全国共済お役立ちコラム

返戻金に税金はかかるの?

2022-3-6

生命保険の解約返戻金を受け取ったときに税金はかかるの?
かかるとしたら税額はどれくらい? 確定申告は必要?
解約返戻金を受け取るときになって、そんな疑問が浮かんできて困っていませんか?
生命保険の解約返戻金は、支払った保険料に対して利益がでれば所得税の対象になりますし、確定申告が必要になるケースもあります。
どんなときに税金がかかるのか、申告は必要なのかということを理解していないと、
申告漏れになってしまい税務署から指摘されてしまう可能性もあります。

解約返戻金と税金について

解約返戻金を受け取ると、税金が発生する可能性があります。
課税対象となる金額の計算方法は、
(解約返戻金-払込保険料合計額-50万円)×1/2となります。
解約返戻金が支払った保険料よりも少ない場合や、解約返戻金が50万円を超えない場合については、税金は発生しません。
では返戻金にかかる税金について、もう少し詳しく見ていきましょう。

■利益がでれば所得税の対象となる
生命保険を解約したときの解約返戻金は、保険契約者が受け取ります。また、保険契約者は保険料を支払ってきた保険料負担者でもあります。したがって、もし保険契約者が受け取った解約返戻金額が、それまでに支払った保険料の総額よりも多い場合には保険で利益を得たことになり、その差益が一時所得として所得税の課税対象となります。
逆にいうと、解約返戻金が支払った保険料の総額を下回っている場合は課税されることはありません。

ちなみに解約返戻金で利益がでるのは、終身保険で保険料を全て払い込んだあとに解約した場合や長期の定期保険で積立金が多く貯まっているタイミングで解約した場合、変額保険で大きく運用益が出ている場合などなので、そういうときは特にご注意ください。

■贈与になってしまうケースもある
本来、生命保険契約では、契約者=保険料負担者=解約返戻金受取人となるのが原則です。
しかし夫が妻の保険料を負担するなど、一部で、実は保険契約者以外が保険料を負担しているというケースもあるでしょう。そのような場合は保険料を支払った人と解約返戻金を受け取った人が別人ということになりますので、税務上は実質的なお金の流れから贈与税がかかることになります。
※贈与税の対象となるケース
保険料負担者と解約返戻金受取人(保険契約者)が違う場合として以下のようなケースが考えられます。
・妻が契約している保険の保険料を夫が支払っている
・子が契約者の保険の保険料を親が支払っている
・親が契約者の保険の保険料を子が支払っている

■税金がかかるかどうかの判別法
解約返戻金に税金がかかるかどうかは以下のように判断できます。
・保険料負担者と解約返戻金受取人が同一人物である。
・支払った保険料の総額より受け取った返戻金の方が多い。
⇒所得税の対象になります。
ただし、所得税の対象となる場合でも、一時所得となる収入が特別控除額以内であれば非課税となります。また、一定の条件で確定申告が不要(実質非課税)となるケースがあります。

所得税の計算

解約返戻金が所得税の対象となる場合の一時所得の計算例と所得税の申告について説明します。
■一時所得の計算例と課税額
終身保険を解約して解約返戻金3,973,000円(支払保険料総額3,412,800円/返戻率116.4%)を受け取ったケースの一時所得を計算してみましょう。
※解約返戻金以外の一時所得はないものとします。

一時所得の金額 =
3,973,000円 - 3,412,800円 - 500,000円(特別控除)= 60,200円
一時所得には50万円の特別控除があるため、解約返戻金で得た利益が50万円以下の
場合は、一時所得は0円となり課税されないことになります。

次に、この一時所得60,200円への課税額ですが、一時所得は所得金額の1/2を他の所得と合計して総合課税されます。
したがって、この場合に実際に課税されるのは60,200円の半分の30,100円となります。

税率は、全体の所得額によって変わってきますが仮に10%だとすると、受け取った解約返戻金にかかる所得税は3,010円ということになります。また、所得税と同様に住民税も課税されます。
※ここでは復興特別所得税は考慮していません

■確定申告は必要か?
解約返戻金を受け取った場合に確定申告が必要かどうかですが、上記例のようにして一時所得を計算して、一時所得があった場合(その額が0円超の場合)は確定申告が必要となります。
ただし、本来確定申告の必要がない給与所得者の場合で、解約返戻金を含め給与以外の所得が20万円以下のときは確定申告をしなくてもよいことになっています。その場合は、結果的には税金も非課税ということになります。

法人保険の解約返戻金にかかる税金!

ここまで個人契約の保険について説明してきましたが、法人契約の場合を簡単に補足します。
法人契約の生命保険を解約して会社に解約返戻金が入ってきた場合は、解約返戻金からその生命保険契約についての資産計上額を差し引き、差額がプラスのときはその額が益金となり法人税がかかります。掛け捨ての保険で、保険料が全額損金になっていた場合は受け取った解約返戻金全額が益金となります。

まとめ

どうでしたか。生命保険の契約時に、解約返戻金についてしっかりと理解できていない方もいるかもしれません。解約のタイミングや商品の選び方次第では、期待していたほどの返戻金がなかったり、思わぬ税金が発生したりする可能性があります。
ただし、一時所得が解約返戻金のみの場合は、実際に課税されるのは支払った保険料に対して50万円超の利益があったときであり、実質的にこのようなケースはそう多くはないでしょう。
契約時にきちんと解約返戻金、受け取り時に発生する税金などについて確認・理解をしておきましょう。
毎年保険会社からは「契約内容の確認」の書類が郵送されてきますので確認してみて下さいね。