヶ月くらい)
入院中の医療施設または専門のリハビリ施設などで本格的集中的なリハビリが行われた結果、日常生活に必要な動作や機能が回復するまでの期間を回復期といいます。日数は症状の重さによって異なりますが、数週間の人もいれば数ヶ月以上かかる人もいます。
|維持期(数ヶ月から6ヶ月め以降)
自宅などに戻って、回復期に取り戻した機能の維持を図り、日常生活の自立と社会復帰を目指す時期を維持期といいます。退院後も日常生活動作やそれを応用した動作などの訓練を自然に取り入れることが機能の維持につながります。

脳卒中のリハビリは、少しずつでも継続していくことが大切

脳卒中におけるリハビリは、早期の日常生活向上と社会復帰を図る事から
・後遺症を軽減し、発症前の生活に近づける
・今ある能力を活かし、新しい生活のクオリティを上げる
この両方を意識して取り組むことが大切です。
脳卒中は多くの場合、発症した部位と反対側の手足に影響を及ぼします。
具体的には「右の脳に発症した場合、左手や左足にまひが残る」といった形です。
片方の手足に不便さが残っても、反対の手足に障害がなければ基本的な日常生活を営むことは可能です。もしリハビリをやめてしまえば、そこから先に回復しないばかりか、再びまひや拘縮が始まり悪化させる可能性すらあります。
「発症前のレベルまで回復すること」が、リハビリの目標とは限らない点に、十分注意しましょう。

まとめ

脳卒中のリハビリは、重度になればなるほど短期間での回復が難しいうえに、同じ症例であっても短期間で回復する人もいれば、数年かけてやっと回復することもあります。
回復期・維持期において脈拍や血圧が安定しているときは、積極的にリハビリを行うことが大切です。完全に回復しないなら、とリハビリをあきらめたくなると思いますが、少しずつでもリハビリは継続することが大切ですね。