全国共済お役立ちコラム

高額医療費制度の対象外となる場合は?

2020-12-7

これまでのコラムでは高額医療費制度を利用できる場合についてご紹介してきました。しかし、全ての費用をまかなえるわけではないようです。
高額医療費制度を使っても負担が軽くならない場合があるので、注意しなければなりません。
では、一体どんな時に適用外になってしまうのでしょうか。今回は高額医療費制度の対象外となる場合についてご紹介します。
高額医療費制度が使えると思っていたら実は使えず、急に高額な医療費を自己負担することになって困ることがないように、一緒に見ていきましょう!

公的保険適用外の医療費

公的保険適用外となる入院中の食費、入院中の生活費、差額ベッド代、先進医療の技術料、自由診療費、病院への交通費などは高額医療費制度の対象外となります。その中でも特に高額になりやすいのが、先進医療の技術料と差額ベッド代です。

◎入院中の食事代
入院中の食事代は年齢や所得に応じて決まっていて、一般的な人は一食460円となり、医療費とは別に全額自己負担になります。特別食を希望した人はさらに追加料金がかかります。

◎入院中の生活費
日用品や着替え、時間をつぶすための有料テレビ代や雑誌代などがあげられます。治療とは関係なく個人的にかかる費用なので、公的保険の対象外となります。

◎差額ベッド代
入院した際は基本的に複数の患者と共に大部屋で滞在するのですが、個室や少人数部屋(1~4人部屋)に変更すると追加で費用がかかります。これを一般的に差額ベッド代、正式には特別療養環境室料といいます。
差額ベッド代の基準は①一病室4床以下、②面積が1人あたり6.4㎡以上、③ベッドごとにプライバシーを確保する設備、④個人用の私物収納設備・照明・小机・椅子の設置、の4つです。では、差額ベッド代はどのくらいかかるのでしょうか。

【1日当たりの差額ベッド代(平均)】
1人部屋→7,828円、2人部屋→3,108円、3人部屋→2,863円、4人部屋→2,414円

例えば、首都圏の病院の4人部屋(冷蔵庫、シャワー、ウォシュレット、洗面台、ロッカー、液晶テレビ付き)→1日5400円、1人部屋(冷蔵庫、シャワー、ウォシュレット、洗面台、ロッカー、プッシュホン電話、液晶テレビ付き)→1日21,600円

地域や病院ごとに変動はありますが、入院日数が長くなればなるほど費用がかさんで負担が大きくなります。

◎先進医療の技術料
先進医療とは厚生労働大臣から承認を受けた、高度な医療技術を用いた治療のことです。先進医療でも入院料・診察・検査・注射・投薬などの一般治療と共通している部分は保険が適用されます。技術料に関しては全額自己負担になります。先進医療と言っても多岐にわたり、88種類(2020年4月時点)あります。
特に実施件数が多い陽子線治療は平均約270万円、重粒子線治療は平均約309万円かかります。

◎自由診療費
自由診療は自分の病気に合った治療や、日本では承認されていないが海外では承認済みといった治療を受けられますが、公的保険の適用外なので全額自己負担になります。例えば、遺伝子治療やレーシック手術、不妊治療などです。

医療費が合算できない場合

◎同じ月であっても合算できない場合
同じ月に複数の医療機関を利用すると医療費の合算が可能なのですが、各医療機関での自己負担金額が21,000円以上でなければなりません。つまり、ひと月の間に多数の医療機関を利用して医療費が高額になってしまったとしても、自己負担金額が21,000円に満たなければ合算ができないため、高額医療費制度の対象外となってしまいます。

◎月をまたいでしまった場合
高額医療費は月単位で計算されるので、月をまたいで入院や治療した場合は自己負担金額の合算はできません。例えば、ふた月にわたって入院や治療をして医療費が高額になってしまっても、それぞれの月で自己負担限度額に達していない場合は高額医療費制度の対象外となってしまいます。

◎世帯合算できない場合
世帯合算とは、個人の自己負担額が高額医療費制度適用の自己負担限度額に達していなかったとしても、同じ世帯で負担した医療費を合算して限度額を超えていた場合に超過分が払い戻されることです。しかし、同じ健康保険に加入していることが条件となります。例えば、母親は国民健康保険で父親と子どもは健康保険の場合、母親は父親・子どもと健康保険が異なるので合算することができません。なおかつ各医療機関での自己負担金額が21,000円以上の場合にのみ合算できます。つまり、医療機関での自己負担金額が21,000円以上かつ同じ健康保険に加入していなければ、同じ世帯でも合算することは出来ないため、高額医療費制度の対象外となります。

まとめ

高額医療費制度があるからある程度は安心と思っていても、対象外となってしまうことも多いようです。そういう時に必要なのが医療保険になります。次回のコラムでは高額医療費制度と医療保険についてご紹介します。