全国共済お役立ちコラム

脳卒中、原因は意外と身近に…?

2020-11-3

さて前回のコラムにて、脳卒中についての実際の患者数や、予後の生活などを数字で見てきました。日本人の死因で、脳卒中は三大疾病の中で最下位の3位にはなるものの、幸い死を免れたとしても、罹患前と同じような生活が出来なくなる可能性が決して低くはないという事がわかりました。
では、この脳卒中の原因は何なのでしょうか?
早期で気付く事ができる前兆はあるのでしょうか?
そして罹らない為の予防法はあるのでしょうか?
という事で、今回は脳卒中に焦点を当てて見ていきたいと思います。

脳卒中の前兆サインはあるの?

どんな病気でも、早期発見できるに越した事はありませんよね。では、突然襲ってくるイメージのあるこの脳卒中。一体前触れのサインはあるのでしょうか。見逃さないよう、しっかり理解しておきましょう。

◎このようなサインはありませんか?
・急にろれつが回らない、言葉が出てこない
・片足を引きずって歩いたり、片手片足に力が入らず上手く動かない。
・力が入らず(脱力感)、歩けない
・顔半分にしびれ、動かない
・突然、片方の目が見えなくなる、または物が二重・欠けて見えたりする
・突然、激しい頭痛に襲われる
・急にめまいがした

脳卒中は症状が出てから2時間以内の行動が最も重要です。このような症状が現れた場合は、躊躇せずに救急車を呼びましょう。

◎「FAST(ファスト)」とは?
脳卒中の前兆がないか、「FAST」を確認しましょう。FASTとは、

F=Face(顔)
A=Arms(腕)
S=Speech(話す、言葉など)
T=Time(時間)

の事です。
以下をチェックしてみましょう。

【顔】
笑ってください。
・片方の顔が下がっていませんか?
・口角が下がっていませんか?

【腕】
両手を挙げてください。
・片方の手が下がっていませんか?
・上がった状態で維持できず下がってしまっていませんか?

【話す、言葉など】
簡単な文章を言ってみてください。
・ろれつが回っていませんか?
・言葉がすんなり出てきませんか?
・言葉が理解できませんか?

以上の確認をして、1つでも当てはまるようであれば脳卒中の可能性が高いです。先ほども述べた通り、脳卒中を疑ったらすぐに救急車を呼ぶか、大きな病院を受診しましょう。

◎一過性脳虚血発作にも要注意!
一過性脳虚血発作とは、脳卒中の中の1つである「脳梗塞」と同じ症状が起こりますが、一時的であり短時間で消失するものです。30分程で治まってしまう場合が多い為、日常的な不調と勘違いして見過ごされてしまうケースが多いのですが、実はこの一過性脳虚血発作が起こると48時間以内に本格的な脳梗塞を引き起こす可能性が高く、非常に危険です。
短時間であっても、最初に記したような症状が出た場合はすぐに脳卒中を疑いましょう。

また、以下のような日常的な不調が良く出る場合も、念のため一度病院を受診した方が良いでしょう。

・突然の頭痛や肩こり
・めまいや耳鳴り、手足のしびれがよく起こる
・障害物がない所でつまずく
・階段などの段差で足がひっかかる
・顔や唇がしびれているように感じる
・飲み物や食べ物が飲み込みにくい など

脳卒中の原因は?

脳卒中には3種類ある事はお話してきましたね(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)。
脳梗塞は脳の血管が詰まって血流が悪くなる(または途絶える)事が原因で起こり、脳出血は脳の血管が破れる事が原因となります。くも膜下出血も、脳出血と同じで血管が破れる事が原因となりますが、脳を保護する3層の膜(硬膜、くも膜、軟膜)の、くも膜と軟膜の間のすきまで起こるのが特徴です。

では、そもそもどうしてこのような血管のトラブルが起きてしまうのでしょうか。

実は、脳卒中は不健康な生活習慣や生活習慣病などにより引き起こされるのです。意外と身近な事ですよね。具体的には、高血圧・肥満・糖尿病・不整脈・高脂血症など様々な要因が理由として挙げられますが、脳卒中の3種類、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血全てにおいて共通して言える一番の原因は、「高血圧」になります。

健康診断で高血圧と診断されたにも関わらず、放置していませんか?実は若年層の30歳~40歳で意外にも多いのが、脳卒中のうちの1つ「脳出血」なのです。これは高血圧と知っていながら何も対策をとらなかったケースが多い為だと考えられます。高血圧はよく耳にする身近な言葉ですので、「ただの高血圧」と軽視してしまいがちですが、

このような怖い病気に繋がるという事を頭に入れておかなければなりません。

 

さて、では先ほど脳卒中の引き金となる「不健康な生活習慣」とは、どのような習慣の事を指すのでしょうか。

例として、
・食生活の欧米化
・塩分の過剰摂取
・過度な飲酒
・喫煙
・運動不足
などが挙げられます。

過度な喫煙や飲酒は、くも膜下出血のリスクとなりやすく、また悪玉コレステロールは脳梗塞の引き金になりやすいと言われています。

では、脳卒中の予防法は?

上でも述べた通り、脳卒中の原因は不健康な生活習慣の積み重ねによって起こりますので、ずばり、生活習慣の改善が1番の予防法になります。
「生活習慣」というと身近に感じ改善が簡単な事のようにも思えますが、実は生活習慣病はこれといって目立つような症状が出ない為、脳卒中などの重い病気に罹るまではどうしても「自分は大丈夫だ」と他人事になってしまう人が多いのが現状です。

具体的な予防法としては、
・塩分や脂肪分の摂りすぎを避ける
・野菜や果物を十分に摂る
・適度な運動を続ける
・飲酒量の改善
・喫煙生活の見直し
などが挙げられます。

まとめ

日本の死因3位に位置する「脳卒中」。そんな怖い病気でも、予防法は意外と身近な事なのです。生活習慣は一度に一気に改善する事は困難です。将来後悔しない為にも、一度自分の生活を見直し、少しでも不健康な習慣に心当たりがある場合は、毎日一歩ずつでも改善に努め、積み重ねる事が大事です。