三大疾病とはどんな病気?基礎知識から予防対策までを解説!

三大疾病とは、日本人の死因の上位を占める「がん」、「心疾患」、「脳血管疾患」。この3つの病気を総称して「三大疾病」と呼びます。三大疾病という言葉自体は一般的になってきているのでご存知の方もいらっしゃると思います。
これらの三大疾病は、通常の医療保険でも保障されますが、三大疾病に備えるための「三大疾病保険」やがんに備えるための「がん保険」に加入することで、より手厚く備えることができます。
この記事では、三大疾病の説明とともに、自分自身や家族が三大疾病にならないようにするために、リスク要因と予防対策を解説していきたいと思います。
そもそも三大疾病とは?
三大疾病とは、「がん(悪性新生物)」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳卒中」のことで、これらは日本人の死因のうち上位を占める病気です。
三大疾病の厄介なところは、入院や治療が長期に及ぶことが多く、医療費や介護費が高額になりがちな点が挙げられます。ケースによっては、医療費と介護費を合わせて数百万円にまで膨らむことさえあるようです。
まずは、具体的に三大疾病がどのような病気なのか簡単に見ていきましょう。
▶がん(悪性新生物)
がんは、体内で発生したがん細胞が増殖していき体に害を与える病気です。私たちの体は約60兆個の細胞からできていると言われていますが、正常な細胞は体の状態に合わせて死滅と増殖を繰り返します。
しかし、がん細胞は体の状態に関係なく無秩序に増殖し続ける異常な細胞です。通常は免疫細胞ががん細胞を駆逐するのですが、時には仕損じることもあります。その理由は免疫力の低下や遺伝子の制御の異常など様々ですが、生き残ったがん細胞が増殖して体にダメージを与えるのが「がん」と呼ばれる病気なのです。
がんは「がん細胞ができた体の部位」によって名称があり、代表的なものでいえば「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮がん」などが挙げられます。
▶心疾患(急性心筋梗塞)
分かりやすく例えるなら、私たちの体のなかで心臓は全身に血液(酸素と栄養)をくまなく行き渡らせる「ポンプ」で、その「動力」が心筋(心臓の筋肉)です。そして、心筋自体も血液で動いています。つまり、「動力の燃料」が血液で、「燃料を供給する管」が冠動脈だと言えます。
心疾患は、その冠動脈に動脈硬化などが起こることで心筋に酸素が流れなくなり、心臓の機能が停止してしまう病気の総称です。
心疾患のなかでも深刻なのが「急性心筋梗塞」です。急性心筋梗塞は、心臓に血液を送る血管(冠動脈)が急につまって心筋に血液が届かなくなり、心筋の細胞が壊れていく(壊死する)病気です。壊死する心筋の範囲が多いほど重症となり、心室細動という危険な不整脈により心停止にいたる可能性が高まります。
▶脳卒中
脳卒中は、正式には脳血管障害といい、単一の病名ではなく脳の血管に何かしらの脳の血管の障害によって引き起こされる様々な病気の総称です。
脳卒中には、脳の血管がつまる「脳梗塞」と脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」があります。いずれも脳の一部に血液が行きわたらなくなり、その部位が壊死してしまう、という点は一緒です。
しかし、脳は部位によって様々な働きをしていますから、壊死した部位に応じて現れる後遺症は変わってきます。
たとえば、言語機能を司る部位がダメージを受ければ言葉がうまく喋れなくなりますし、運動機能を司る部位がダメージを受ければ手足を自由に動かすことが難しくなります。そして、認知機能を司る部位がダメージを受ければ、認知症のような症状が現れることもあります。
|三大疾病の死亡率
がん、急性心筋梗塞、脳卒中は死につながることもある重大な病気です。
日本人の死因としても上位を占めています。
【日本人の死因上位】厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況」より
第1位 悪性新生物・・・378,835人
第2位 心疾患・・・・・205,596人
第3位 老衰・・・・・・132,440人
第4位 脳血管疾患・・・102,978人
第5位 肺炎・・・・・・78,450人
厚労労働省の統計上では、がんは悪性新生物という呼称で統一されています。また、脳血管疾患が脳卒中にあたります。脳血管疾患は現在4位ですが、平成22年まではずっと日本人の死亡率の上位3位に入っていました。
この統計の心疾患のうち、急性心筋梗塞の死亡数は30,538です。ただし、急性心筋梗塞になり一旦回復した後に、心臓の状態が悪化して死亡した場合などは、死因は急性心筋梗塞ではなく他の心臓病ということになると思われますので、急性心筋梗塞が原因またはきっかけとなる死亡数はもっと多いと考えられます。
三大疾病のリスク要因
がんの主なリスク要因は喫煙、食品添加物、発がん性物質、ある種のウイルスや細菌、放射線、紫外線などの外部刺激と考えられています。
このうち、自分で避けられるリスク要因としては、喫煙や食品添加物、発がん性物質などが挙げられます。また、放射線や紫外線を完全にシャットアウトするのは難しいですが、紫外線は「日焼け止めを塗る」「帽子やサングラスを着用する」などで対策をすることができます。
心疾患や脳血管疾患はいずれも動脈硬化から起こります。動脈硬化のリスク要因としては高コレステロール、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、ストレスなどがあり、いずれも自分でリスクを下げることができます。
三大疾病の予防方法は?
三大疾病の予防のためには、具体的に以下のことに気をつけましょう。
・高カロリー、高コレステロールの食品を避ける
・甘いものの食べすぎ、早食い、暴飲暴食を避ける
・揚げ物を控え、油はなるべく酸化しにくいオリーブオイルや菜種油を使う
・塩分のとりすぎに注意する
・ビタミンCやビタミンE、カロチン、EPAやDHAなどの抗酸化作用がある食材を積極的にとる
・適度な有酸素運動を習慣化する
・ストレス解消の方法をたくさん見つけておき、ストレスをためないようにする
また、喫煙はがんと動脈硬化の両方のリスク因子です。タバコを吸っている人は禁煙しましょう。
三大疾病は死につながる恐ろしい病気ではありますが、自分で避けられるリスク要因もあるため「ある程度の予防」は可能です。食事や運動習慣、ストレス解消など毎日の生活習慣を見直して三大疾病を予防しましょう。