全国共済お役立ちコラム

何かおかしい・・・突然起こる脳卒中ってどんな病気?

2022-7-3

日本人の死因の上位を占める三大疾病には、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の3つの病気があります。三大疾病という言葉自体は一般的になってきているのでご存知の方もいらっしゃると思います。命に関わる病気として、「脳卒中」があります。脳の血管が破れたり、血管が詰まることで起こり「脳血管障害」とも呼ばれます。令和2年(2020年)の人口動態統計によると、日本人全体の死因の4番目に位置し、約7.5%の方がこの病気で亡くなっています。記事内では脳卒中の基礎知識や対策など予防につなげるヒントなどをお伝えしていきたいと思います。

脳卒中とは?

日本人の三大死因のひとつとして知られている脳卒中は、正式には「脳血管障害」と呼ばれます。
脳卒中は、脳の血管がつまる(脳梗塞)か、やぶれる(脳出血・クモ膜下出血)ことで、脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞が障害される病気です。より早期に治療を開始することが、後遺症を軽くするために大事です。

【脳梗塞】
脳卒中の半分以上を占める病気のタイプになります。脳への血管内が詰まる(梗塞)ことにより血液の供給ができなくなる病気です。食生活の欧米化により動脈硬化などコレステロールの問題による脳梗塞の割合が増えたといわれています。「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓」の3つの病型に分けられます。
心原性脳塞栓症は、不整脈など心臓由来の病気です。不整脈でできた血の塊などが流れて脳の血管を塞いだ結果起こる脳梗塞(脳塞栓症)です。
ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞は大小の血管の内側にできたコレステロールの壁などの血栓によって血流が途絶える脳梗塞(脳血栓症)です。

【脳出血】
脳内の血管が破れることによって脳内に出血する病気です。原因として高血圧や血管の脆弱性(モヤモヤ病など血管の奇形などによる弱さ)などが原因です。戦後日本国内の脳卒中では多くの方が脳出血でしたが、脳卒中のなかでの割合は減ってきています。

【くも膜下出血】
脳表面の脳動脈にできた動脈瘤(どうみゃくりゅう)が破れることによっておこります。脳の表面にある薄いくも膜という膜の内側に出血します。脳卒中の中では死亡率が高い重症な病態です。

【一過性脳虚血性発作】
脳梗塞と同様の経過で一時的に脳への血流が遮断された状態で24時間以内に症状が消失する状態をいいます。幸いにして症状が改善しますが、血管内の状態を考えると再発の予防が重要になります。

脳卒中の主な原因

脳の血管の状態によって脳卒中のリスクが変わってきます。
血管を良い状態に保つことが、脳卒中の予防には大切。
「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「喫煙」などの生活習慣から大きく影響を受ける要因は、脳卒中のリスクを上げてしまいます。
血管が傷つきやすくなったり、柔軟性が下がったりしないように、生活習慣を改善することが脳卒中の予防には効果的です

脳卒中の初期症状

脳卒中は突然起こる病気として知られますが、大きな障害が起こる前の段階で何かしらの症状が出ることも少なくありません。
脳卒中の初期症状を自分で確認する際の方法として、FAST(ファスト)がよく知られています。

F(Face):顔の半分だけが自由に動かない。
A(Arm):両腕を水平にしようとするとどちらかの手が落ちてくる。
S(Speech):思うように言葉が出てこない。呂律が回らない。
T(Time):発生からの経過時間で出来る処置が変わります。発生時刻をチェック!

脳卒中の検査・治療

脳卒中を疑われる状態で病院へ行くと、CT、MRIでの検査が行われ病状を確認します。
一部脳梗塞を再度開通させるための治療(t-PA、血管内手術など)は発病から病院へ到着するまでの時間によって不適応となることがありますので、早く病院に行くべきです。

その後、血圧や症状を安定させるため点滴などの治療が行われることが多いと思います。
病態が安定した後リハビリが始まります。通常数日から1週間程度で開始になります。

脳卒中の予防方法

脳卒中は血管の状態が良くない場合に起こりやすくなってしまいます。
「高血圧」では血管への負担が大きくなり、「脂質異常症」では血管の弾力性が低くなってしまいます。
「糖尿病」では血管や神経の障害が全身で起こりやすくなります。
では最後に、生活習慣に大きな影響を受ける脳卒中、という視点から脳卒中の予防についてお伝えします。

▶バランスの良い食事
塩分控えめのバランスが良い食事を心がけましょう。
塩分の摂りすぎは「高血圧」にもつながりますし、糖分や脂質の摂りすぎでは「糖尿病」や「脂質異常症」のリスクを上げてしまいます。
1日の塩分を6gまでに抑える目標で頑張りましょう。

▶適度な運動習慣
なるべく毎日ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣づけることも大切です。
運動と食事によって適正な体重(BMI18.5~25)の維持を目指しましょう。
激しい運動が苦手でも、楽しい散歩であればストレス解消も兼ねて続けやすいと思います。

▶定期的な状態確認
規則正しい生活習慣を心掛けていても、脳卒中のリスクを0にすることはできません。
脳ドックなどを受診し、定期的に脳の状態を確認することで、脳卒中の一部分は早期発見、早期治療につなげられることがあります。
もちろんすべてのリスクを排除することは不可能ですが、命に関わるリスクを少しでも下げることが大切です。
定期的な脳ドックの受診で脳卒中への正しい予防を意識し、将来の健やかで穏やかな生活を考えてみてはいかがでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?脳卒中という病気についてまとめました。
脳卒中とまとめられている中にも原因や状態が異なるものがありますので、病気について把握しておくことは大切です。