解約返戻金とは?いつ戻ってくるのか?

保険の内容をしっかりと吟味して加入したとしても、生活環境の変化に伴って保険を考え直す必要が生じる場合もあります。家族が増えてもっと大きな保障が必要になるなど、理由はさまざまでしょう。そのような場合に保険を1度解約する可能性があるかもしれません。保険を契約期間の途中で解約したときに支払われるのが「解約払戻金」です。
解約払戻金には3つの型があり、自身の保険の解約払戻金がどの型に当てはまるのかはしっかり確認しなければなりません。
解約払戻金がどれくらい戻ってくるのか?いつ戻ってくるのか?などについて解説します。
解約返戻金の特徴
解約返戻金とは、生命保険を解約した際に戻ってくるお金のことです。生命保険会社は契約者が支払った保険料の中から所定の割合を責任準備金(積立金)として積み立てています。その積立金の一部が、保険を途中で解約した場合に解約返戻金として戻ってきます。そのため、一般的に解約返戻金は、払い込んだ保険料の総額を下回ることになります。また、生命保険の種類や契約内容によっては解約返戻金がない商品もあります。
1.解約払戻金の有無
【解約返戻金がある】
解約返戻金がある主な商品の一つに終身保険があります。
終身保険は、一生涯の死亡保障に備え、払い込んだ保険料の一部を長期に積み立てていきます。そのため、払い込むほどに少しずつ積み立てられる金額が増加するので、保険料を払い込む期間が終了した後は、一般的に解約返戻金額が保険料の払い込んだ総額を上回ることが多いです。
また、契約プランによっては、保険料払込期間中の解約返戻金額の水準を標準的なプランよりも低くすることで、保険料を安く抑える商品もあります。この場合、保険料払込期間が終了すると、それ以降の解約返戻金は、標準プランの解約返戻金額と同じ水準になるのが特徴です。
なお、解約返戻金は期間の経過とともに増えてきますが、保険料払込期間中に解約した場合は保険料払込総額を下回ることがほとんどです。
【解約返戻金がない、またはあってもごくわずかとなる商品】
主なものに定期保険があります。
定期保険は、保険期間が一定期間です。そのため保険期間が終了するまで、被保険者が生きていた場合には、保険金の支払いはなく、一方で保険期間中に死亡した場合にのみ保険金が支払われる保険なので、多くの積立金は必要としません。
そのため、契約時の年齢や保険期間、解約する時期によっても異なりますが、多くの場合、解約返戻金はなし、またはあってもごくわずかとなります。
この商品の特徴としては、終身保険と同じ保険金額とした場合に、それぞれの保険料を比較すると、終身保険よりも、より安い保険料になります。
2.支払った保険料の満額が戻るわけではありません
貯蓄性のある保険も「保障部分」と「貯蓄部分」がありますが、この貯蓄部分が原則として、解約払戻金となります。ただし、貯蓄部分であっても運用経費などが引かれるため、全額が戻るわけではありません。
3.保険料払込期間中の解約払戻金は少なくなります
貯蓄部分は保険会社によって運用されるため、その運用期間が長いほど、一般的には解約払戻金も多いということになります。また、貯蓄性のある保険の場合、支払った保険料を下回らない(元本割れしない)のは、払込期間が満了後のケースが多いため、途中解約をできるだけしないことが重要です。
|解約払戻金の3つの型
ひとくちに「解約返戻金」といっても、大きく分けて以下の3種類があります。
▸ 従来型
▸ 低解約返戻金型
▸ 無解約返戻金型
それぞれについて見ていきましょう。
【従来型】
従来型の解約返戻金は、一般的な終身保険や養老保険に設定されているタイプです。
従来型の特徴としては、保険料の支払い額に応じて解約返戻金が増えていきます。
また、満期があるタイプなら満期に近づくほどに返戻率が高くなり、終身保険では保険料払込期間満了後に加入し続けることで返戻率が高まるのも特徴です。
3種類の中で、もっとも返戻率が高くなっており、保険料払込期間内に解約したとしても一定の返戻金を受け取ることができます。
払戻率は保険商品によって異なるため、契約前に確認しましょう。
【低解約払戻金(返戻金)型】
低解約返戻金型は、加入してから一定期間の返戻率が低く設定されているタイプです。
低く設定されている期間の返戻率に関しては、一般的に従来型の約70%程度に抑えられています。
とはいえ、いつまでも低いというわけではありません。
「保険料払込期間中」の解約返戻金が低く設定されている一方、払込期間を過ぎれば従来型と同じ水準まで戻るのが特徴です。
払込期間満了後に返戻率が100%に近づく、あるいは100%を超える商品もあるため、資産形成目的としては従来型に負けず有効です。
また、従来型よりも払込期間中の返戻率が低いことで、払い込む保険料が従来型の解約返戻金を設定した保険よりも安くなるメリットもあります。
そのため、最近では、学資保険の代わりとして加入する方も多くなっているようです。
【無解約払戻金(返戻金)型】
文字通り、解約返戻金が設定されないタイプです。
定期保険や収入保障保険などの、いわゆる「掛け捨て」がこのタイプにあたります。
無解約返戻金でも解約返戻金を受け取れるケースはゼロではありませんが、受け取れる金額はごくわずかです。
一方で「保険料が割安」というメリットもあります。
解約返戻金を受け取らないことで、保障に関してのみ保険料を支払うためです。
仮に終身保険と定期保険で保障内容が同等であった場合は、定期保険の方が保険料は割安になります。
|解約返戻金に税金はかかるの?
支払った保険料の総額より解約払戻金が多かった場合、その差額に対して税金がかかります。解約払戻金を一時金として受け取った場合には、「一時所得」(営利目的でない所得)として所得税の対象となります。そのうち50万円は控除され、その残りの額の半分に対して所得税率をかけた金額が支払う税金の金額です。解約払戻金と支払った保険料との差が50万円を超えない場合には、所得税は発生しません。
{(解約払戻金-保険料総額)-50万円}÷2
※他にも一時所得がある場合には、すべての一時所得を合算した後に計算します。
※解約払戻金を年金として受け取った場合には「雑所得」として所得税の対象となります。
まとめ
今回は、生命保険を解約する際に受け取れる解約返戻金の概要について解説しました。
保険を選ぶ際、解約払戻金について確認するのは非常に重要なことです。しかし、「解約払戻金があるかないか・多いか少ないか」で保険を選ぶことは、保険の目的を見失うことにもなりかねません。解約払戻金をなくすことにより、少ない保険料でより充実した保障のある保険も非常にたくさんあります。
また、保険に加入して短期間で解約をした場合、多くの払戻金を受け取れる可能性は非常に少なく、損をしないためには解約をしない前提で保険を選ぶことが重要です。自分の将来を見据え、さまざまなパターンに対応できる保険を選ぶことや、解約はせずに部分的な保障の見直しを行うことなども考えてみましょう。
今回ご紹介した内容を参考に、ご自身のライフプランに合う保険商品を選んでいきましょう。