思わぬ落とし穴!?高額療養費制度の対象外となる費用とは?

入院や通院・手術を受けることになると、医療費にかかるお金が増えてしまいます。貯蓄などで充分な備えがない場合、家計にとって大きなダメージに。医療面における家計へのリスクをサポートしてくれるのが高額療養費制度。一定の金額を超えた医療費が払い戻される制度ですが、対象外となる費用もあるため注意が必要です。今回は、高額療養費制度を利用するうえで注意しておきたい対象外の費用について考えてみましょう。
高額療養費制度の対象にならない費用とは?
保険が適用される診療に対し、支払った医療費の自己負担額が払い戻しの対象となる高額療養費制度。制度を利用することによって、入院や通院・手術にかかる費用のすべてをカバーできるものと安心するのは要注意です。
では、どういった費用が対象外となるのでしょうか? 高額療養費制度の対象外となる主な費用については、事前に確認しておきましょう。
・入院中の食事代
入院中の食事代は全額自己負担。入院時などの家計への影響をカバーしてくれる高額療養費制度ですが、食事代は他の医療費とは異なり定額自己負担となります。
入院時の食事代は年齢や所得により定められています。一般的な所得を得ている人が入院した場合の食事代は、1食あたり260円です。
・差額ベッド代
差額ベッド代とは、希望して個室などに入院した場合、基本的に1~4人部屋に入室した際にかかる費用。正式には「特別療養環境室料」と呼ばれています。差額ベッド代も高額療養費制度では対象外となり、全額自己負担となります。
・先進医療費
先進医療は、公的健康保険の対象にするかどうか評価する段階にある治療法・手術法などを指します。特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療法や手術法などは、実績を積んである程度確立されてくると、厚生労働省によって先進医療と認定されます。
先進医療費の一部は合算が可能ではあるものの、基本的には自己負担となります。たとえ先進医療を受ける場合であっても、それに伴う診察・検査・投薬・注射・入院料など、一般的な治療と共有する部分については保険医療が適用されるため、その部分の費用においてのみ高額療養費制度の対象となります。
・その他の対象外となる費用
これら対象外となる代表的な費用に加え、自由診療費や病院への交通費なども対象外となります。また、一部、合算が可能ではあるものの、外来受診時の医療費についても対象外となるため注意が必要です。
家族の医療費でも合算できない場合がある
高額療養費制度では、同じ世帯の複数の人が同月(月のはじめから終わりまで)に受診した医療費は合算できる仕組みになっています。しかし、あくまで同じ公的医療保険に加入している場合に限ります。たとえ同じ家族であったとしても、加入している公的医療保険制度が異なる場合は、医療費合算の対象外となるため注意が必要です。
入院がふた月にまたがった場合にも注意が必要
すべての入院が同月内で収まるわけではありません。治療が長引けば、月をまたいで入院しなければならないケースも考えられます。高額療養費制度では、月をまたぐ入院時の限度額の考え方について注意が必要です。
例えば、20日間の入院が必要となり、15万円の医療費がかかった場合を考えてみましょう。同月内に収まる入院であれば、高額療養費制度の対象になるため、医療費の払い戻しを受けることができます。
しかし、入院が月をまたいでしまうと注意が必要。仮に1ヶ月目の医療費が75,000円、2ヶ月目の医療費が75,000円とすると、それぞれ別の月の医療費と見なされてしまうため合算ができません。そうなると、高額療養費制度の対象となる限度額を上回っていないため、払い戻される金額はゼロになってしまいます。
ある程度の期間にわたる入院ともなると、当然のように高額療養費制度から払い戻しを受けられるものと安心したくもなりますが、そこには思わぬ落とし穴が。そうならないためにも、高額療養費制度については条件などについても細かく理解しておくことをおすすめします。
経済的リスクの影響を考えて保険を検討する
入院や通院・手術が必要になった場合、医療費の負担をカバーしてくれる高額療養費制度。しかし実際は、制度の対象外となる費用以外にも、家計への影響が考えられます。家族が病院に通うためにかかる交通費や、家計を支える大黒柱が入院したときに発生する収入面でのリスク。他にも、入院した家族に付き添う時間が増えるため、家事の時間が満足に取れず、外食する機会が増えた場合の出費など。もちろん、そういった費用は高額療養費制度ではカバーできません。
そう考えると、医療面での経済的リスクに備え、医療保険への加入を検討したいところ。家族のライフスタイルと、もしもの病気のリスクを考慮したうえで、安心につながる保険の備えについても考えておきたいところですね。