全国共済お役立ちコラム

30代、病気のリスクは?:男性編

2021-2-2

前回のコラムで“30代は20代とは少し違う変化の年”と述べましたが、その「変化」の1つに、体の変化があります。
もちろん、30代に入ってなんとなく「もう20代と同じ生活(食生活)は出来ない」「体力がなくなった」と感じる機会は増えてくるかと思います。
しかし、体力の問題ではなく、「病気」については意識した事がありますか?
30代で病気はまだ早い。これは本当でしょうか?
今回は30代男性の病気のリスクについて見ていきましょう。

30代の保険加入率

30代は20代と同じように「変化の年」にはなりますが、20代は「就職」「親もとを離れての自立」など“個人の変化”が多い事に比べ、30代では結婚・出産による環境が変わる人が多く、「自分の為」から「家族の為」と、生活内での考え方も変わる為、20代とは少し違った「変化」の年になる方が多いかと思います。

つまり、20代から30代への変化は、将来の事を具体的に考えるきっかけになりやすくなります。
それは任意加入である民間生命保険加入率でもよく現れており、20代と30代の保険加入率は以下のようになっています。

【20代:保険加入率】
◆男性:58.5%
◆女性:59.9%

【30代:保険加入率】
男性:82.4%
女性:82.8%

20代では半数程度であるのに対し、30代では8割以上と、ほとんどの人が加入している事がわかります。
生命保険は、万が一自分が病気にかかった際の収入減や医療費をカバーする経済的サポートや、家計を支えている人が死亡した際の遺された家族の金銭的サポートを目的とする為、それだけ30代の人が「もしも」の場合について考えている事がわかりますね

では、30代が考えるべき“もしもの場合”とは、一体どのような事があげられるのでしょうか。今回は男性の場合について見ていきます。

死因から見る、かかりやすい病:男性編

では、具体的にふりかかる可能性のあるリスクを考えていく為に、まずは30代男性に多い死因を見ていきます。

厚生労働省の平成29年「死因順位別死亡数・死亡率,性・年齢別」の30代男性のデータを見てみると、以下のようになっています。

【30~34歳:死因】
1位:自殺(943人)
2位:悪性新生物(ガン)(257人)
3位:不慮の事故(203人)
4位:心疾患(184人)
5位:脳血管疾患(85人)

【35~39歳:死因】
1位:自殺(1038人)
2位:悪性新生物(ガン)(469人)
3位:心疾患(331人)
4位:不慮の事故(278人)
5位:脳血管疾患(204人)

更に、20代との違いを見てみましょう。
20代男性に多い死因は以下の通りでした。

【20~24歳:死因】
1位:自殺(774人)
2位:不慮の事故(272人)
3位:悪性新生物(ガン)(113人)
4位:心疾患(67人)
5位:先天奇形等(16人)

【25~29歳:死因】
1位:自殺(754人)
2位:不慮の事故(223人)
3位:悪性新生物(ガン)(135人)
4位:心疾患(100人)
5位:脳血管疾患(31人)

20代と30代を比べてみると、共通していたことはまず、全ての年代で「自殺」が1位入っていたということです。更に病気に関して見てみると、全ての年代で「悪性新生物」、「心疾患」「脳血管疾患」と、同じ並びになっていました(20代前半では“脳血管疾患”は5位以下)。

では、異なる点は何か。それはまず、20代の時に2位にあがっていた「不慮の事故」は、30代では3~4位に下がってはいるものの、その代わりに悪性新生物が2位にランクインしているという事です。そして、更に大きな点は死亡数が全く異なるということです。

以下に20代、30代のそれぞれの死因の合計を並べてみましょう。

【死因別死亡数:20代と30代の比較】
・自殺: 20代_1,528人 → 30代_1,981人
・悪性新生物: 20代_248人 → 30代_726人
・心疾患: 20代_167人 → 30代_515人
・脳血管疾患: 20代_31(+<16)人 → 30代_289人
・不慮の事故: 20代_495人 → 30代_481人

つまり、30代は20代の

・自殺:約1.3倍
・悪性新生物:約2.9倍
・心疾患:約3倍
・脳血管疾患:約6.3~9倍

となり、「不慮の事故」のみ20代が少し上回る結果になりました。
平成29年のみの結果ですので一概には言えませんが、30代は20代に比べ、病にかかるリスクが高くなる事が読み取れます

◎精神疾患と三大疾病
では、30代男性がかかるリスクの高い病気についてみていきましょう。

◇精神疾患
精神疾患の中でも、入院や長期の治療・リハビリを要するもので「統合失調症」があげられます。実はこの統合失調症は約100人に1人弱がかかる、意外と身近な病気なのです。更に、30代男性の入院原因の第1位にあげられ、入院日数は約139日と長期にわたることが多い傾向にあります。

・異様な不安や緊張を感じる
・幸福感が全くなくなり「楽しい」と感じなくなった
・人と話したり会う事に苦痛を感じ、誰とも会わなくなった
・何に対しても意欲がわかず、部屋に閉じこもり何もできない日が続く

このように、日常生活に支障がでる程の鬱状態にも関わらず放っておくと統合失調症を発症する可能性が高くなりますので、早めに医者にかかる事をおすすめします。

◇生活習慣病が招く、三大疾病
三大疾病とは、ガン・心疾患・脳血管疾患を指しますが、先ほど見た30代男性の死因にも全てランクインしている通り、若年層でもリスクがあるという事がわかります。

【ガン】
もちろん40代・50代以降に比べればまだリスクは低いものの、30代男性がかかりやすいガンには、胃ガンや肺ガンがあげられます。
胃ガンは、喫煙者、そして偏った食生活(塩分の摂りすぎ、野菜・果物不足)で発症しやすく、肺ガンは喫煙者が発症しやすい傾向にあります。
つまり、生活習慣の偏りがガンのリスクを高めてしまうのです

【心疾患】
突然死を引き起こす心疾患は、ストレスや過労が原因になる事もあります。しかし、それよりも主な原因となるのは、高血圧や肥満、そして糖尿病などです。つまり、ガンと同様、生活習慣病がリスクを高めるのです

 

【脳血管疾患】
こちらも突然死の恐れがある病気ですが、なかでも30代などの若年層に多いのが「脳出血」です。脳出血は高血圧が原因になる事が多い為、高血圧の原因となる生活習慣の悪化(食生活の偏り、運動不足など)が、脳血管疾患のリスクを高めます

まとめ

いかがでしたでしょうか。もちろん、30代では40代や50代以降に比べて低いものの、リスクは自分次第でいくらでも作られてしまうという事を覚えておかなければなりません。30代男性はまだまだ働きざかりで、生活も偏りがちです。軽く捉えがちな「生活習慣病」ですが、その延長線上には怖い病気が待ち構えているという事は頭にいれておかなければなりません。