30代は20代よりも交通事故リスクが低い!?

20代で様々な経験を積み、その経験とより豊かな知識や価値観を生かして一段階大人になる30代。
その変化は色々な場面で感じるかと思いますが、果たして「交通事情」に関してはどうでしょうか。
毎日どこかしらで起こっている交通事故ですが、潜在的に“20代は無茶な運転をして事故を起こしがち”や、“30代ではある程度の経験や技術があるから気を付けていれば大丈夫”という考えになりがちですよね。
今回は、本当に20代と30代での交通事故に違いは見られ、30代は20代よりも事故リスクが低いのか、分析していきたいと思います。
30代に多い死因とは
今までのコラムで、死因から見る病気のリスクを考えてきましたが、「ガン」「心疾患」「脳血管疾患」などの病気に関しては20代よりも30代の方が目に見えてリスクが高くなっている事がわかりました。
では、「事故」に関してはどうでしょうか。
【平成29年の主な死因:30代】
1位:自殺(2650人)
2位:悪性新生物(ガン)(1761人)
3位:心疾患(664人)
4位:不慮の事故(609人)
5位:脳血管疾患(404人)
以上より、30代全体の死因から見た「不慮の事故」は、4位にとどまっている事がわかります。
では、20代では――?
【平成29年の主な死因:20代】
1位:自殺(2105人)
2位:不慮の事故(617人)
3位:悪性新生物(ガン)(443人)
4位:心疾患(223人)
5位:脳血管疾患(71人)
このように、20代の不慮の事故に関する死亡数は「2位」と上位にあがっています。
20代と30代の順位を比較してみると、20代では2位だったものが30代では4位に下がっている為、20代から30代への変化で不慮の事故が減少――と思ってしまいがちですが、実は死亡数を見てみると20代も30代もその違いは僅かでした。
【平成29年の人口に対する不慮の事故による死亡数の割合】
◇20代:人口12,519,000人に対し事故死亡数617人=全体の約0.0049%
◇30代:人口14,996,000人に対し事故死亡数609人=全体の約0.0042%
そもそも、不慮の事故とは?
不慮の事故とは、「急激かつ偶然な外因による事故」の事を指します。
事故発生から傷害までの時間的間隔のなく、事故の発生やそれによる傷害が予測できない状況で、事故及び事故の原因が被害を受けた人の身体の外部から作用する事を指します。
事故の例として、以下のようなものが挙げられます。
【不慮の事故の例】
◇交通事故
◇転倒・転落・墜落
◇溺死
◇窒息
◇煙や火、火災による
◇自然の力による(地震など)
◇中毒又は有害物質による
「事故」と聞くと交通事故を思い浮かべがちですが、その他様々な事故も含まれるのです。
30代に多い「危険な」不慮の事故とは?
では、30代に多い不慮の事故(中でも命の危険の高い項目)は一体何でしょうか。
平成29年の人口動態調査の、30~44歳における不慮の事故による分類別の死亡数データを参考に見てみましょう。
【平成29年の不慮の事故による分類別死亡数:30~44歳】
1位:交通事故(443人)
2位:転倒・転落・墜落(158人)
3位:中毒又は有害物質への暴露(141人)
4位:窒息(130人)
5位:溺死(122人)
以上データより、群を抜いて多かったのは「交通事故」という事がわかります。
では、交通事故に関しては、経験が浅くまだまだ未熟な20代と比べて、ある程度の経験と視野の広さを持ち合わせた30代ではその死亡数の違いは見られるのでしょうか。
20代のデータとして、平成29年の人口動態調査の、15~29歳における不慮の事故による分類別の死亡数データを参考に見てみましょう。
【平成29年の不慮の事故による分類別死亡数:15~29歳】
1位:交通事故(480人)
2位:溺水(113人)
3位:転倒・転落・墜落(76人)
4位:中毒(60人)
5位:窒息(48人)
交通事故での死者数は、15~29歳は480人なのに対し、30~44歳は443人に減少していました。
これを人口に対する割合で考えると、
【平成29年の人口に対する交通事故死亡数の割合】
◇15~29歳:全体の約0.0026%
◇30~44歳:全体の約0.0018%
と、30~44歳の層は若年層よりも少なくなってはいましたが、その差は僅かでした。
では次からは、死亡数だけでなく30代の交通事故による死傷者数に焦点を当てて見てみましょう。
30代の交通事故、その内容とは?
全交通事故の10万人あたりの死傷者数は、30代よりも20代の方が多い傾向にあります。
では、交通事故の状態別で見てもその通りなのでしょうか。
◎「自動車」乗車中事故
30代の自動車乗車中の死傷者数は今でも年に6万人弱いるのが現状です。
20代と30代の、10万人あたりの死傷者数を見てみると、
【令和元年の10万人あたりの自動車乗車中事故死傷者人数】
◇20代:約773人
◇30代:約776人
となり、実は自動車に関しての死傷者数は20代も30代も、あまり変わりがない事がわかります。
◎「自動二輪車」乗車中事故
30代の自動二輪車乗車中の死傷者数は年に5千人弱おります。
20代と30代の、10万人あたりの死傷者数を見てみると、
【令和元年の10万人あたりの自動二輪車乗車中事故死傷者人数】
◇20代:約97人
◇30代:約66人
ですので、自動二輪車に関しては、20代の方が事故を起こしやすい事がわかります。
ちなみに、原付自転車の場合は、
【令和元年の10万人あたりの原付自転車乗車中事故死傷者人数】
◇20代:約74人
◇30代:約41人
となり、こちらも20代の割合が多いという事が読み取れます。
◎「自転車」乗車中事故
もちろん、自転車も軽乗用車の1つですので見ていきましょう。
30代の自転車乗用中の死傷者数は年に9千人弱もいるのが現状です。
20代と30代の、10万人あたりの死傷者数を見てみると、
【令和元年の10万人あたりの自転車乗車中事故死傷者人数】
◇20代:約165人
◇30代:約121人
という結果となり、自動二輪車に関しても20代の死傷者数の割合の方が高い事がわかりました。
まとめ
20代よりも経験が多く、視野も考え方も一段階大人になる30代。
全交通事故の死傷者数の割合は20代の方が30代よりも高いとは言え、自動車乗用中事故の死傷者数を見てわかる通り、30代でも20代と同じようなリスクはある事がわかります。
よく保険会社でも言われる「30代は20代よりも事故率が低い」という事を「30代は20代よりもリスクが低いから大丈夫」と間違って解釈せず、路上に出る時はいつでも丁寧な運転を心がけてください。