全国共済お役立ちコラム

働き盛りの40代、しかしその裏にはストレスも!?

2021-3-4

20代から30代にあがるよりも、30代から40代への変化の方が精神的にダメージを受ける、と聞いた事があります。
年齢が上がるということは、生活も環境も、価値観、人間関係をも変わり、どの年代であってもこの「変化」は、成長であり、その反面ストレスにもなり得ます。
では、人生の中間地点である40代に着目してみるとどうでしょうか。「働き盛り」とされる年代の仕事によるストレスは?そしてその影響は?
今回はそんな40代の心と病気について見ていきます。

G7で「自殺率トップ」の国、日本
海外でも自殺は数多く起こっています。しかし、先進国であるにも関わらず自殺率が際立って高いのが、我々の国、日本なのです。
残念ながら、G7の中でも日本の自殺率はトップを占めています。

【先進国の自殺死亡率】
1位:日本(18.5)
2位:フランス(13.8)
2位:アメリカ(13.8)
3位:ドイツ(12.3)
4位:カナダ(11.5)
5位:イギリス(7.5)
6位:イタリア(6.6)
※厚生労働省:「自殺の現状」より

日本が1位になる、その原因として一体何が考えられるのでしょうか。

◎日本の自殺の根本的な原因は?
自殺の原因としては様々な意見があるかと思いますが、今回は根本にあると思われる2つの要素をあげてみました。

1つ目:今も存在する切腹文化
「恥があったら死ぬ」という切腹文化のように、「恥」を非常に否定的にとらえる価値観は日本で今もなお存在しています。逆に、恥を特に気にしない人の多い国では、(物理的(日照時間関連等の)・生活難などによる自殺ではなく)日本のような“気持ちによる“自殺率は低いのです

2つ目:親和性・“協調性”
日本には、どちらかというと波風立てずに人間関係を築いていくのが“良し”とされる風潮があります。幼少期から協調性を大切にする教育を受け、個性を出す事に抵抗を感じながら育つ為、周りの人と違う物事の進め方や考え方を選んだ場合には“否定的な目”を向けられやすい傾向にあるわけです。

そう、自殺に関連する「心の病」は、『他人との関わり』が深く関わっているのです

日本の40代の自殺者数は?

では、次に日本の年代別の自殺者数を見てみます。日本の若年層で自殺が多いという事はご存じかもしれませんが、40代ではどのくらいになるのでしょうか。

【令和元年度_自殺者数・自殺率】

※厚生労働省_令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況より

20代・30代の全体死因第一位としてあげられるのは「自殺」であり、40代に入ると「自殺」は2位に下がっています。しかし、それは40代に差し掛かり自殺率が“減少”したわけではなく、上のデータを見てもわかる通り、実際の自殺率は20代・30代とあまり違いがありません。むしろ、男性に関しては40代で最も多くなっており、女性でも2番目に多い結果となりました。

◎どのように自殺に至ってしまうのか
自殺は心が健康な状態で、ある日突然思い立ち起こる事ではありません。WHOが公表しているデータによると、自殺者の約97%が何らかの精神障害を患っていたという事がわかっています。
つまり、身体的・精神的なストレスを断続的又は継続的に受ける事がきっかけで、「うつ病」「統合失調症」などを発症。そして視野が狭くなり最終的に自殺に至ってしまうというわけです。

【自殺に至るプロセス】
文化や家庭、学校などにより築き上げられたパーソナリティ(価値観)

結婚・出産、仕事などのライフイベントや、その他人間関係による慢性的なストレス

引き金の出来事(強いストレス)
(失業、借金、いじめ、失敗、喪失、過度なプレッシャーなど)

うつ病など精神疾患の発症

自殺
※日経Gooday 30+を参考に作成

つまり、初期段階での「ストレス」は決して軽視してはいけないものなのです

40代、ストレスの原因は仕事!?

40代は「働き盛り」と呼ばれる年代ではありますが、その裏で、40代は仕事によるストレスがきっかけのうつ病が多いとされています。
それは一体なぜでしょうか。

◎40代からは「責任世代」
40代になると、その組織のなかでも「管理職」につく人が多く、その責任の重さから大きなストレスを感じてしまう人が多いと考えられています。
特に、真面目で几帳面な人であれば、期待に応える為に多少の無理を惜しまず、悩んでも人に相談をせず自分の中で抱え込む為、ストレスを常に受けており解消ができない状況に陥ります。

30代の頃から10年以上勤務した慣れた職場であっても、リーダーに抜擢された事がきっかけでその責任やプレッシャーから常に強いストレスを感じるようになり、最終的にはうつ病を発症してしまったというケースもあります。
嬉しいはずの昇進が思わぬ方向に進んでしまう事もあるのです。

◎女性は「更年期障害」に悩む人が多くなる
女性は50歳前後に閉経しますが、その数年前からホルモン分泌の状況が急激に変わる為、体調不良を起こしやすくなります。症状としては、なんとなくイライラが続いたり、動機やめまい、そしてやる気が起きないなどがあげられますが、その時期と責任の大きい仕事によるストレスが重なってしまうと、体調不良がより悪化してしまう可能性もあります

ストレスが招く病気とは?

「ストレス」というと感じ方は人それぞれで、なんとなく漠然としていることもあり、精神疾患を除いた病気には直接関係のないような気がします。しかし実は、このストレスは体のあらゆる機能に支障をきたすのです

影響を与える機能は主に以下の通りです。

・自律神経系:アドレナリン等が分泌され、不眠や高血圧を招く。
・内分泌系:コルチゾールが増加し、血糖値の上昇や脳に影響(記憶をつかさどる海馬を委縮させる)を与える。
・免疫系:白血球の働きが悪くなることによる免疫の低下等。

これらにより発症しやすい病気として、

・糖尿病
・脳卒中
・心臓病
・メニエール病
・胃、十二指腸潰瘍

などがあげられます。

まとめ

このように、ストレスは様々な病気を招き、精神疾患から自殺まで追い込んでしまう可能性のある怖いものです。仕事等で常に忙しい日常を送っている人は少し立ち止まり、自身の状態が本当に大丈夫なのか見直す機会を設ける事が大切です。さらに、少しでもストレスを感じた時に自身で解消できる方法を見つけることや、「相談すること」への敷居を自分自身で上げない事も重要になります。