がんに次いで死亡率の高い「心疾患」はどんな病気

「心疾患」は、脳卒中やがん(悪性新生物)とともに日本の三大死因に数えられる恐ろしい病気です。三大疾病という言葉自体は一般的になってきているのでご存知の方もいらっしゃると思います。最近では若い働き盛りの年代にも心筋梗塞などの虚血性心疾患が増えてきています。心臓突然死の原因の多くを占めるのが、虚血性心疾患ですが、虚血性心疾患以外にも、命を脅かす心臓病はあります。この記事では、自分自身や家族が「心疾患」にならないようにするために、基礎知識やリスク要因と予防対策を詳しく解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてください。
心疾患とは?
「心疾患」には、脈の乱れを起こす病気(不整脈)や先天性の心臓病、心筋や心膜の病気などさまざまなものがあります。その中で生活習慣が原因のものが「虚血性心疾患」です。
「虚血性心疾患」は、冠状動脈が動脈硬化のために細くなってしまい、心臓を動かしている心筋に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなることが原因です。
そのため、心筋が一時的に血液不足になって胸に痛みを引き起こしたり(狭心症)、完全に血管が詰まってしまい、胸に激烈な痛みを生じたりといった症状があります(心筋梗塞)。
なお、高齢者や糖尿病患者などでは、狭心症や心筋梗塞を発症しても痛みを感じたい場合もあり、原因不明の不整脈や倦怠感などを訴える人もいます。
|生活習慣が原因の「虚血性心疾患」について
▶狭心症
普段は無症状なのに、冠状動脈が細いため、運動やストレスがかかったときなど心筋の酸素消費量が高まったときに必要な血液が得られず、虚血性の痛みが出現するのを狭心症といいます。また,動脈硬化ではなく、冠状動脈のけいれんによって起こるタイプもあります。しかし、安静にしていると自然に痛みは消失し、普通は15分以上続くことはありません。
▶心筋梗塞
突然、冠状動脈が閉塞して激烈な痛みが30分以上続くと心筋梗塞が疑われます。
これはすぐに救急搬送しないと即、命に関わる病気であり、突然死の最大の原因として考えられています。なお、心筋梗塞の発症以前に狭心症の既往歴を有している場合もありますが、いきなり心筋梗塞を発症することもあります。
|心疾患は、なぜ怖いのか?
▶心疾患は「がん」に次いで死亡率の高い病気
全身に血液を送り出している心臓は、生命活動を営むうえで最も重要な臓器であり、心臓の停止は「死」を意味します。心疾患が恐ろしい最大の理由は、その点にあるといえるでしょう。
心疾患による死亡率は「がん」に次いで死因第2位を占めています。
▶突然死の原因の大半は心臓のトラブル
心疾患の恐ろしいところは、もう1つあります。それは、「ある日、突然命を奪われる」ことが少なくないということです。
初発症状から24時間以内に死亡することを「突然死」といい、働き盛りを襲う突然死の半数以上が心臓のトラブルによるものです。
心臓に関する突然死の原因で最も多いのは、急性の心筋梗塞です。そのほかにも心臓弁膜症や心筋症などがありますが、いずれも心臓を停止させる直接の原因は、多くが心室細動という不整脈です。
|どのような症状?
心臓は筋肉が酸素不足になると痛みを感じます。狭心症、心筋梗塞共に冠動脈の血液の流れが悪くなり、心筋に酸素不足が生じる結果、胸に痛みや圧迫感、締め付けられ、押されるような鈍い痛みを感じます。
◎狭心症:締め付けられるような苦しさ、圧迫感、痛み。発作時間1~3分長くて20分。ニトログリセリンは多くの場合著効果する。例えば「早足で階段を登ったりすると、胸が締め付けられる感じがする」「安静にすると、速やかに症状が消える」
◎心筋梗塞:激しい痛み、冷や汗、嘔吐を伴う。発作時間20分以上続く。ニトログリセリンン効果なし。「突然の胸痛、息苦しさ」「冷や汗がでる胸の苦しさ」
血縁者に狭心症や心筋梗塞になった方がいたり喫煙者、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの危険因子を持っている方は要注意です。
心疾患の原因は?
心疾患のなかでも、虚血性心疾患には高血圧、脂質異常、喫煙、高血糖が4大危険因子として知られています。
また、「メタボリックシンドローム」といって、内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪型肥満)に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態では、それぞれが軽症であっても、複数あわせもつことで動脈硬化を悪化させ、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症リスクを高めることもわかっています。
◎動脈硬化:虚血性心疾患の原因で一番の危険因子は動脈硬化です。それを引き起こす因子として、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満などがあげられます。
◎その他:ストレスや攻撃性の性格などもあります。加齢、家族歴、男性であることも修正不可能な危険因子として上げられます
心疾患を予防対策はあるのか
|危険因子は生活習慣の改善で減らすことができます
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は生活習慣病の1つでもあり、おもな誘因のほとんどが生活習慣にあります。減塩や栄養バランスのとれた食事を心がけ、禁煙、節酒、適度な運動を習慣にするなど、生活習慣を改善すれば、予防できる可能性がとても高いということです。
まずは健診の結果などから、虚血性心疾患の危険因子を持っているかどうかを知り、危険因子が1つでもあれば、直ちに生活習慣を見直し、改善に努めましょう。
また、健診で高血圧や糖尿病、脂質異常症、不整脈を指摘されている人は、これらの病気の危険因子を減らすとともに、病気を正しく治療することも大切です。
▶生活習慣改善のポイント
・適度な運動を習慣にする
・動物性脂肪を控え、青魚などの魚を積極的にとる
・コレステロールを多く含む食品を控える
・塩分を控える
・野菜・果物を積極的にとる
・飲酒は適量を守る
・喫煙者は今すぐ禁煙を実行する
・ストレスを上手に解消する
まとめ
いかがでしたでしょうか。心疾患にはさまざまな種類があり、その多くは年齢とともにかかる確率が高くなります。特に動悸や息苦しさ、胸の痛みなどの症状が続くなど気になる症状がある場合には、内科あるいは循環器内科などの受診を検討しましょう。
また、偏った食生活や運動不足、喫煙などの生活習慣によって心疾患にかかりやすくなる可能性もあるため、生活習慣を見直すことを心がけましょう