教えて!脳出血ってどんな病気?

皆さんは脳出血がどのような病気かご存じですか?
脳血管疾患の種類は多く、脳出血が実際どのような病気なのか正確に把握できていない方も多いと思いますが、脳出血は一度発症すると、重い後遺症が残ったり、命を落とすこともある非常に危険な病気です。しかし一方で、脳出血は日頃からきちんと予防をすることで十分に防げる病気でもあります。今回はそんな脳出血について、症状や原因、治療法、予防法など詳しく解説していきます。将来、脳出血を起こさないためにも、是非読んでいってください!
脳出血とは
脳出血とは脳卒中のひとつで、脳に張り巡らせられた血管に障害が起こる病気です。直接の原因は文字通り「出血」で、脳の血管が破れて血液があふれ出し、固まって「血腫」となることで周囲を圧迫し、脳細胞を破壊してさまざまな症状を引き起こします。
脳出血の種類と症状
脳出血は血管が破れた部位によって症状が異なり、以下の種類に分けることが出来ます。
■被殻出血
脳出血の中でも最も多いのがこの被殻出血で、全体の約40%~50%にも及びます。被殻出血が起こると、体の半身が麻痺を起こす「片麻痺」や、顔の片側がゆがんでしまう「顔面神経麻痺」などが症状として現れます。
■視床出血
被殻出血に次いで多いのが視床出血で、視床と呼ばれる部位の血管が破れて起こる脳出血です。視床は視覚や聴覚などで得た情報を集め、感覚中枢に送り届ける役割を担います。この部位で出血が起こると、頭痛や片麻痺、顔面神経麻痺に加えて意識障害も現れます。
■皮質下出血
皮質下出血は大脳皮質の下で起こる脳出血で、頭頂葉や前頭葉、側頭葉などさまざまな部位で起こります。症状としてはいずれの場合も、頭痛や片麻痺、また五感に異常が見られる「感覚障害」などが挙げられます。そのほかにも、片目あるいは両目の視野の半分が欠けてしまう「半盲」の症状も現れます。
■小脳出血
小脳出血は小脳における血管が破れて出血する脳出血をいいます。小脳は脳幹の背後に位置しており、ここで出血が起こると、頭痛や嘔吐などが症状として現れます。また、小脳は運動機能をつかさどっているため、「運動失調」が起こることもあり、うまく立てない、うまく歩けないといった運動機能の異常が見られます。
■橋出血
橋出血は、脳幹の一部である橋の血管が破れて起こる脳出血をいいます。橋には顔の筋肉や眼球を動かしたり、呼吸を調整したりする働きがあります。そのため橋で出血が起こると、頭痛や片麻痺、意識障害などが症状として現れます。また、手足が動かなくなる四肢の麻痺、眼球の向きが左右でバラバラになるなどの異常を起こす「外転神経麻痺」が見られることもあります。
脳出血を起こす原因
脳出血を起こす原因として最も多いのは高血圧です。長い間、慢性高血圧をそのままにしておくと、脳内の細い動脈が徐々に弱っていき、最終的に血管が破れて血液が脳内に流れ出し、脳出血を引き起こします。また高齢者に限ると、脳アミロイド血管症と呼ばれる血管の疾患も脳出血を引き起こす原因となります。これはアミロイドというタンパク質が脳内に蓄積されることで発症し、脳出血を繰り返し起こす原因になります。そのほかにも、動脈瘤などの血管の異常、脳腫瘍、肝臓疾患などが原因となることもあります。
脳出血の治療法
脳出血を起こした場合の治療法として、薬物療法と外科手術があります。選択される治療法は出血量や症状の程度、治療中の容態の変化などによって異なります。高血圧によって引き起こされた脳出血であれば、まず早急に血圧を下げることが重要になります。出血量が少なく症状が軽度の場合は、点滴によって降圧剤を投与していきます。血圧を下げるこことで脳内にできる血の塊の肥大化を防いだり、血管から再出血する状態を防ぐ作用があります。また状況によっては、さらに脳のむくみをとる薬を用いる場合もあります。一方で出血の量が多く症状が重かったり、病状の進行が考えられる場合は、血の塊を取り除いたり、脳の中にたまった水を外に出して脳の圧迫を減らしたりする外科手術がおこなわれます。ただし、手術によって脳にダメージを与えることもあるため、一般的には、脳にできた血の塊が大きい場合に選択されることが多いです。
脳出血の予防法
先ほどもお伝えしましたが、脳出血の最大の原因は高血圧です。つまり、高血圧を防ぐことによって、脳出血を予防することが出来ます。日常生活では塩分を控え、血圧が正常値内に収まるように注意することが大切です。また、健康診断を定期的に受けるなど自分の血圧を把握し、もし高血圧であれば、薬を服用して血圧をコントロールするようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。このように、脳出血は血管が破れる位置によって様々な症状を引き起こし、人々の生命を脅かします。ですが、脳出血は高血圧を防ぐことで十分に予防ができる病気です。皆さんも是非、健康診断をうけたり、食生活を見直すなど、血圧のコントロールに努めてみてください!