全国共済お役立ちコラム

返戻金はいくらもどってくるのでしょうか?

2020-11-1

保険会社は、将来の保険金の支払いに備えて契約者から支払われている保険料の中から一定の金額を積み立てています。保険を途中解約すると、保険会社の経費などを差し引いたり、場合によっては運用益が加味されたりした上で、契約者に解約返戻金が支払われます。通常、早期に保険を解約すると解約返戻金は払い込んだ保険料の合計金額よりも少なくなるケースが大半です。
ただし、加入期間が長くなれば解約しても払込保険料を解約返戻金が上回るタイプも、外貨建て商品や投資性の強い一部の商品において見られます。

返戻金は、支払った保険料の全額が戻ってくるわけではない!

保険会社は、将来の保険金の支払いに備えて契約者から支払われている保険料の中から一定の金額を積み立てています。
保険を途中解約すると、保険会社の経費などを差し引いたり、場合によっては運用益が加味されたりした上で、契約者に解約返戻金が支払われます。
通常、早期に保険を解約すると解約返戻金は払い込んだ保険料の合計金額よりも少なくなるケースが大半です。
ただし、加入期間が長くなれば解約しても払込保険料を解約返戻金が上回るタイプも、外貨建て商品や投資性の強い一部の商品において見られます。

返戻金の3つのパターン

返戻金には3つのタイプがあります。このタイプによって、保険料に差が出てきます。同じ保険金(死亡・高度障害・満期保険金など、保険会社から受取人に支払われるお金)で比較すると、保険料は下記の順になります。
従来型>低解約返戻金型>無解約返戻金型
それでは、それぞれの内容を確認していきましょう。

■従来型

解約返戻金がある保険の中で基本となるタイプ。満期があるタイプでは、満期に近づけば近づくほど解約返戻金の返戻率が高くなります。終身保険などでは、保険料払込期間満了後も契約の年数が長くなると返戻率が高まることがあります。
戻ってくるお金を資産形成として活用しやすいタイプではありますが、昨今のマイナス金利等の影響で戻り率が高い商品は以前に比べ、かなり少なくなっています。

❖従来型がおすすめな人
・投資に自信のない人・貯蓄が苦手な人
・掛け捨て型の保険はもったいないと思う人

■低解約返戻金型
保険料を支払っている期間の解約返戻金を、従来型の70%程度に抑えているタイプの保険です。
保険料を支払っている期間の解約返戻金は少なくなるかわりに、保険料を割安にしています。早期解約してしまうと戻ってくるお金が少なくなってしまいますが、保険料の払込期間満了後は、解約返戻金の返戻率が上がるのが一般的です。
保険商品によっては、払込期間満了後に返戻率が100%近くになる保険もあるため、従来型同様、子どもの教育費準備など、資産形成目的として活用しやすい保険と言えます。

❖低解約返戻金型が適している人
・保険料をできる限り抑えて終身保険に備えたい
・死亡保障に備えた上で貯蓄をしたい

■無解約返戻金型
いわゆる、掛け捨て保険です。解約しても解約返戻金がないタイプ。解約返戻金がないかわりに、保険料は解約返戻金があるタイプの保険と比較して割安です。

❖無解約返戻金型が適している人
・保険料を抑えて万が一に備えたい人
・収入が不安定・不十分で保険料を支払うのにあまり余裕がない人

解約返戻金はいくら受け取れるの?
解約返戻金をいくら受け取れるかは「返戻率」で決まります。

※返戻率とは、これまで支払った保険料の総額に対して、解約して戻ってくる解約返戻金の割合のことです。
返戻率の計算式→返戻率=解約返戻金額÷払込保険料×100

・返戻率が高ければ高いほど、生命保険を解約したときに受け取れる解約返戻金が多くなります。
・返戻率が100%を超えれば、支払った保険料よりも多く解約返戻金を受け取ることが可能です。
・逆に100%を下回る場合は受け取れる解約返戻金が払込保険料の総額より少なくなることを覚えておきましょう。

解約返戻金の手取り金額は増やせる?

法人の解約返戻金を緊急資金として活用するのであれば、手取り金額を可能な限り増やしたいところでしょう。解約返戻金を手取り金額は、次の方法で増やすことができます。

■損金を可能な限り計上する
解約返戻金は益金扱いのため、受取額に応じて所得額が増えます。そのため、納めるべき税額が増えて解約返戻金の手取り額が少なくなります。そこで、損金を可能な限り計上して所得金額を抑えることで、解約返戻金の手取り金額を増やすことができるのです。
例えば、1,000万円の解約返戻金を受け取る場合、事業にかかる投資を1,000万円分行うことで、解約返戻金による益金と打ち消せるため、税金の増額を防げます

■繰越欠損金を活用する
繰越欠損金とは、前年以前に蓄積された赤字を繰り越して、所得金額から控除できるものです。赤字が多い年度に解約返戻金を受け取ることで、税金の増額を抑えられます。ただし、繰越欠損金は、2018年度以降は10年前までの累積赤字のみが対象です。

まとめ

保険を解約する前に、返還金の額を確認するようにしましょう。解約返戻金がどのくらい戻ってくるのかを確認したい場合は、加入している生命保険会社に聞くのが手っ取り早いでしょう。教えてもらうためには必ず本人が問い合わせする必要がありますが、保険証券の番号を伝えればスムーズに聞き出すことができます。

解約返還金がどれくらいの金額になるかは、保険商品の設計書にある程度記載されています。すぐに解約する予定がなくても、契約している保険商品の解約返還金について、経過年数ごとの推移を把握しておくといいかもしれません。例えば、払い込んだ保険料の総額を超える解約返還金が戻ってくるタイミングを知っていれば、それに合わせて解約し、解約返還金を使って計画を立てることができます。