心筋梗塞は予防できる?原因から考えよう。

前回のコラムにて「心筋梗塞」についてお話してきました。実際心臓がどのような状態になることで心筋梗塞が起こるのか、そして発症の前兆サイン、治療法についてご理解頂けたかと思います。
今回は前回に続き、再び心筋梗塞についてお話していきます。
突然襲ってくる可能性もあり、命に関わる恐ろしい病気ですので、もちろん発症しないに越した事はありません。では何か良い予防法はあるのでしょうか?
今回は心筋梗塞の原因を理解し、予防法について考えていきましょう。
心筋梗塞の主な原因とは?
前回もお話しました通り、心筋梗塞は心筋に血液を供給している冠動脈が動脈硬化を起こし、それにより血管壁内に出来たプラークが血管を狭くして血流が悪くなったり、またそのプラークが突然破けて血栓が生じることにより、血管を完全に詰まらせてしまう事によって起こります。冠動脈の血流が完全に途絶えると心筋に血液が送られなくなり、酸素不足により心筋細胞が壊死してしまいます。
このように、心筋梗塞の原因は冠動脈の病変によるものですが、では、なぜこのような現象が起こってしまうのでしょうか。
その原因は、実は生活習慣病などとても身近な事だったりします。
以下は心筋梗塞の主なリスク要因になります。
【高血圧】
:高血圧だと心臓に負担をかけてしまうのですが、特に朝は気を付けなければなりません。なぜなら、明け方から午前中にかけては血圧が上がりやすくなり、心筋梗塞のリスクが上がるからです。
【肥満】
:肥満と言っても、必ずしも見た目では判断できません。実は痩せて見える人の中でも、内臓脂肪型肥満である人は発症のリスクが高まるのです。運動不足になり筋肉量が減ってしまうと、代謝が悪くなり内臓脂肪もつきやすくなります。また血液の循環も悪くなる為、生活習慣病になってしまう可能性も高くなり、注意が必要です。
【糖尿病】
:炭水化物などの糖質は大切ではありますが、摂りすぎると血液中に中性脂肪が増えてしまい、糖尿病の原因になります。糖尿病は、動脈硬化を起こしやすくします。
【高脂血症】
:肉などの動物性脂肪分を摂取し過ぎると、血液中のコレステロール値や中性脂肪値が高くなり、動脈硬化のリスクが上がります。
【高尿酸血症】
:痛風などがあてはまります。痛風は、血液中の尿酸の濃度が上昇して飽和濃度を越える状態が続いてしまう事によって起こります。一般的にはプリン体の過剰摂取や排出不全が原因とされています。その為、プリン体が多く含まれる肉やビールなどのアルコールの摂り過ぎで発症するケースが多いです。
【ストレス】
:精神的なものから、過度な労働などの肉体的なものも含まれます。ストレスは血圧や血糖値を上げ、血液中コレステロール値を急上昇させると言われています。
【喫煙】
:タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を傷つけ、血管の収縮や凝固、また動脈硬化を促してしまいます。
【家族歴】
:家族の中に発症歴を持つ人がいる場合、体質や生活が似ている為発症する確率が高いと考えられます。
以上のうち3つ以上当てはまる人、また男性なら50歳以上、女性なら60歳以上の人は発症リスクが高まる為、注意が必要になります。
ずばり、予防法とは?
さて、ここまで原因についてお話してきました。
では結局、予防法とはどのような事になるのでしょうか?―それはまず、上記のようなリスク要因を防ぐ事が大切です。
具体的には、まずは「食事」「運動」の生活を見直すことが挙げられます。
【食事】
:塩分・脂肪分・糖質を控えめにし、野菜や魚介類を中心にする事が大切です。魚に含まれる栄養成分には、血栓の生成を防ぐ効果があります。
①塩分…血液中の塩分濃度が高くなってしまうと、血圧が上がってしまいます。その状態が続くと、血管壁がその圧力に耐えようと分厚くなってしまうのです。1日の塩分摂取量は、6グラム以下に抑えましょう。
②脂肪分…肉や乳製品などの動物性脂肪には、悪玉コレステロールを増加させる飽和脂肪酸が多く含まれていますが、魚の脂肪は悪玉コレステロールを減少させる不飽和脂肪酸になる為、魚中心の食生活を目指しましょう。また、マーガリンやパンに含まれるトランス脂肪酸も血中悪玉コレステロールを増加させますので、過剰摂取は禁物です。
③糖質…ごはんやパン、うどんなどの炭水化物は、分解される時に糖分に変わります。過剰に摂取する事で血中の中性脂肪が増加し、悪玉コレステロールの増加も引き起こします。
【運動】
:日頃から体を動かすよう意識をしましょう。大切な事は、沢山の汗をかくほどの激しい運動を取り入れるのではなく、日常的に無理のない位の軽い運動を習慣化する事が大切です。
例…スロージョギング、自転車、水中ウォーキング、早足・大股ウォーキング、階段を利用する など
心筋梗塞の引き金となる要因とは
以下のような事が、心筋梗塞の引き金になってしまう事があります。
・過労による疲労、睡眠不足
・ストレス(精神面だけでなく、肉体的なものも含む)
・暴飲暴食
・急激な温度変化
気温が寒くなると血管が収縮し血圧の急上昇を起こすことから、心筋梗塞は冬の寒い時期に起こる事が多い傾向にありますので注意が必要です。
まとめ
心筋梗塞を防ぐためには、血管に負担をかけない生活を心がける事が大切です。食事(飲酒も含め)や運動などは様々な病気に対する代表的な予防法として認識している方は多いかと思いますが、実はストレスも血管に影響を与えるという事を覚えておかなければなりません。心筋梗塞は誰にでも起こり得る病気ですので、「自分は大丈夫」と思わずに、自分の生活を見直して、出来る事から改善していきましょう。