全国共済お役立ちコラム

高額医療費制度はがんにも適用される?

2020-12-5

2人に1人が罹患すると言われ、日本人の死因第一位である「がん」。長期的ながんの治療は経済的な負担や精神的負担が大きくなるため、心配になると思います。そこで少しでも金銭的な負担を軽くするにはどうすればよいのでしょうか。
高額医療費制度はがんの治療にも利用することができるのをご存知でしたか?
今回のコラムでは、高額医療費制度をどのようにがん治療に活用すれば良いのかをご紹介します。
もしも自分や家族がなってしまった場合に備えて、
一緒に見ていきましょう!

そもそもがん治療にかかる費用はどのくらい?

がんの治療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。診察・検査代、治療費、薬代、入院費用など。特にがんの治療法は多岐にわたるため、治療法によって大きく費用が異なります。主に日本で行われているのが手術・放射線治療・抗がん剤治療の3つで、「がんの三大療法」と言われています。

◎手術:がんとその周りの一部を切除する治療法です。がんが小さい場合や、早期発見の場合に最も効果的です。費用は切除する部位や手術方法によって差があります。
例)胃がんの手術で、切除部分が少なく内視鏡を使った場合では30万円前後、胃の一部など切除部分が大きい場合では130万円前後かかることもあります。

◎抗がん剤治療:手術後の再発予防や、手術だけでがんを全て切除できない場合に使います。点滴・注射と薬を服用する2パターンあり、薬が身体全体にいきわたりますが、正常な細胞にも作用して副作用が出てしまうこともあります。また人によっては効果に差があるため、長期的かつ高額になりやすいです。
例)抗がん剤治療では、1回の治療につき6週間で100万円程度かかることもあります。

◎放射線治療:がんになった部分を狙って放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療法です。体に傷をつけずに行えますが、正常な細胞にも放射線が当たるため、副作用が起きることもあります。
例)早期の乳がんなど、がんが小さい場合に60万程度かかります。

上記以外にも自由診療や先進医療がありますが、保険適用外のため非常に高額です
例)免疫療法(自由診療) 100万~170万程度
例)陽子線治療(先進医療) 270万程度

高額医療費制度とは

高額医療費制度とは公的医療保険の保障の1つで、医療費が高額になった場合に支払いの負担を軽くする制度です。1ヶ月の医療費の自己負担限度額(収入や年齢に応じて決まる)を超えた場合、あらかじめ限度額適用認定証を提出していると超えた金額は支払わなくて済みます。もし提出していなくても後から超過額が払い戻されます。この制度は保険診療の場合に適用されます。

どのくらい負担が減るの?

実際にどのくらい負担が軽くなるのでしょうか。

◎69歳以下で一般所得(年収約370万~約770万円)の人が、がんで手術・入院して100万円かかったとします。[8万1000+(100万-26万7000)×1%]で限度額は8万7430円になります。元の医療費100万円の約1割以下でおさまります。

◎70歳以上で一般所得(年収約156万~約370万円)の人なら、外来診療のみであれば1万8000円、外来と入院診療合わせた場合では自己負担限度額は5万7600円になります

高額医療費制度でさらに負担を軽減する

全ての人に当てはまるわけではありませんが、条件によってはさらに負担を軽くできる高額医療費制度の特例をお伝えします。

◎多数回該当
多数回該当は、1年以内に3回以上高額療養費制度を利用している人の自己負担限度額が4回目以降さらに引き下げられる特例です。1年の間に何度か高額療養費制度を利用した場合、この特例が適用されるか確認してみると良いでしょう。

◎世帯合算
世帯合算は、医療機関での自己負担額が高額療養費制度を適用される基準額にいかなかったとしても、同じ世帯や複数の医療機関で負担した医療費を合算して基準額を超えていた場合に、その超過分が払い戻されるという特例です。ただし、合算できるのは同じ健康保険に加入している方だけになります。
自分自身の医療費では高額療養費制度の基準額に満たなかった方も、同じ世帯に医療費を負担している家族はいないか、他の医療機関で負担している医療費はないかを確認することをおすすめします。もしかしたら、世帯合算の特例で高額療養費制度による払い戻しを受けられるかもしれません。

まとめ

がんになった場合、高額な治療費をどう工面するか悩ましいことだとは思いますが、今回のコラムで取り上げたように、手厚い保険制度を活用して少しでも負担を減らしていきましょう。
次回のコラムでは入院時の高額医療費制度についてご紹介します。