くも膜下出血とは!? ~原因・症状・予防法などを徹底解説~

皆さんは脳血管疾患の一つである「くも膜下出血」について、ご存じですか?人気歌手の星野源さんなども発症したことがあることから、病名としては聞いたことがあるという方も多いと思います。しかし、実際どのような病気で、どのような症状を伴うのか等、詳しく理解できている方は少ないのではないでしょうか。今回はそんなくも膜下出血について、どんな病気であるか、また原因や症状、予防法まで詳しく解説していきたいと思います!
くも膜下出血とは
脳は1番外側の硬膜、真ん中のくも膜、内側の軟膜という3層の脳膜に覆われてできています。くも膜と軟膜の隙間には、脳に豊富な酸素と栄養素を送る太い動脈がたくさん通っており、この部分の動脈が破れて出血した状態をくも膜下出血といいます。くも膜下出血は脳動脈瘤というこぶの破裂によって発症することが最も多く、その他にも脳動静脈奇形の破裂や頭部外傷などがきっかけとなって発症することもあります。また、くも膜下出血は命の危険につながりやすい発作であり、再出血を起こしやすいため、脳に深刻なダメージを残してしまうケースが多くなっています。
くも膜下出血の原因
先ほどもお伝えしましたが、くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂によって発症することが最も多く、その割合は全体の8割以上に上ります。これは脳の中の動脈にこぶのようなものができ、それが破裂して出血した状態で、突然強い頭痛に襲われます。脳動脈瘤は血管の分岐点にできやすく、大きさは数ミリのものから大きなものは数センチにも及びます。脳動脈瘤ができる原因としては、高血圧や動脈硬化、加齢が一因として考えられており、また、詳しい解明には至っていないものの、先天的な要素も関係していると言われています。さらに、喫煙や多量の飲酒、ストレスなどもリスクを上げる原因とされており、特に喫煙による発症のリスクは非喫煙者に比べて2倍から3倍に跳ね上がるといわれています。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血は突然強い頭痛が症状として現れることがほとんどで、具体的には以下のような痛みが生じます。
・突然強い頭痛が起こり、時間が経ってもよくならない
・経験したことがないような激烈な頭痛
・頭を金属バットで殴られたような痛み
・どんどん強くなる頭痛
また、くも膜下出血の前兆症状として以下のような症状があります。
・血圧が激しく上昇・下降する
・それほど強くない頭痛が生じる
・視力低下やめまい、吐き気、嘔吐、意識低下など
前兆症状はしばらくすると消え、その後くも膜下出血を起こします。
ですので、前兆症状があったら、治まったからといって放置せず、出来るだけ早く病院を受診しましょう。
くも膜下出血を発症した場合の治療法
くも膜下出血を発症したら、まずは生命維持のために血圧のコントロールや呼吸管理などの集中治療がおこなわれます。また、破裂した部分を放置しておくと再出血する可能性が非常に高いため、予防するための処置が必要となります。
脳動脈瘤の破裂によってくも膜下出血を起こした場合は、全身麻酔で頭部を開き、破裂した動脈瘤の付け根をクリップで閉めて血液が流れないようにする「クリッピング術」をおこないます。もしくは、太ももの付け根の血管から動脈瘤までカテーテルを入れてコイルを通すことにより、こぶを内側から詰める「コイル塞栓術」をおこないます。一方で、脳動静脈奇形の場合は、開頭で奇形を取り出す方法や、放射線治療などによって治療がおこなわれます。
どの治療法を選択するかは動脈瘤・奇形の大きさ、場所、年齢などによって異なります。なお、病院へ運ばれた時点で全身状態がかなり悪い場合は、手術の適応は不可能となります。また、外傷性の出血については、軽症の場合は手術などの必要はなく、症状に応じた対処療法が行われます。
くも膜下出血の予防法
くも膜下出血は、日々の予防対策が非常に重要です。
以下のことに気を付け、くも膜下出血の発症を防ぎましょう!
■血圧のコントロールをする
高血圧の人は日ごろから血圧に注意し、特に大きな変化があった場合はすぐに病院を受診しましょう。
■食生活に気をつける
塩蔵品や漬物、味噌汁などをとりすぎないようにし、外食は控えるようにしましょう。また、野菜に含まれるカリウムは塩分の排出を促すので、野菜は多めに摂取することをおすすめします。さらに、アルコールの飲みすぎはくも膜下出血の発症リスクを高くするため、控えめにしましょう。
■禁煙を心掛ける
タバコも、くも膜下出血の発症リスクを高める原因になりますので、できるだけ吸わないようにしましょう。禁煙することで、くも膜下出血のリスクは低下し、やがて非喫煙者と同じレベルになります。禁煙による予防効果は明確なので、高血圧の人や家族の中に脳卒中の経験がある人がいる場合は特に禁煙を心がけましょう。
■前兆症状を見逃さない
血圧の乱高下や突然の頭痛、めまい、吐き気などの前兆があったら、すぐに病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。このように、くも膜下出血は脳に深刻なダメージを残してしまう非常に危険な病気です。しかし、日々の予防対策を心がけることで、発症リスクを抑えることが出来ます。皆さんも今回紹介した予防対策を是非実施し、くも膜下出血にならないよう予防しましょう!