全国共済お役立ちコラム

知らないと損!高額医療費制度とは?

2020-12-1

生涯のうちに、幸いにも大きな病気に罹る事や大きなケガを負う事なく過ごす事ができれば、それに越した事はありませんね。しかし残念ながら、日本の様々な病気の罹患率や事故などによるケガの割合を見てみると、一生のうちに自分自身に降りかかる可能性はゼロではありません。
そして万が一そうなってしまった場合、心配になる事の1つとして、医療費の問題が挙げられるでしょう。
今回は、高額の医療費がかかった際に役に立つ制度の1つである、「高額医療費制度」について、一緒に見ていきましょう。

そもそも生涯で大きな医療費がかかるリスクってある?

大きな病気や大きなケガをすると誰でも医療費が膨らむ可能性はでてきますが、今回は病気に焦点を当ててみていきましょう。

日本の三大疾病として、ガン・心疾患(心筋梗塞など)・脳血管疾患(脳卒中)があげられますが、実はこの3つの病気のみで日本の死因のおおよそ52%を占めています。
その中でもガンが約29%、心疾患が15%そして脳血管疾患が8%となっており、1位であるガンだけを見てみても、日本の死因の4分の1以上も占めている事がわかります。

そんな恐ろしいガンですが、日本が「ガン大国」と呼ばれるだけあって、かかるリスクは実はそこまで低くありません。

ガンは、胃・大腸・肝臓・肺・乳房など、体の様々な部位に出来得る病気ですが、生涯ガンに罹患する確率を部位別に見てみると、

・胃ガン⇒男性:約10.5%、女性:約5.0%
・大腸ガン⇒男性:約10.0%、女性:約8.0%
・肝臓ガン⇒男性:約3.0%、女性:約1.5%
・肺ガン⇒男性:約10.0%、女性:約5.0%
・乳ガン⇒女性:約10.5%

となり、上記の中でリスクが低めに出ている肝臓ガンを見ても約30人~65人に1人、その他の部位では約9人~20人に1人という割合になります。
更に全ての部位をまとめ体全体で見た場合、生涯でガンに罹患するリスクは男性において65.5%、女性では50.2%となり、2人に1人は罹患するという計算となるのです。

大きな病気である為「自分に限って…」と他人事になりがちですが、実はかなり身近な病気だという事がお分かり頂けたかと思います。

◎そんなガンの治療費は?
ガンの治療方法は様々ですし最新医療技術は日々進歩しておりますので、一概にこのくらいかかると断言する事はできません。ですので、以下はあくまで統計になりますが、おおよその合計治療費は以下のようになります(一部ガンのみ)。

・胃ガン:¥643,765
・大腸ガン:¥636,557
・肝臓ガン:¥627,624
・肺ガン:¥703,280
・乳ガン:¥605,588

もちろん、ガンの部位や治療方法にもよりますが、全体でかかる治療費は約60万~70万円となることが一般的になります

ここでは一例としてガンのみに焦点を当てましたが、それだけを見ても生涯における高額医療費の支払いは誰にでも起こり得るという事が理解できたかと思います。
実際に高額の医療費が請求された際に慌てて損をしないよう、次からは利用できる制度について一緒に見ていきましょう。

自己負担金が軽減する公的制度

万が一の際に負担する治療費を軽減する方法として、保険などの選択ももちろんありますが、まずはこちらの公的制度をしっかりと理解し利用していきましょう。

◎医療保険制度
こちらは、既に皆さんが利用している制度になりますので、よくご存じの方が多いでしょう。
日本人なら誰しもいずれかに加入する事が決められているこの医療保険制度。しかし、この「いずれか」とはどういう事なのかわかりますでしょうか?

実は、一概に医療保険制度と言っても職業や雇用形態などに応じて種類が違うのです。医療保険には大きく分けて、

・被用者保険(健康保険):主に、会社員等が加入する
・地域保険(国民健康保険):農林漁業・自営業・非正規雇用者・フリーランス・無職等の人が加入する
・後期高齢者医療制度:75歳以上の人全てが対象

の、3種類があります。

【自己負担金について】
では、国民によって自己負担金の違いはあるのでしょうか。
国民が医療機関にかかった際の自己負担金は、原則として1~3割負担になっております。この自己負担金割合は一般的に、以下のような年齢による違いがあります。

・小学校入学まで:2割負担
・小学校入学後から69歳:3割負担
・70歳から74歳:2割負担(※)
・75歳以上:1割負担(※)

70歳を超えていても、現役と同様の所得がある方は3割負担となります

このように、医療保険制度がある事で私たち国民は安心して医療サービスを受ける事ができるのです。

◎高額医療費制度
こちらが今回の本題である、必ず理解しておきたい制度になります。
私たちが病院などの医療機関にかかった際でも、医療保険制度のおかげで自己負担金が1~3割程度に減額される為、安心して医療サービスを受けられると先ほど述べましたね。
しかし、万が一の大きな病気やケガなどで医療費が大きく膨らんでしまい、3割負担でも高額の支払いになってしまうケースもあります。

そんな時に利用して頂きたい制度が、「高額医療費制度」になります。

高額医療費制度とは、ひと月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、その超過した分が払い戻される制度になります。この“自己負担限度額”とは個人の年齢や所得により異なりますが、どんなに医療費が高くなってしまっても最終的に負担する医療費は、「自己負担限度額まで」という事になりますので、万が一の際の大変心強い制度となっています。

さて、ではこの高額医療費制度を利用した場合、肝心の自己負担額はどのくらいになるのでしょうか?次回のコラムでは、自己負担金に焦点を当てて、具体例も挙げながら解説していきたいと思います!